第零話
「お疲れ様でしたぁ。」
キィ…‥バタンッ
今日も今日とて俺の一日は平和であった。今この時が限られた憩いの時間であるから当然だろう。そう、俺の生きる世界はアチラ側なのだから……。
あっ、そろそろイベントが始まる時間だ。急ぐとしよう。
こうして今日も今日とて俺の一日は平和に終わる…筈だった。
俺の名前は篠崎孝、今年で22歳になった現役大学生だ。ちなみに浪年はしていない。
今は通っている大学が実家から遠く県外だったので絶賛一人暮らし中だ。親からは仕送りもあるのでとても気楽なものだ。
親からの仕送りは普通に生活する分には全く困らない額なので、本来なら別にバイトなどはしなくて良いのだが俺には何とも金がかかる趣味があった。…‥いや、出会いがあったら良いなとか思っちゃってますよ?
ズバリ言うと俺の趣味はオンラインゲームだ。バリバリの課金プレイヤーなんで、一緒にプレイしている親友からはズリィとか言われている。…‥自分でバイトすれば良いと思う。自称・超暇人なんだからなぁ。
まあ親友の事はほっておくとして話を元に戻そう。俺は約2年前に運命のゲームに出会った。比喩とかではなくマジである。
そのゲームの名前は《tide of the times》、まだ本サービスは開始されていない。それと言うのも何故かαテストに2年もかけているのだ。余りにも謎なので運営に質問が殺到したが、機密事項の一言で完璧に黙りを決め込んでいる。勿論、今も継続中である。
だが最近、そろそろβテストが始まるとか、いやこのまま本サービス開始だとかなんとか。そう言う噂が流れ始めているのだ。
勿論俺的には大歓迎なのだが、一つだけ問題がある。