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1−1 彼の事

「ねぇ、華枝ちゃん。さっきから何を見てるの?」

 バスに揺られて、もう30分は過ぎた頃。私の隣に座った、光一郎は不思議そうに私が熱心に読んでいる本を指差した。

「ん?なんでもないよ。」

「えー、教えてくれたっていいじゃないか。」

 強引に本を覗き込もうとした光一郎を押さえつけて、自分の鞄に本をしまい込む。

「意地悪だなぁ。」

 頬を膨らます光一郎を見ていると、どうしてもロボットだという事を忘れてしまう。だけど、私の記憶に存在する光一郎は今私の見ている光一郎と何一つ変わらない。身長だって、表情だって、髪型だって、体重だって変わってないに違いない。

 それなのに、彼はロボットだと思えないぐらい人間のようなのだ。


 季節はもう冬、バスの窓の向こうでは雪が降っているのに、光一郎は学校の制服を着ているだけで防寒着など一切身に纏っていないのだ、見てるこっちの方が寒くなってしまって堪らない。私が何度注意しても光一郎は平気な顔をしてこう言うのだ。

「全然大丈夫さ、僕には体温調節機能が付いているからね。」

 そんな事言われたもさっぱり理解できないのに、それに、町を歩いているとやっぱり光一郎一人だけ浮いてしまったいるのに、彼自身気づいてないみたいだしね。

 

 学校前のバス停でバスを降りて、校門までの道のりを歩き始める。いつもより早く家を出たせいか同じ制服を着た生徒の数が少なく見える。

「もぉ、結局見せてくれなかったし、意地悪だなぁ。」

 そう言って、もう一度頬を膨らます光一郎。・・・やっぱり人間だよ、笑ったり、泣いたり、怒ったり、喜んだりする彼は誰の目から見ても人間にしか見えないよ。

「あ、華枝ちゃん。今日は部活?」

「ぇ、あ、うん、6時まで部活だけど先に帰ってる?」

 私は合唱部に所属している、光一郎はいわゆる帰宅部に所属している。部活のない日は一緒に帰っているけど、部活の日は光一郎の気分のよって変わってくる。

 彼は私が17年間生きてきた中で一番といっていいほどのマイペースな人間、もといロボットなのだ。そんなマイペースな光一郎だからこそ、周りに人が集まってくるのかもしれない。

「んー、今日は残ってようかな。最近、華枝ちゃんが歌ってるのも聴いてないからね。」

「もー、違うでしょ、合唱部のみんなが歌ってるんだから。」

 私がこう言うと、彼はいつもの如く、

「僕には人間の声を聞き分ける機能があるから、華枝ちゃんの声だけ聞いてるんだよ。」

 なんていう、何とも聖徳太子じみた発言をしてしまうのだ。

 そんなことを合唱部のみんなが居る前で言ってしまったもんだから、光一郎は合唱部から目の敵にされてしまっているのだ。それでも図々しく合唱部が歌ってる真ん前でニコニコしながら私の歌ってるのを聴いてしまっているのだ。

「ねぇ、さっきから何考えてるのさ。」

「んー、別に。ほらっ、急がないと遅刻しちゃうぞ!」

「何言ってるんだよー、華枝ちゃんがボーっとしちゃってたんだろー。」


 でも・・・・

 そんな、マイペースで図々しい光一郎の事が、私は好きだったりするのだ。

どもー、櫻庭 伊織です。文章が下手だと自分で実感しております。。。。もっと進化できるように、もっともっと勉強していきたいと思っています。。。

今回はヒロインの華枝が登場しました。これから、運命の歯車は回り始めるわけですね、はい。では、次回1−2、「鞄の陰に」をお待ちになってください

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