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誤字修正 付け届けが聞く→効く

「あ、お前、何処を見てやがる!! この助平野郎が―!!」

「お、お待ちください!!」


 バキ、ドカ、グシャ……。


 どうしてこうなった。




 思い返せば数分前、前回送った付け届けが効いたのか、厳顔さんに面会可能と返事を貰い、迎えを送るからと待っていた時のこと。

 迎えの人が来たってんで、宿から表に出ると、其処に居たのは魏延さん。

 思わず、我儘な感じに突き出た胸に視線が留まり、ゴクリと息を呑んでしまった。

 其れを感づかれてしまったんだろう、魏延さんの顔が瞬時に羞恥で赤く、次の瞬間には怒りで更に赤く変わった。

 更に次の一瞬で、何処に持ってたのか、鋼の棍なのか杵なのか、いきなり得物を振り上げて襲いかかってきた。

 思わず死亡退場を覚悟する程のイキナリさだったが、閉じてしまった目を開いた時、そこにあったのはズタボロになった魏延さんの姿。

 そして周囲には、何やらスッキリした様子の張飛さんズと関羽さん。

 此処のとこ、姜維さんにストレス感じてた所為か、久々に見た晴れ晴れさ加減。

 しかし、太守さんの使いをシバキ上げてしまっては、拙いんではなかろうか。


 これが、冒頭のやりとりなわけだが。


「まあ、やってしまったものは仕方有りませんかな」


 魏延さんの様子を見ると、綺麗に意識を飛ばされただけで、骨折や大きな怪我は負ってなさそうだ。

 抱き上げて座敷へ連れて行く。

 途中、こそりと胸の先っちょを摘んでみたら、ビクリと体を跳ねて、妙に可愛い悲鳴を上げた。

 何とも感じ過ぎの人らしい反応だった。

 追加で二度程、つついてしまったのは内緒だ。

 しかし、このままでは、ちょっと困ったことになる。

 なんとか、言いくるめるなり、丸め込まなくては。

 そこで、眠っている間に、忠誠上げのアイテムを含ませることにした。

 主に酒とか……本人が意識して飲まないと、効果が無いかもしれないが、やってみるしかないだろう。


 暫くして、目を覚ました魏延さんに、運を400無駄に突っ込んだ魅力+土下座で謝った。

 赤い顔で、ちょっとふらふらしているのは、さっきの酒のせいだろう。

 どちらかの高架化、相乗効果かは判らないが、甲斐あってか、なんとか再度飛びかかってきての天丼ネタには、ならずに済んだ。

 しかし、叩きのめされたことを聞いたせいか、魏延さんは更に赤面して黙りこんでしまった。

 ここは、シツコイくらいに押した方が良いかもしれないな。


「魏延殿、申し訳ありませんが、大事を取って馬車で送らせて頂きます。

 遅くなったことは、太守殿には此方の不手際と、お伝え下さい。

 私から、お詫びさせていただきますので」

「いや、それは」

「いえ、私の不始末から、魏延殿にご不快な思いをさせてしまったのは、間違いございません。

 魏延殿には、何と言ってお詫びを」

「や、ちょっとまってくれ」

「いいえ、待ちませぬ。

 いくら魏延殿が我を忘れるほどに美しく魅力的とはいえ、その姿を無遠慮に見つめてしまった事は許されることではありませぬ」

「美し……魅力的……」

「本来であれば、その手に掛かり果てるが道理、それが我が配下の手によって魏延殿を打ち倒してしまいました。

 まさか魏延殿を打ちのめすとは、余程に私は魏延殿を辱めてしまったのですな。

 普段の魏延殿であれば、このようなこと有り得べからざることでしょう。

 しかし、我が配下達には咎はございません。

 全て私の不徳と致す所、どうか我が身一つでご勘弁を。

 先ずは、太守殿にお詫びをし、その後に魏延殿に」

「いや、チョット待ってくれ。 ほんとにもう大丈夫だ。 だから、ちょっと話を聞けって」


 おや? 魏延殿が全身真っ赤になっている。


「すみません、少々弁に熱が篭ってしまったようですな。

 悪い癖とは判っておるのですが、本音を隠すのが苦手でしてな。

 商人としては不出来もいいところですな」

「なあ、本気で俺が綺麗だとか思っているのかよ」

「はっはっは、何を言っておるのですか」


 はぁ、と一つ溜息。

 魏延さんが、身を固くする。


「宜しいですかな魏延殿? 少なくとも貴女がここにいる。

 それだけで、この世が素晴らしい。

 その程度には、貴女は魅力的でございますよ。

 まあ、私のような男に喜ばれた所で、魏延殿には迷惑な話でしょうが」

「ば、馬鹿野郎!? あ、あれ」


 ストンと魏延殿が半ば起こしていた体を崩す。


「大丈夫ですかな?」

「駄目だよ、馬鹿!! 変なコト言うから、恥ずかしいだろうが!!

 腰が熱くて力が入らないんだ。

 何処が心臓か判らないくらいにドキドキしてるんだよ!!」

「其れはいけませんな、濡れ布巾でも」


 もしかして、色々と効いてきてるのか?

 誰かを呼ぼうとして、魏延さんに手を止められた。 

 その手からは、今聞いたように、早い鼓動を感じた。


「焔耶だ」

「…………」


 一体、何が起こっているのか判らなかった。

 色々と仕込んでみたつもりだが、ここまで、あっさり効くのは、おかしくないか?

 胸を見て殴られかけて、ボコって酒飲ませて土下座したら、真名を預けられた。

 何を言っているのか判らないと思うが、俺も訳が判らない。

 さっきの土下座の時、結構勢いに任せて色々と口走っていたのが、なにか琴線に触れたのか?


「宜しいのですか?」

「ああ、要らないんってなら、別にいい」

「いえ、お預かりさせて頂きます。

 私からは此方を」


 指輪を渡すと、嬉しそうにはめてくれた。

 なにやら、やたらと乙女っぽいんですが……。


 それから馬車の準備ができ、城へ向かう道中、ずっと魏延さんに見つめられ続けた。

 本当に何が切っ掛けで、ここまで一気に高緯度が上がったんだ?

 余計なことを仕込んだのが、効いたのか?

 それとも、魏延さん限定で、効きやすいんだろうか?

 世界がモノクロームに染まる。

 そして、大気を震わせる、人語に変えられぬ声が響く。


「ぶぅーるるらぁぶるぁあああああああ!!」

「何処のタキシー○仮面か!!」

「貴方の疑問に答えるエンジェゥ、貂蝉ちゃんよーーん♪」


 くそ、久々に見たせいで、恐怖に身がすくむ!?


「誰が、SAN値も吹っ飛ぶ白痴の王ですってぇ~」

「大差ないですな」

「ひっどうぅーい」


 もういいから、本題に入れ。


「何しに来たんですかな」

「貴方の疑問にこた「もういいから、ヘルプなんですな?」そうよ~ん」

「で、魏延さんの件ですかな?」

「そうよん♪」


 まあ、ややこしい話は省くが、色々とやらかしてるせいで、スキルの類が成長しているらしい。

 魏延さんが、イキナリ落ちてるのは、その辺が悪さしているらしい。


「落とした数と保持してるキャラ数で、スキルが生えて育つから、今の貴方は大変よ~ん」


 聞くと。


・じゃじゃ馬馴らし(対男まさり・武力系キャラ補正)

・後家殺し(対人妻・熟女系キャラ補正)

・陥穽の言(対理想家・純粋系キャラ補正)

・真摯誠実(悪)(対善属性キャラ補正)

・仕込み罠(アイテム効果の制限一部解除)


 マスクデータの一部で、こんなスキルが生えているらしい。

 なので、アイテムで好意度の制限を一時ゆるめた所で、魅力上げして熱を込めて説得すると、場合によっては即落ちするとか……ただし、あらかた悪堕ちになるそうだが。


「そんな感じなので、色々注意よ~ん♪」


 刺されたくなかったら自重しろってか。

 いつの間にか、世界には色が戻っていた。

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