表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/79

74

誤字修正 村を通り過ぎる事に → 毎に

 出発すると、流石に孫家の軍が蹴散らした後だからか、街道には賊も居らずスッキリしている。

 単に、一時隠れて引き篭っているだけかもしらんが。

 そのまま荊州突入、前回と同じく水鏡女学院の近辺を目指す。


「この辺りも、やはり寂れてきているようですな」


 商隊が結構頻繁に行き来していた筈の街道、今ではすっかりガランとしている。

 まあ、以前みたいに売るほどはなくても、荘園の上がりで自給できるくらいには生産力在るんだろうし、それ程大変じゃないかもしれんな。

 近場の邑に皆を置いて、また刃鳴さんと二人で女学院を目指す。

 辿り着いた女学院では、なにやらバタバタしている様子。


「これは、大変なときに、お邪魔してしまいましたかな?」


 女学院の門前には、金持ちそうな連中の馬車が止まっていて、荷物を運び出していたりしている。

 どうやら女学院の生徒でも、良家の子女ってのが、一時実家へと戻るようだ。

 それと卒業生だろうか? 学院の様子を見に戻ってきたのか、水鏡先生を手伝っている姿も目に入る。


「暫く待っていようよ。 おじさま」

「ふむ」


 暫く眺めていると、呼び合っている名前に見当がついて来る。

 残念ながら、徐庶や単福は見つからず。

 代わりに、調査で名前の上がって来ていた、カイ越・カイ良の二人が居た。

 しかし、ロリだ!?

 しかも、あわわとはわわのバッタモンみたいだ。

 少なくとも、格好はパクリだ。

 つか、あれって制服だったか?

 なんか、毒抜けて夢見がちの諸葛亮(はわわ)と、口元がちょっと嫌な笑みを浮かべている鳳統(あわわ)的な感じ。

 その癖、姉妹といえる程度には似てるので、微妙感が強い。

 なんか、すごい残念だ……とりあえず、アレはちょっとパスかね。

 とか言っている間に、なんとか出入りが落ち着いてきたようだ。


「水鏡先生、暫く振りでございます」

「これは、満腹殿」

「ご挨拶だけでもと伺ったのですが……。

 随分と、お忙しい様子ですな」

「いえ、もう落ち着きました。 どうか、お気になさらず」


 挨拶を交わし、暫く雑談する。

 話を聞くと、やはり街道の要所に賊の邪魔が入って、中々商隊が来ないらしい。

 あと、逸材級の連中は巣立った後の為、残った生徒たちは実家に引き上げさせるとのこと。

 これは危険もさることながら、パトロン連中である名士からの寄付も減るからだろう云々。

 しばらく、学院は休業だそうな。


「ところで満腹殿は、穀類を扱っておられると伺いました」

「はい、その通りでございますが?」

「少し用立てて頂けますでしょうか?」

「おや? この辺りでは麦米の生産も多く、流石に不足となる事は無いと思っておりましたが?」


 他はともかく、食い物は問題ないんじゃないっけ?


「確かに、今は余裕があります。 しかし、この先行きは未だ霧の中。

 今の内に備えておきたいのです」

「なるほど……それであれば、ご用意いたしましょう」

「感謝いたします」

「いえいえ、当たり前の商売でございます。

 感謝頂くようなことではございません」


 まあ、そんなに無理な値段には出来んな。

 麦米1に対して金1.2くらいで計算しとくか。


「それに先生のお陰で、商売の種を見つけました。

 先行きの為にと、この辺りの荘園を回ってみようかと思います。

 先生に、お買い上げ頂きましたと聞けば、幾らかは買い上げ頂けるでしょうしな」


 はっはっはと、軽く笑った。

 それから学院を辞し、言ってみただけは寄ってみようということで、近隣の荘園を回ってみる。

 で、モブっぽいチョイセレブな皆さんに「先行き不透明だし、ちょっと米とか買っておかない?」と、持ち掛けてみた所。


「ほほほ、一つ相談なのだが、買い取りは無理かの?」


 なんて言葉が返ってきた。

 思った以上に豊作だったりしたのか、余程に貯めこんでいるのか?


「可能ですが、宜しいのですかな?」

「構わぬ、構わぬ。 これでも余裕を見ておるのだ」

「それでは、買い取らせて頂きましょう」


 値段としては、麦米1に対して金0.8程度にしておいた。

 で、他の所では売れるだろうと思っていたのだが。

 他の連中、揃いも揃って「水鏡殿が購入しているというのなら、うちの余裕は引き取って貰っても構わんな。 やはり、麦米より金よ」とか言い出して、最終的に来た時より麦米増えてた……どういうことだ?

 今更、どうこう言ってもしょうがないにしろ、欲の皮の突っ張った奴ばっかしだったな。

 やはり買戻しが云々とか言われる前に、この土地を発つことにした。

 また暫くすれば、此処に来る事も在るだろうし、其処までの事にはならないだろう。


 それから幾つかの城下を渡り歩く。

 順調に在庫がはけていく。

 まだ余裕のある所が多いのか、流石に倍値では売れないが。


 そして、蔡瑁さんの治めている城下へ。

 ここでは、かなりの量を収める事になった。

 残りの在庫は三割というところか。


「おい、この一行の責任者は誰だ!!」


 夕方、モブ兵士さんが陣幕にやって来て、大声で呼ばわった。

 おい!! とか言われて、得物を手にしようとする人が居るので、ちょっと危ないですよ。

 さっさと出て行く事にしよう。

 待たせた所で、ろくな事にはならんでしょ。


「はい、私でございます」


 表に出て、兵士さんに一礼。


「金満腹に相違ないか?」

「はい、相違ございません」


 名指しかよ。 何事だ?


「ならば翌朝、城へ出頭せよ。 太守殿が、お会いになる」


 お、面会が通ったのか。


「畏まりました」


 翌朝、護衛に関羽さんと刃鳴さんを引き連れて、城の警備の兵士さんに声を掛ける。


「金満腹と申します。 城主様のお召により、参上いたしました」

「うむ、暫し待て」


 案内の兵士がやって来て、謁見の間に通された。

 そして、蔡瑁さんと面会がかなったのだが……オッサンかよ!!

 確かに能力は初期白蓮さんの若干落ち程度で、バランス型のそこそこ優秀といえるものだったが、オッサンじゃあなあ。

しかも太守とか、賊の親分とかみたいに、叩きのめして脅せばいいってもんでもないからなぁ。

 面倒くさいし、前回の黄祖さんといい、微妙に嫌なフラグみたいだ。

 普通に有り難いお言葉だけを頂いて、去ることにした。


「なにやら、無駄足を踏んでいるような気がしますなぁ」


 今回、広い範囲にフラグというか、ちょっかいかけてる感じで、どれか一つでも、上手くいくのか不安になってきた。

 全部空振りとかだと、泣けるんだが。

 嫌な予感を感じつつ、城下を後にした。


 次で、荊州での目的地は最後となる。

 黄忠さんのとこである。

 辿り着くと、門前でこの間のプレイヤーに呼び止められた。

 ずっと、見守り続けているらしい。


「よー、忙しそうっすね」

「ぼちぼちですな。

 様子はいかがですかな?」

「うーん、そうっすね。 ぼちぼちっすね」


 なんじゃそりゃ。

 話を聞くと、数人のプレイヤーが、此処を通過しているそうだが。


「商売はどうでしょうかな」


 ここで、在庫履けないと、涼州へ拠ることになるんだけどな。

 在庫は残り二割弱……ちょっと無理目か?

 城と、城下の商店に話を持って行く。

 城では、キッチリと備蓄しているとのこと。

 商店では、そこそこ売れた。

 在庫は一割五分……。

 イベントは特になし、璃々ちゃんも見かけず、面会も無理だった。


 荊州を出て、漢中へ向かう。

 道中で官軍に出会ったが、なんというかぱっとしない。

 まだ、危機感が足りてないのか、士気も低く兵数も少ない。

 これは、思わぬ数と賊の士気に負けるフラグっぽいな。


 漢中に到着すると、ゴッドヴェイドーの受付に、お布施をする。

 特にイベントはなく、涼州へ行くかどうか暫し悩む。

 涼州の様子を聞くと、結構大変らしい。

 どれほどの値がつくかは読めないが、確実に必要とされるとのこと。

 涼州へと、寄り道することになる。


 村を通り過ぎる毎に、捨て値で穀類を投げ売りしていく。

 それでも儲けが出てるのが、ちょっと恐ろしい。

 暫くそんな感じで進むと、何やら襲われている村が。

 それもまさかの官軍に。

 脱走兵か何かか五百程の数だが、ただの村程度で逆らえるような相手でもない。


「皆さん、行きますよ!!」


 そして追い抜かれる……バトルジャンキー含む十人程が襲いかかって、あっという間に近場の敵を叩きのめす。

 更に追いついた連中が、残りを囲んだかと思ったら、終わっていた。

 なんとも呆気無い。

 方が付いた後、村の様子を見るに、ほぼ半数が死ぬか重症という酷い事になっていた。

 突発のイベントにしては酷い。

 脱走兵らしき連中の使っていた、鎧に武器に馬だとかを売り飛ばすとして、ある程度の金にはなるだろうが、この村を立て直すのは難しかろう。


「お助け頂き、ありがとうございます」


 村長さんらしい人に頭を下げられた。


「いえ、我々が遅かったばかりに」

「とんでもございません。 半数助かっただけでも天佑と言えましょう。

 それよりも、商人の方とお見受け致します」

「はい、商売を生業としておりますが」

「すみませぬが、食料を譲っては頂けませぬでしょうか」


 それは、問題ないですが。


「この連中の持ち物との交換をお願いしたいのですが」

「いえ、ここで出会ったのも、何かの縁でしょう。

 必要な量は、さし上げましょう。

 物を売り払った金は、この先で必要になるでしょうから、お持ち下さい」


 どうせ、大した量じゃないしなー。


「ありがとうございます」


 ボタボタ涙を流しながら、村長さんは頭を下げていた。

 それから荷物をまとめ、村人を近場の城下まで送ることにした。

 どうやら、馬家の勢力下の様子だが、あまりパッとしない。

 そこへ、結構な人数が向かっているのを知ったのか、騎馬の一軍が誰何のためにやって来た。


「貴様ら、何者だ? この先へ向かうのであれば、用件を聞かせてもらおう」

「私、金満腹と申す商人でございます。

 この者達は、我が一党と襲われておった村人達でございます」


 斯く斯く然々と、官軍崩れの連中に襲われていたこと、此方で叩きのめしたということ、生き残りを受け入れて貰いたいということ、受け入れて貰えるなら、在庫の麦米を差し上げる用意が在ることなどを伝えた。

 一軍からは伝令が飛び出し、城下に向かって駆け抜けていく。

 それから一時間ほど待たされて、受け入れ諸々の話を応諾するとの返事が来た。


 村人を城下に預け、麦米の受け渡しを終えると、村長さん以下に拝まれてしまった。

 このイベントは成功なのかどうか?

 良く判らないまま、出発しようとしていると、村人たちの中から小柄な影が飛び出してきた。


「どうか、私を連れて行って下さい」


 見ると小柄というより、普通に子供だった。

 一体何が何やら? イベントの続きか?


「あなたは?」

「伯約、姜伯約と申します。 どうか、私をお連れ下さい!!」


 えー、姜維って、まだ生まれてない時代だろによ。

 さすが恋姫、何でもありだな。

 とはいえ、蜀系軍師のロリパターンではない様子だが、まだ子供過ぎてよく判らん。

 眉毛とか目元口元が凛々しい感じで、セリフを噛まないので、普通に成長するのかとも思うが……で、ステータスはと。

 ん、普通に高いな。

 まあ、成長後の話なんだろうけど。

 初期白蓮さんを、更に戦闘向けにシフトしたような感じで、統率、知力を上げて政治下げてるってとこか?

 それでも、全能力七十を超えてるので、普通に優秀だな。

 っていうか、こんなイベントでぽっと湧いて出るなよ!!

 何やってるんすか、諸葛亮の後継者が!!


「駄目でしょうか?」


 ションボリされてると罪悪感ががが。


「もし、私に付いて来るとして、私は悪人ですよ」

「構いません」

「あなたに酷いことをやらせて、酷いことをしますよ」

「大丈夫です」


 どういう意味で大丈夫なのか、聞いてみたい。


「母は賊共に殺されてしまいましたが、その敵は討っていただけました。

 そして、村の方々も助けていただき、そのうえに先の事まで。

 もう思い残すこと、心残りも有りません。

 どうか、この身をお好きに使い捨ててくだい」


 そう言って、頭を下げる姜維さん? ちゃん?

 まあ、損はしないというか、スペック的に捨てる手はないんだけど、狙い目が上手く行かずに、ぽっとわけわからない所でゲットに成るのが、いまいち非常に納得できないわあ。


「判りました、貴女の覚悟、お預かりいたしましょう」

「私の真名は「麒麟」といいます。 どうか、お受け取り下さい!!」


 麒麟とか、姜維とか、絶対にどっかの投稿武将だよな。

 中二過ぎる。


「判りました、麒麟。 貴女の真名、お預かりしましょう」


 で、指輪渡す。

 後々に、成長させるけど、この周回初ゲットが幼女とはなぁ……。

 さて、益州行くか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ