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「多いですなぁ」


 ひのふのみと、指折り数える途中で面倒になってやめた。

 益州への道中ではあるが、賊連中が多すぎる。

 数百の連中は、真ん中ぶちぬいて散らしてしまい、数十なんぞは騎馬で踏む。

 そんな事を続けているものの、日に十数回ともなると飽きてくる。

 一部の騎馬バトルジャンキーは、世紀末状態でヒャッハーしてるが、付き合ってられん。

 今の所、黄色い布ってやつの率は、ほぼ五分であり、黄巾として纏まりきっては居ない様子。

 だというのに、世の乱れは極まっていると言っていい。


「考えても仕方はないですかな」


 そういうシナリオなんだし。

 そんなことを考えていると、当初の目的地である、水鏡女学院の近隣へと辿り着いた。

 目的としては、何かイレギュラーで、ロリじゃない軍師が居ないかなーと。

 今の所、徐庶さんとかいると、狙いに行きたいところである。

 あとは馬良、馬謖とか出てると、見てみたいけど。


「それでは伺いましょうか」

「あんまり行きたくないよ、おじさま」


 刃鳴さんと連れ立って、女学院へと向かう。

 因みに、荊州に混ざりこんでいるらしいプレイヤーは、黄忠さんの治めている城下あたりでの消息を知られている。

 袁術さんところの連中は、商人・役人・武将にしろ、今は色々な準備に躍起になってると思われるので、現状の所での脅威度は低い。

 大体、水鏡女学院へ行く=ガチな人って向きもあるらしいので、ガチでロリな人か、ガチでステータス主義の人以外は、余り立ち寄らないそうな。

 前回に続いて二回連続だが、俺はそのへん気にしてないかなあ。


「さて、鬼が出るか、蛇が出るか」


 果たして水鏡先生は、前回のようなオバちゃんではなく、年齢不詳の妖艶な女教師でした。

 なにそれエロい。

 思わずゴクリと息を呑んでしまったが、刃鳴さんに肘を食らって落ち着いた。


「この度は、どのようなご用件で?」


 艶然と微笑む中にも、ほのかな警戒心を感じる。


「はい、商人というものは、人の繋がりというものが財産でございます。

 此方に伺ったのは、世に出る前の賢者様方に、名でも顔でも覚えて頂ければと考えた次第で」


 併せて、うちのマイ外史の商家で取り扱いの始まった、+3~+5程度の書籍型アイテムを幾つか包み、水鏡先生に手渡す。


「これは、ほんの迷惑料とでも、しておいて頂ければ」

「ありがたく頂戴いたします。

 しかし、少々困りましたわね。

 主だった逸材といえる者達は、ほんの数日前に旅立ってしまいました」


 あ、そういや、原作の軍師二人は、黄巾前に巣立ってるんだったか。

 他には居ないのかね?


「それはなんとも残念。

 とはいえ、こうして名高い水鏡殿と、お会いできたのです。

 それを思えば」

「そう言っていただけると」


 そんな事を暫く話して、その場を辞することにした。

 そのうち、また寄る事にしますと一言添え、学院を後にした。


「むう、空振りでしたか」

「ちょっと遅かったね。 おじさま」

「刃鳴殿は、ちょっと嬉しそうですな」


 そんなに、はわわとかに会いたくなかったのか。


「先生に会えたからかな?」

「ほう、それなら、水鏡先生も狙ってみますかな?」


 そんなことを、帰りの道中に話していた。


「はてさて、収穫は有りませんでしたが、次に参りますか」


 次に向かうのは、独立勢力扱いの城下になる。

 まあ、普通の勢力プレイの時は、ノンアクティブの障害物でしか無かったが、商人としてみれば一つの消費地であり、お客様だ。

 幾つか在る、それらを巡りながら、NPCに顔繋ぎしておく事にしよう。

 どうせ、複数回の顔出しはするだろうからな。


 で、幾つか巡って、大きい所に辿り着いたら、どうやら太守が蔡瑁さんらしい。

 本当に、劉表さん以下の血族は、何処に行ったんだろう?

 解けない謎はさておき、此処に蔡瑁・張允の、赤壁時の曹魏水軍が誇る、サッパリ都督&サッパリ副都督がいるわけだが……。


「申し訳ないが、太守殿には面会はできぬ」


 あー、駄目ですか。

 城の門番さんに面会願いをしては見たが、アッサリと断られてしまった。


「貴殿が我が城下にとって貢献大となれば、太守殿からの報奨も在るだろう」

「畏まってございます」


 つまり、会いたかったら、もっと金なり物資なり落としていけよってか。

 残念ながら、現在は初っ端に大盤振る舞いしたんで、麦・米側の実弾が足らん。

 ポイントで買ってもいいが、商人プレイが破綻するので、その辺は有り物で対処するという、縛りプレイにしておこう。

 この周回で、まだまだやって来るだろうし。

 まあ、それなりに他の物で売り買いしたし、次の時にはなんとかなるだろう。


「さくさく行きましょうかな」


 次いで向かうのは、独立城下の中でも、一番謎な黄忠さんの治める城下だ。

 正直、原作キャラが何で、こう云う配置に成るのか良く判らん。

 原作でハッキリ位置が明記されてないのと、作品に依っても違うからしかたがないのか。

 WIKIでも、出現地点が安定しないとか書かれてたりするので、考えるだけ無駄かもしれん。

 なんでも、荊州の北、豫州との境だったり、益州側だったり、劉焉配下で厳顔さんと一緒だったりとか……今回は、荊州の益州に近い側に存在した。


「あー、結構大きいですな。

 劉備ルートでイベントする為に、黄巾騒ぎでこけない程度に、勢力を盛られてるのでしょうかな」


 その癖、何故か娘を攫われるんですが……厳重さは見せかけか。

 あと、なにやら、プレイヤーが出没してるらしいし、此処では注意が必要だ。


「なあなあ、アンタもプレイヤーっすよね」


 とか行った側から、捕捉されてる!?

 何コイツ?

 見ると、短パン・Tシャツ・ジャケット・スニーカーで隠す気ゼロな、現代風の楽な格好をした、短髪の兄ちゃんが、騎乗している此方を見上げている。


「何でしょうかな?」

「あー、警戒しなくていいっすよ」


 手をプラプラさせつつ、馴れ馴れしげに


「はて?」

「あー、これだからロープレ重視の連中は!!」


 いかにも面倒くさいと言わんばかりの渋り面。


「いいっすか? このタイミングで、いち早くやって来る商人とか、NPCじゃありえないんっすよ!!

 だから、こんな所に今来てる連中は、プレイヤーバレバレなんすよ!!」


 うわ、マジか!? そんなセオリーが!! 確かに説得力ありすぎて泣ける!!

 なるほど、儲けにはリスクが有るんだな。


「仕方有りませんな。 それで、私に何か御用ですかな?」

「いや、別に一言注意しておくだけっすよ。

 もし、アンタが璃々ちゃんに手を出すって云うなら、ただじゃ置かないってこってすよ」

「特にそういう予定はございませんが」

「ならいいっすよ。

 俺ら『璃々ちゃんをそっと見守る会』が、怪しい連中を見逃さないっすから」


 うわー、ガチな人を見てしまった。

 あれですか? ノータッチ的な。


「そこは、どういう顔をすればいいのでしょうかな」

「笑えばいいと思うっすよ」

「ふむ」


 訳が判らないよ。


「しかし、今回の主人公は呉ルートのようですが、誘拐騒ぎは起こるのでしょうかな?」

「あー、そうなんっすね。 情報はありがたく頂いておくっす。

 でも、主人公のイベントより、プレイヤーの方がたちが悪くて、危険度高いんっすよ。

 あれは見てて、あんまり気分の良いもんでもないっすからね。

 こうして、見守っているっすよ」

「なるほど、色々なプレイスタイルが在るようですな」


 ガチな人って訳でもないのか?


「そういうことっす。

 しかし、この先の黄巾が騒ぎ出す時期に、これっぽっちの護衛じゃ、危険っすよ。

 将がそれなりに強くても、数で押されると被害が出るっすから。

 もうちょっと増やしたほうが正解っすね」

「なるほど、ご教授ありがたく。 少し、考えておきましょう」


 プレイヤーさんと別れて、城下へと入る。

 此方でも少し商売してみたが、やはり面会は叶わなかった。

 次回に期待。


 そろそろ、荊州をでて、漢中に辿り着く。

 ゴッドヴェイドーの総本山でもあるかと期待していたが、特には見つからなかった。

 一応、寄付の受付やってるみたいな所があったので、全くの無関係でもなさそうだったが。

 気持ちだけ寄付しておく。

 そういや回復職っぽい、気の使い手は居らんのだろうか?

 あと、此処から北へ向かえば、涼州にも顔を出せるが、穀物残して寄ってみるのもいいかもしれん。

 今からの時期だと、高く買って貰える候補地になるやも。

 ほかが煮詰まってきたら、そちらも考えてみよう。

 あちらに居た時は、なかなか大変だったしな。

 ただまあ、今は物がないから、素直に益州を目指そうか。

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