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 さて、勢いというか成り行きというか、ほとぼりの冷めるまで、この土地を離れることにする。

 一応、拠点の商店と茶屋については、現状維持とするので、袁三姉妹と李氏さんに楊氏さんは、お留守番になる。

 魅力型のモ武将も護衛につけるが。


 考えて見れば、ちょうどいいタイミングなのかもしれない。

 これから先、最初の小競り合いが終わって、黄巾に突入する時期だ。

 実は商人プレイのWIKIだとか、リプレイ日記を読んでいると、大方の意見として、この時期が一番稼ぐには良いタイミングということだ。

 要は通商路が途絶えて、武力がなければ商売の難しい時期であり、兵糧その他の消費も激しい上に、勢力としても地盤の固まりきって居ない時期だからということ。

 つまり、消費地では完全に売り手優位で、出荷できない物資のダブついている所では買い手優位となっている。

 この辺りで、農業特化や商業特化のマイ外史を抱えている連中が、大暴れするわけだ。

 プレイヤーはマイ外史へのやりとりで、物資のかさを大分圧縮できるという裏技があり、NPCより大分有利だし、初期白蓮さんが居れば並の賊には負けはない。

 となれば、商業特化の連中は一斉に益州や荊州を目指し、農業特化の連中は河北辺りで在庫を吐き出し、現ナマ確保後に益州等へ向かう。

 後は両者ともに米転がしを、何回転出来るかの勝負に成るわけだ。

 偶に黄巾が即座に収束し、泣くこともあるようだが。

 うちとしては、どちらにしろ余裕は有るが、どちらかと言えばポイントの方が用意しやすいので、先に穀倉地に向かう方が良いだろう。


「あの、旦那様」


 総引き上げの準備をしていると、田豊さんと沮授さんの二人がやって来た。


「どうされましたかな?」


 ちょっと野暮ったい感じの、クラシカルなメイド服を着た二人。

 かっちりと結い上げたアップの髪と知力・政治力と魅力の増強を掛けているイヤリングとメガネが、お硬い感じを助長してしまっているが……だが、其処がいいのだ。


「はい、人材捜索の件で、ご報告を」

「ほう」


 そんな事も言ってたな、すっかり忘れてたわ。


「それでは、伺いますかな」

「はい、まずは揚州ですが、武力に優れた者が一人。

 名を太史慈と申します」


 シギーかよ。 また厳ついのが出てきたな。

 ネタキャラじゃなけりゃ、いいんだけど。


「ただし、この者の母親が思わしくなく」


 あー、なんとなく読める。


「では、その者の在所に丘力居殿の軍を派遣し、近在を守りつつ母親を養生させてやれば、恩をきてくれますかな」

「恐らくは」

「ではそのように」


 田豊さんが一歩引き、代わりに沮授さんが前に出る。


「では、次に荊州にて」

「ほう」

「水鏡女学院にて、世に出る前の智者が数人。

 他に独立勢力にて、水軍に適性のある者として、蔡瑁、張允。

 文武に優れたるものとして、黄忠。

 また、知に優れたものとして、カイ良、カイ越の名が上がっております」


 流石は荊州、人材多いな。

 ただ微妙なのも間違いないな、水鏡先生のとこはロリ限定に近いし、黄忠さんは取っ掛かりがあるかな?

 蔡瑁さんは水軍の為に欲しいが、黄忠さんも含めて、独立勢力って辺りが、どういう状況なのか読めないのがちと辛いか。

 道中としては、荊州から漢中目指して、そこから益州入りして買い物。

 帰りは川下りかな。


 そんなこんなで旅の道行きも決まり、孫家の城下を出る前に、あちらこちらに挨拶して回ってたら、商人の連中に麦米売ってくれと捕まった。

 中々に目敏いな。

 まあ、余裕はあるんだが、まだ値段が上がって来てないしなーと思いつつ、付き合い程度に売っておくことにする。

 とはいえ、袁術さんとこの丁稚である商人については、割りと丼勘定で高く買ってくれるようなので、ガッツリ回しておいた。

 まあ、あの値段でも、少し寝かせれば元は取れるんだろうなーと思いつつ、思いの外の儲けにホクホクしてると、色白おっぱいさんこと陸遜さんが、少々恨めしげな視線で睨んできていた。


「一応、一息つけるくらいは売って貰えましたけどぉー。

 やっぱり、怒ってるんですねぇー」

「いえいえ、滅相もございません。

 わたくしめの気分など、取り立てて申し上げる程の事ではございません。

 あの客分の方が何様であろうと、少なくとも孫家が受入れているという事が、私よりも信用でき役に立つと思われている所に、些か感情が穏やかではいられないとしてもですな」

「怒ってるじゃないですかぁー」


 そりゃまあねえ。

 気分が良い訳ないでしょうよ。


「その辺で、勘弁してやって貰えないか」


 なにやら、割って入る声。

 陸遜さんがビクッとしているのが目に入る。

 それから声に向かって振り返ると、其処には赤い装束に黒髪の麗人。

 おや、周瑜さんですか。


「これはこれは、周家の」

「公瑾だ。 よろしく頼む」

「此方こそ、といいたい所ですが」


 なかなかね。


「なるほどな。 今更、孫家にと誘っても……」

「まあ、あの北郷殿とは相容れないと思って頂ければ」

「あうぅ」


 陸遜さんが凹んでいる。


「仕方ないな、あれを放り出す訳にも行かんのでな」


 流石に天の御遣いは放り出せんか。


「ふむ、あの方は頭は回るようですが、先ずは物を教えるのに苦労しそうですな」

「ふっふふ、確かにあれは物を知らんな。

 だからといって、我々が知る事だけが全てでもないのさ」


 おっと、失言。 てな風情でクルリと躰を返し、片手を振りながら去っていく。


「あの方は、何をしに?」

「ふーふーふー、あなたの事を量りに来たのに違い有りません」


 なんで、そんなに嬉しそうなんだ。


「きっと、こわ~い、仕返しを」


 あ、周瑜さん。


「さあ、穏、そろそろ帰るとするぞ」

「きゃうー、冥琳様、いたいでうー」


 何時の間にか引き返してきて、陸遜さんの背後に立っていた周瑜さんが、陸遜さんのホッペタ摘んで連行していった。

 本当に何だったんだ?

 ま、いいか。


「さて、出発しますかな。

 できれば黄巾の連中が、ある程度の塊になる前に、漢中まで行ってしまいたいところですな」

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