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 拠点の自室で一服しようと、お茶を頼んだら、何故か董卓さんと董旻さんがメイド服で現れて、お茶の用意をはじめました。

 何故かフレアミニなスカートで、下着はともかくタイツの脚がチラチラするんですが。


「はい、ご主人様」


 ニッコリと微笑みながら、お茶うけと茶を置いてくれる董卓さん。


「はいどうぞ」


 同じく微笑みながら、湯気の立つ蒸しタオルを置いてくれる董旻さん。


「これはこれは」


 蒸しタオルを手に取り、顔に当てると目の疲れが解けていく。

 いい感じに疲れが取れ、ホッとしたところで、蜂蜜入りのしょうが湯らしい、甘い香りのする湯気の立つ杯に手を伸ばす。


「美味しいですな」


 感想を述べると、ほにゃっとした笑顔を返してくる二人。

 何とも癒し系でいい。

 そうして、しばし雑談していると、がらっと扉を開き、騒々しいのが入ってきた。


「ちょっといい?」

「お邪魔するわよ、満腹」


 何故か、此方もメイド服というには、リボン盛り過ぎの可愛らしい格好をした、賈駆さんと李儒さん。

 何やら、資料らしきものを抱えて、がさっと卓の上に軟着陸した。


「おや、急にどうされましたかな?」

「一応、進捗をね」


 二人の内、賈駆先生が代表してしゃべるらしい。

 ああ、プレイヤーの割り出しの件だっけか。


「どのような具合でしょうかな?」

「まあ、この近辺には居ないか、居なくなったみたいね。

 賊をやっていたのか、最近の大掃除のせいで、退治されたか移動していったんでしょうね」


 なるほど、プレイヤーだか、主人公だかの動きとみて避けたか。


「それで、他に怪しいのとしては、袁術配下に二人ほどと、商人らしいのが一人。

 他には荊州閥に、なにやら動きのないのがいる様子ね」


 割と多いか? 近辺には様子見されてるかな?


「多分ね、探られてるとは思うけど……。

 まあ、此方から動いては居ないから、様子見以上のアクションはないでしょ」

「当分は、此方も放置ですかな」

「そうね、其れよりも、ちょっと問題なのがね」


 おや?


「これを見てくれるかしら?」


 今度は李儒さんが資料を広げて説明を始める。


「何でしょうかな?」

「結達のやってる、取り込みついでの調査の結果」

「それで?」


 何やら資料を見るに、此処周辺の力関係と派閥の志向かな?

 孫家が強いが、それでも単体では三割も握れていない。

 ただ、周家や陸家が親孫家派閥として併せて二割ほどの影響力を持っている。

 次に、拠点を他所に持っている商人を主として、様子見の連中が二割、袁家の息のかかっている連中が二割。

 ただ、何故かうちが親孫家のスタンスの新興勢力として、一割程の勢力を持ち、外部の商人たちに影響力を持っているため、全体として孫家勢力が大勢を握っているという感じになっている。


「どういうことでしょうな?」


 親孫家なんて表明したことはないんですが。


「まあ、此方から特に何もしていなければ、向こうは自分の都合のいい用に考えるもんでしょ」

「そのまま既成事実にすり替わっていったということですかな」

「そんな感じね」


 えーと、どうしてそうなった。


「別段、孫家に便宜を図ったりは?」

「してないわよ。

 でも、まともな商売してるから、吹っかけ気味の商売してる連中の邪魔はしてるかも」


 あー、なるほど……。


「それが、袁家の息のかかった連中ということですな」

「そういうことね」


 むう、孫家に仕官蹴られて、憂さ晴らししてやろうかと思ってたら、思いの外に商売が面白くて、熱中している間に、まさかの結果に。

 どうしてくれようか。


 なかなか良い考えも浮かばず、なんとなしに巡回というか、見回り中。

 アンテナショップというか、噂集めの茶屋に立ち寄る。

 落ち着いた感じの店に、商人らしい連中と役人らしい連中が、席の半ば程を埋めている。

 特に軽食らしきものは出していないので、純然たるお茶か、商談ごとなんかに使われているんだろう。


「いらっしゃいませ、旦那様」


 中を覗いていると、楊氏さんがそばに立って、どうぞこちらへと誘われた。


「どうですかな?」

「おかげさまで繁盛しております」


 様子を見るに、その言葉は間違いないようですけども……。


「何やら、孫家の方が多いようですな」

「お役人の方には贔屓にして頂いています」


 むう、こちとら仕官蹴られたんですけどねい。

 ちょっとカチンときますな。


「うむむむむ」

「あぁ、どうか、お許しを」


 ふと気づくと、腰砕けになった楊氏さんが、切なげに小指くわえて、上気した頬に髪の毛を玉の汗で貼り付けて、息を荒らげていた。

 何気なしに腰に回していた手が悪さしていたらしい。

 和風チャイナのスリットから手を滑り込ませ、下着に割って入った指がいささか乱暴に、弄っていたらしい。


「申し訳有りませんでしたな」


 このままってのも味気ないので、少々強引目に抱き寄せ、首筋に唇を寄せ、目一杯跡を残しておいた。

 様子を感づいてやって来た李氏さんに、ぐったりしてしまった楊氏さんを預け、店の邪魔をしてしまった事に、一言詫びを入れるついでに李氏さんの唇を味わってから、店を後にした。


 その足で炊き出しをやっている劉備さんの所へ。

 少々離れた開けた場所に大勢が集まっている。

 しかし、何やら物々しい一角が……なんで兵士っぽい連中が?


「あ、ご主人様」


 子ども達に囲まれ、年配の人達に拝まれていた劉備さんが、此方を見つけて駆け寄ってくる。


「お疲れ様ですな」

「全然問題なし、大丈夫だよ」


 おうふ、無自覚なのか、胸を力強く押し付けてくる。

 いや、なんとなく計算してるっぽい気がするな。


「桃香どの。 連中はどういう連中ですかな?」


 兵士らしき一団の居る一角を視線で示す。


「うん、孫家の兵士の人。

 問題が起きないようにって、警護役なんだって」

「ほう」


 我ながら、声が一段下がったな。

 もしかすると、うちが親孫家とか言われてるのは、あれのせいか?

 というか、うちは勢力の色を表に出してない所に、孫家の色を出す連中が護衛とかしてるんで、うちの炊き出しが孫家主導とか思われてないだろうな。


「ちょっと気に入りませんな」

「うん、一応それとなく断ってみたんだけど、孫家の将って人まで出てきて」


 おいおい。


「どなたのお声がかりでしたかな?」

「陸伯言って人だった筈。 それと、天の御遣いの人と」


 あー、そりゃ黒いというか、そうなると判っててやってるな。

 ギルティです。



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