表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/79

67

 街の空き家を購入した。

 元商家らしく、表が一寸した店で、奥が母屋になっている。

 庭には蔵があり、厩舎もあり、裏には水路があって船着場もある。

 正直、高い買い物に成るかと思ったが、世相の所為か、プレイヤーに対してのボーナスか、吃驚する程に安かった。

 これなら、商人プレイも面白いかもしれない。

 まあ、初期の拠点には無駄にデカイし、最初の投資にしては大きい買い物だが。

 とはいえ、二百人超のメンバーを考えるとこれでも手狭だ。


「さて、まずは真面目に始めても良いのですがな」

「人手は多いんだし、色々手を出しても大丈夫じゃないか?」


 拠点が決まったからか、白蓮さんがやって来た。

 地道に商売の規模を広げていくのもいいが、折角のフリーハンドだ、思いつく事を色々やってみるのもいいか。


「そうですな、白蓮殿には、色々と手を借りることになりましょうな」

「ああ、なんでも言ってくれ。 主殿!!」


 何時の間にか、二号さんも、後ろでしきりに頷いている。

 お、そういえば、珍しく初期衣装ですね。

 女秘書ルックも色っぽいんですが、此方は此方で凛々しいです。


「ふむふむ、凛々しい女性を手の内においているというのは、やはり素晴らしいものですな」


 腰に手をやり、細くも引き締まったクビレを撫で上げる。


「こら」


 二号さんにも手を伸ばし、此方はキュッと上がった尻のラインに手を沿わせる。


「おい」


 二人共に眉尻を上げ、頬を朱に染めながら、しつこい手をつねりあげてきた。


「あいたた、これは失礼。

 つい誘われるようにですな」

「それはいいから、何をすればいいんだ!!」

「そうですな」


 ちょっと考える。

 二号さんが、ちょっとした情報を読み上げてくれる。


「まず、この土地の商業規模は、一言で言って酷いな。

 一勢力の基盤地であり、水運を使うに容易いというのに、酷いとしか言いようがない」

「それはまた」

「陸家・周家等、大きな力を持っている連中が、幾らか頑張っているみたいだけどな。

 大きな流れを中央への地縁から荊州へ、金回りの差で汝南袁家に握られているな」


 あー、前周で俺がやってたことね。

 割りと孫家って経済的には押さえ込みやすいような気がする。


「それに、賊が多いせいで、水運の足枷になっているな」


 確かに初期状態では賊が多すぎて、ある程度勢力が力振るって安全圏作らないと、どうにもならんのよね。


「ふむ、仕事のあてが見えてきましたな。

 先ずは、主要な商街道の警ら・護衛。

 次いで、自らの商い。

 最後に賊退治と取り込みですかな」

「そんなとこかな?」


 さて、そうなると。


「碧どのに華雄どのを」


 NPCのモブさんに呼んでもらう。


「ん、満腹。 私を呼んだか?」

「来たわよ、あなた」


 なんとなく、対照的な二人が姿を現した。

 片やスレンダーで、張り詰めたような緊張感を漂わせる豪斧の武人。

 片や柔らかくも、しなやかな覇気を身に纏う閃槍の猛将。

 そんな二人がスリットから、肌色チラチラさせてるのも、なかなか好いですな。


「早速ですが、お二人には近辺の賊を叩きのめして頂きたい。

 遠慮は無用です。

 我々の名を売って頂きたいのです。

 いわば、我らが先鋒、我らが顔ですな」

「うふふ」

「承知」


 さて、次は。


「樊稠どの、蹋頓どの」


 再度、NPCのモブさんに呼んでもらう。


「おう」

「呼んだか、満腹」


 短く参上の意を告げる蹋頓さんと、若干華雄さんにキャラの被る樊稠さん。


「白蓮一号どのと樊稠どのには、街道の警らと商人達の護衛を願います。

 此方は地味ですが、名よりも実利で評価する連中に、我らを認めさせるのが目的ですな。

 あとは、まあ新規の連中が活性すれば儲けものというところでしょうか」

「了解だ、満腹」

「任せて貰おう、主殿」


「白蓮二号どのと蹋頓どのには、うちで編成する商隊を護衛して頂きます。

 うちの活動の根幹となりますので、宜しくお願いいたします」

「わ、判ってるぞ。 主殿」

「この鉄杖にかけて」


 さて、外に出る人間はこれで良いか。


「次に、袁三姉妹を」

「既に来てますのよ」「商売にかけて、仲間はずれは無しよ!!」「おまかせ下さい」

「それでは、お願いします。

 まず、袁譚どのは主に外部との折衝を含めた商会のまとめ役を。

 袁煕どのには、商隊の編成を含めた人事を。

 袁尚どのには、細かい売買を含めた実務をお願いします」


「畏まりましたわ」「おまかせですわ!!」「おまかせを」


 なんか、キャラがどうだったか、自信がないな。


「あとは、李氏・楊氏どのと、桃香どの。 月どのと結どの」

「「御前に」」

「ご主人様、おまたせ」

「「ご主人様。ただ今参りました」まいた、へぅ」


 あ、董旻さんが噛んだ。


「まず、李氏・陽氏のお二人には、近くに茶屋を買い取るので、そちらで噂などの収集を。

 桃香殿には、働けない孤児や病人達に慰撫を。

 まあ、名前売りの一環ではありますが、お願いしたします。

 また、月どのと結どのには、近隣の実力者に対する取り込みをお願いします」

「「畏まりました」」

「「がんばります」」


 静かに了承する二人組の方と違い、何やら考えこんでる劉備さん。


「孫家の地盤で、ご主人様の名を売ればいいんだよね。

 孫家は叩くの? それとも無視するの?」

「どういうことですかな?」

「えーと、単に名声を得るだけなのか、孫家に対して嫌がらせとするのかかな?」


 むう、なんという、黒劉備。

 劉備さんの人徳で嫌がらせに徹しられたら、国は無理でも城くらい傾きそうですな。


「とりあえずは、名を売るだけでよいでしょう。

 孫家に関わるかどうかは、もう少し先の話です」

「了解だよ、ご主人様」


 ああ、そこの董卓さんと董旻さん、黒いオーラにビビって泣かないの。

 さて、残る手札はと。

 残りの方々も呼んで貰い、凡そ揃ったようですな。


「軍師組の方々についてはですな。

 田豊どのと沮授どのには、情報を集めつつ、人材の登用を試して頂きたい。

 主に荊州が狙い目に為るかと思われますが。

 次いで、詠どのと永どのには、近隣勢力の中で、プレイヤーらしい連中の分析・切り分けを願います。

 最後に刃鳴どのには、私に付いていただき、都度都度の助言を願います」


 一回りの指示を出す。


「「畏まりました。 旦那様」」

「やってやるわよ。 満腹」

「任せないさいな。 満腹」

「おじさまの為なら頑張るよ」


「ああ、実働としては、近場の場合は愛紗どの。

 足を伸ばす戦力としては、星どの達にお願い致します」

「了解しました」

「華蝶か「それは禁止ですな」なんと!?」

「酒とメンマは支給しますので」

「お任せ願おう!!」

「鈴々達は何をすればいいのだ?」


 張飛さん達が、何時の間にか、私の膝上でニャンコしている。

 先ほどまでしがみついていた刃鳴さんが押しのけられて、ちょっと涙目になっている。


「鈴々どの達には、私のお手伝いを願います」

「わかったのだ」「任せるのだ」

「最後に、丘力居どのと、ヤス・キン・チョイ・チャンには、賊の取り込みをお願いしますかな。

 碧どのや華雄どのに恐れをなして離散する連中を、迷惑にならぬよう一纏めにしておきたいのです。

 まあ、どうにもならん連中は、袁家に向けて、けしかけてやって頂いても構いませんが」

「旦那様はあくどいわね」

「「「「……」」」」


 そういう謀略系は得意でしょう、あなた。

 オッサン連中も黙らない。


「では、宜しくお願いいたします」


 一同が解散し、各々が行動を始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ