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62をいじったので、こちらも若干修正。

 現在、軍を率いて進行中……。


「完全に梯子を外されたようですな」


 なんとか傷が治った矢先、呼び出され軍を預けられ、どうにも貧乏籤な役目を押し付けられた。

 曰く、河向こうに橋頭堡になる陣の建設と。

 禰衡さん発案の余りに無茶な策に、流石に黄祖さんは頷かんだろうと思ってたんだが。

 アッサリ了承されてしまった。

 まさかの根回し済みだったのか?

 禰衡さんよ、あんたはコミュ障じゃなかったんかい!!

 正直、未だにどうしてこうなったのか納得いかん。

 どう考えても、うちの得に成る気がしない。


 大体、他の陽動も援護もなく、ただ二千の歩兵と千の食い詰め工人で、敵地に入り込んでの任務。

 今のところ、両軍に大きな接触は起きていないにしろ、捨て駒という素敵な言葉が頭に浮かぶ。

 何が拙かったのやら?

 禰衡さんに嫌われているのは今更に過ぎるので、判らんでもないが、黄祖さんにポイされる心当りがない。

 少なくとも、先だっての争いじゃ、功労者だろうし?

 もしかして、禰衡さん以外からの圧力か? 例えば袁家とか?

 まあ、同じく厄介払いか、副将に甘寧さんと水軍衆五百を付けて貰えたのが、辛うじてのプラス要因だ。

 もう、リアルでもないのに、他人の思惑に乗せられるのが、ここ迄面倒とは……。


「興覇殿!! 敵影は!!」

「今の所、姿はない!!」

「今のうちですな。 総員、河を渡るぞ!!」


 おー、という声に併せ、ワラワラと筏に取り付いては河へ進む兵達。

 正直、甘寧さんが居なかったら、まともに偵察とか出来なかったと思う。

 例えば渡河中に発見されたら、上流から丸太流されたり、斬り込まれたり、下手すりゃ火矢でも射掛けられるのが関の山だろう。


「なんとか一段落ですな」


 渡河終了後、陣を整え夜を迎える。

 今回、配下キャラクターは、この軍勢には連れてきていない。

 付近には伏せている筈だが、どう考えても袁家の目が、しかもプレイヤーかもしれない連中が、付き纏っているかも知れない状況で、あまり大騒ぎはしたくない。

 下手したらチーターか、良くて課金廃人呼ばわりで、晒しスレに降臨だろう。

 幸いと言っていいのか、この周回では、まともにゲット対象が居ないので、最悪死んでも諦めが付く。

 態々痛い思いはしたくはないが、死亡退場は今の内に体験しておいてもいいだろう。


「興覇殿、お疲れ様でございましたな」

「いや、それよリも、どう思う? 満福」


 甘寧さんが辺りを、静かな……静か過ぎる夜闇へと視線を投げかける。


「そうですな、どうにも嫌な予感がしますな。

 ここ迄、何事も無くこれてしまった。

 まるで知らない内に大蛇に丸呑みにされているような、そんな気分にさせられますな」

「言い得て妙だ」


 なんとも嬉しくなさそうに渋い顔をする甘寧さん。


「ともあれ夜が明けたら、少し進んだ所にある廃村を目印に、再度陣を敷きます。

 その上で、廃墟の残骸と筏の材木で柵なり作って、後は援軍がさっさと到着してくれるのを祈るだけですな」

 

 あまり、ご利益は期待できそうにないが。




 で、開けて翌日、祈った甲斐が有ったのか。


「なんとか、朝は迎えられましたか」


 朝靄のけぶる中、日の出を迎える事が出来た。

 しかし、先の事は朝靄と同じく、見通しが立たない。

 ともあれ廃村を目指し、陣列建てて進んでみたが……。


「伝令!!」

「何事ですかな?」


 なぜか、廃村の方角からやって来た伝令……怪しい事この上ないが、腕に友軍の印である、白い布を身につけている。

 これは出陣前に、夜間の同士討ち対策で決めたことで、孫家の偽装という可能性は低いと思う。

 しかし、自分達用に準備しただけで、他の援軍に手回しをした覚えはない。

 まあ、隠して準備したわけじゃあないので、黄祖さん辺りは把握していても不思議ではないが、こうなってみると判断に困る。

 なんで、此方より先回りしてんのさ?


「どちらの方からの伝令ですかな?」


 聞いてみるしか無いとのことで、一応は注意しながら顔を合わせて見る。

 傍に甘寧さんも居るので、いきなりバッサリということはないだろう。


「袁家の援軍である、紀霊将軍よりの書状です」

「ほう、紀霊将軍ですか」


 思い掛けない名前に、疑問を感じながらも、竹簡を受け取る。

 伝令には特に不審な動きはなく、普通に渡された竹簡にも、おかしな点はない。

 まあ、その存在自体が怪しいんだけども。

 内容としては、秘密に動いて居た別働隊が、先行して陣を張っているので、合流しろとのこと。

 いつの間に動いていたのだろうか?

 放ったらかしの捨て駒かと思えば、実は先行部隊が居て合流しろと言ってくる。

 しかも、その指揮官は袁家の将で、何故か申し合わせた筈のない目印付き。

 組織の枠内で動くならば、指示通りにするだけのことなんだけども……今までの周回で、好き勝手動けてたのを思いだすと、随分と恵まれていたのだと思う。


 しかし、別働隊……。

 孫家じゃないと言っても、こちらの味方とは限らないという、なんとも微妙に嫌な立場なわけで、とくに印のことを決めたのが、黄祖さんというのが気にかかる。


「とはいえ、こうしていてもしようがないですな」


 一応援軍であるならば、合流するのが先決。

 幾らかでも兵力が増えれば、戦闘になってもどうにか出来る可能性が増えるんであるし。


「出発するぞ!!」


 そして数刻。


「あっさり合流出来ましたな」


 何事もなく袁家軍と合流し、現在は砦の普請中。


「援軍感謝する」


 出迎えてくれた紀霊将軍も、特に怪しい動きはしていない。

 普通に合流した後は、拠点を作って周囲の警戒をしている。

 その様子を見て、気が抜けたわけじゃないが、ほっと一息。


「と思っていたのだがなぁ」

「満福殿!!」


 なにやら、紀霊将軍の声がする。


「これは、紀霊将軍。

 何かご用でしょうか?」

「そちらの軍師殿からの伝令だ。」


 軍師、軍師ねぇ……嫌な予感しかしない。


「ふむ、援軍と合流後、本陣にもどれと?」


 俺は何しに来たんだよ!!


「更に興覇殿は、此方に残すと……」


 何かね、移動中に敵に襲われるのを願われてる?

 これは、うちの連中と合流しないと拙いってことかね?

 それか、其れを促されてる的な話か?

 もうこうも煮詰まってくると、リタイヤしたくなってきな。 

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