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58(三周目終了)

微妙に袁術さんの偽帝フラグが立ちませんでした。

実は馬騰さんのタイムリミットの事が、すっかり頭から抜けてたので、別の周回で入れます。

最後がションボリな感じですいません。

 洛陽を前に、最後の大休止。

 幸いにして、此処までの道程に、特筆するべき事はなかった。

 久しぶりの騎馬行軍に、馬騰さんがハッチャけて、周囲をビビらせた事くらいか。

 その馬騰さんは、今回の一番の心配の種だったわけだが、病についてはWikiに『早死武将についての対処』という項目があったので、それを参考にして、なんとか乗り越えた。

 要は、唯でさえ体力に継続ダメージが入り回復が難しい中で、何かしらの要因で体力が危険域に落ち込んだ際、体力の最大値にダメージが来るのが、寿命や病の状態異常であり、最大値が危険域に割り込んだ所で危篤になるというシステムらしい。

 となれば、頻繁に回復アイテムを叩き込んでおけば、体力の減少が危険域まで割り込む前に回復し、ある程度の行動に支障が無くなる。

 ぶっちゃけると、かなりなポイントを複数プレイヤーで融通するか、経済特化なマイ外史でも抱えてないと、無理な方法ではある。

 今回は、回復効果のある飴玉やらお茶で、体力を回復させつつ移動する予定だったが、馬騰さんがテンション上げて暴れるので、酒に切り替えて大人しくなって貰った。

 移動の疲労で、ダメージが入らないように、最上級の馬車を購入。

 其処に馬騰さんを簀巻きにして放り込み、一定時間ごとに馬岱さんが酒飲ませて潰すという作業を続けてきた。

 今の所、問題は発生していない。


「いや、問題だからぁ!! たんぽぽ、死んじゃうからぁ!!」


 なにやら、馬車から悲痛な声が聞こえてくるが、問題ないったら無いのだ。


「おーじーさーまー!!」

「たんぽぽちゃ~ん、か~わ~い~い~♪

 困難から逃げちゃダメ。 立ち向かわなくっちゃ!! は~い、おかわり~♪」

「お、おば様、たんぽぽ、もう飲めないの」

「だーめー。 は~い、イッキーイッキー」

「いーやー!!」


 どうやってか、拘束を抜けだしたらしい馬騰さんに、馬岱さんが捕まっている。

 普通に飲んでいれば、気持よく酔って寝潰れることができるのだが、一気とか無茶な飲み方をしていると、キツイ上に意識がある間は潰れにくく、中途半端に回復効果が発揮され限界が先伸びし、延々と潰れるに潰れられないという、地獄の目を見てしまうのだ。


「尊い犠牲ですな」

「アンタ、鬼か」


 俺が馬車に向けて黙礼してると、様子を見に来たらしい、黒尽くめの三白眼がポツリとこぼした。

 とはいえ、その当の馬留さんも、チンピラめいた目で此方を睨めつけてくるが、馬岱さんを積極的に助けようとは考えていないらしく、溜息ついて引き返していった。

 そして何時の間にか、馬車からは声が聞こえなくなっていた……うん、ゴメン。


 そんな休憩中、今後の段取りの打ち合わせを、華雄さんやら蹋頓さん、丘力居さんと行なっていると、モブの女官さんが、お茶を持ってきた。

 そして、卓に準備を終え、一礼して退がりかけた所を、蹋頓さんと丘力居さんに目配せして襲わせた。

 二人の得物である、剣と鉄杖が打ち合わされる中、女官さんが飛び退る。

 仮にも武力70と80オーバーを掻い潜るとか、どう見ても只者じゃありません。


「ですが、甘いですぞ」


 武力に運を四百叩きこんで、五倍ブーストの武力二〇〇で着地間際を狙って、ポイント購入した槍を横殴りに振るう。

 くせ者女官さんは、体を捻って仕込みの何かで受けようとしたようだが、一撃は防御諸共砕き落とし、くせ者は地に伏して動かなくなった。

 突然の事にも、そっと得物を持って、追い打ちポジションを占めている華雄さんが、かなり頼もしすぎるが、今回は出番なしでした。

 一応解説すると、この一行に居る女官さんやら護衛さんは、基本的に俺の配下のモ武将さんであり、俺から見れば、ちゃんと美人さんに見えるのだ。

 それが、普通にモブの人に見えるということは、何かの間違いで紛れ込んだモブの人か、この一行の連中が俺の身内ということを知らずに、モブに変装して紛れ込んだ他プレイヤーか、その将ということになる。

 まあ、あの二人の一撃を躱したんだし、一般モブって事はない。

 多分、お茶も何かしら、毒でも入れられているんだろう……って、馬騰さん達にも!?

 慌てて、駆け出そうとする矢先に、何かが投げ込まれて来た。

 見ると、今片付けたモブと同じく、くせ者らしいが……。


「おじ様、おまたせ♪」


 ボーイッシュなハスキーボイスと共に、数人連れ立って、此方にやってきた人物。

 くせ者を片付けて投げてよこしたのは、この連中で間違い無いだろう。

 この一行にて、俺を「おじ様」と呼んでくるのは馬岱さんだが、この声は久しぶりの徐庶こと刃鳴さんであり。


「遅くなり申し訳ありません」

「愛紗ちゃんも私も、出番が有って良かったぁ」


 関羽さんと劉備さんだった。


 どうやら劉備さん達も、華蝶仮面をやってる連中と同じタイミングで出て来ていたらしいが、積極的に街中へと侵入する間者連中と別口で、遠巻きに監視してる連中を見つけ、残りのモブとも合流して、街中は華蝶仮面に任せ、外を監視していたらしい。

 で、今回の動きを見咎めて、颯爽と登場ということだそうな。

 まあ、勝手に自律行動するのはどうかと思うが、今回については正解だったか……。


 因みに、くせ者の黒幕は確認できてないそうだ。

 だがまあ、現状の原作無視な安定を嫌がる勢力といえば、曹操さん・袁術さん・孫策さんとこくらいじゃないか?

 黄巾がアッサリ片付いてしまい、漢王朝が存続してしまった以上、派手に身動き取れないわな。

 劉備さんやら普通の人は安定志向だろうし、袁紹さんも現状の一人勝ち状態には満足してるだろう。

 こうなると、華北で乱を起こすのは、激しく難しいだろうということで、うちの地元にチョッカイが飛んできてたんだろうな。

 他にも袁術さんのとこ辺りにも、チョッカイ飛んでそうだが。

 で、董卓さんやら馬騰さんの暗殺ってのが成功してれば、それなりに荒れてただろう。

 もしかすれば、涼州で反乱勃発から、涼州討伐連合でも起きたかもしれない。

 本当に、何事も無くてよかった。


 この後、護衛が増えた事について、辻褄を合わせて説明しつつ、洛陽へ向かって出発した。

 何気に、俺の用意した手勢に手柄を取られた的な感じで、華雄さんが拗ねて好感度が落ちた気がする。

 馬岱さんも、馬騰さんへの生贄にしたせいか、涙目で顔をあわせてくれない。

 しかも、馬留さんがフォローに入ってて、好感度上げてやがる。

 この終盤に、地味に稼ぎに来てやがるぜ。


 結局、その後は何事も無く、洛陽に到着。

 袁紹さんと顔合わせ、何気に死んで無い霊帝さんに、馬騰さんと華雄さんが、お言葉を頂いて終了。

 これで、涼州派閥の意思表示は終わった。

 取り敢えず、この外史の大筋は固まったといっていい。

 ほぼ、締めといっていいだろう。



 涼州への帰りの準備をしつつ、袁紹さんへの御土産やら、あちらこちらへの付け届け諸々の手配をしていると、馬騰さんが此方の宿舎にやって来た。


「満腹殿、お疲れ様。 これで一段落かしらね?」

「寿成殿こそ、お疲れ様でございます」

「おかげさまで、色々と片付いて肩の荷が下りた気分よ」

「それは、ようございました」


 手隙の人に、お茶でも持ってくるように頼み、馬騰さんを促して落ち着ける場所へ。


「それにしても、人間って中々死なないものね。

 この洛陽までの短い時間でも、駄目だろうと考えていたのにね」

「為すべき事を持つ者は、簡単に死なせては貰えないということでしょうな」

「あら、これから何をさせられるのか、怖くなる言葉ね」

「いえ、そういう意味では」


 そう言う風に聞こえなくもないか。


「それで、私に何を望むのかしら?」

「一応、涼州に戻ってからと考えておったのですが」

「私も興味があるし、帰りも無事かなんて、判ったものじゃないわよ。

 気が抜けてポックリってこともあるし、今聞いておきたいわね」


 ポックリってあんた。


「判りました。 それでは、ここでお願いします……」

「なに?」


 面と向かうと恥ずいなオイ。

 いうことつっても、私の配下になって下さい的な話なんだが、妙な前振りと今の状態のせいで、なんかプロポーズっぽい感じで、緊張してきたぞ。

 まあ、こういう感じでいいか、私の元にきてくださいって、よし。


「馬寿成殿、どうか私のものに……」


 あ、噛んだ。


「……そ、そうなの。

 こうも、率直に言われると、照れるわね」

「いえ、あの」


 言い間違えたとか、言える雰囲気じゃない……まあ、言い繕わずに済んだから、むしろ良いのか。


「そうね、馬家の事は、あの娘に引き継いだし、ただの女として生きるのも良いかも。

 約束だし、こんな年増で良いのなら」


 何やら、クネクネしだしましたよ……。


「いかがでしょうか?」

「そうね、この身一つでいいのなら、寧ろ安い買い物ね。

 我が真名は「碧」これから宜しくお願いしますね。 あ・な・た」

「有難うございます」


 真名の代わりに指輪を渡し、指に嵌めて貰った。



 さて、洛陽での仕事を片付けた後、ざっと情報収集をして、涼州へ戻ることになった。

 帰り道も何事も無く、余裕を持った予定で道程をこなし、無事に帰り着く事ができた。

 馬家の一行と別れた後、帰着の挨拶がてら、董卓さん・董旻さんへと、報告に上がる。

 帰りの時期に合わせて、皆が集まっていてくれたらしい。

 そこで、賈駆先生と李儒さんに、袁紹さんの所で仕入れた情報を伝える。

 どんな情報かといえば、劉備陣営・公孫賛陣営は積極的に、曹操陣営は消極的ながらも、一定期間の協調路線に同意したという話で、うちの地元も固まれば、概ね世は平和といって良い状態であるという話である。


「まあ、良かったんじゃない。 満腹、ご苦労様」

「華雄も、ご苦労様だったわね」


 うちの上司と賈駆先生から、労いの言葉を頂いた。


「ともかく、途中の暗殺騒ぎ……よく凌いでくれたわ。

 馬家の暴走次第じゃ、うちも巻き込まれてたかもしれない」

「確かに、今の当主は若いですからな。

 この先も暫くは、動向には注意が必要でしょうな。

 それと、暗殺阻止については、皆の力が有ってこそですな」


 勝手に動かれた結果ではあるが。


「そうね。 董家も一つに纏まるべき、時期なのかもしれないわね」


 ポツリと賈駆先生。


「まあ、今の貴方達なら、異存はないわよ」


 ツンと視線を外して李儒さん。


「その辺りの事は、お任せいたします。

 私めは今まで通り、文優殿を支えるだけでございますので」

「何言ってるのよ、満腹には、もう少し大きな枠組で動いて貰わないと」


 はて?


「貴方には、文官組の三席として働いて貰うわ」

「それはまた」


 えらい出世ですね。


「散々やらかしておいて、今更何をって話よね。

 今まで責任こっち持ちで好き勝手に動いてた分、満腹には責任もキッチリ握らせてあげるわ」


 李儒さんの目が、ちょっと怖い。


「それだけ信頼されていると言うことよ。

 永が推すんだし、ボクも知る限りは問題無いと思ってるから」


 なるほど、それはちょっと嬉しい。


「かしこまりました。 この金満腹、微力を尽くします」


 といった事があり、その後は内政してのポイント回収だの、華蝶仮面やってた連中と合流して、侵攻軍相手に経験値稼いだりして過ごした。

 実は董卓さんと賈駆先生の真名は、割と早いうちに貰えたのだが、華雄さんについては梃子摺った。

 ぶっちゃけ、五胡の連中の侵攻を叩きまくる羽目になったのは、華雄さんの信頼を得る為だったりする。

 この匙加減が難しく、華雄さんに花を持たせつつ、良い所を見せないといけないとか、割と面倒くさかった。

 ぶっちゃけ張飛さんとかより面倒臭かった。

 お陰で馬岱さんを、馬留さんに持っていかれてしまったしな。

 いつの間にかNPCっぽくなってたから、ゲットして即リタイアしたんだろうなぁ。

 それでもなんとか華雄さんをゲットできたので、俺もそろそろ、この周回を抜けることにする。

 割と馬騰さんの状態がギリギリになってるしね。


 そんな感じで、今回は董卓・董旻・賈駆・李儒・華雄・樊稠・田豊・沮授・馬騰と、半分近くが軍師キャラという、これ迄にない周回だった。

 まあ、反董卓連合無しの漢存続コースってのも、可也レアだと思うけどな。

 因みに主人公は孫呉に居た模様で、ほとんど隔離状態だったから、影響が少なかったんだろうな。

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