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感想で、ネコミミさんのデレとか見かけたので、
ネコミミさんを喜ばせようと色々考えてたら、
悦びそうな話になっていた……どうしてこうなったのか。
なにやら、馬超さんの巻き込まれた詐欺行為? から、派生した今回のイベント。
曹家と袁家を巻き込んで、山は越えたと思ったんだが、最期に荷物の引き取りに来た、ネコミミさんのお陰で、もう一山来そうな予感がヒシヒシと。
どうしてこうなった。
「ともかく、袁譚殿や皆さんは、この後どうされますので?」
「今回の取引で、義理は返せたと思いますので、満腹様に、ご一緒させて頂きますわ」
「ちょっと早いけど、暖簾分けの時期ってことでー」
「よろしければ、涼州で商店を立ち上げてみますが」
袁尚さんの、商店立ち上げってのは、面白いかもしれない。
「そうですな、お願いしても宜しいですかな?
人員や補助については、李氏殿か楊氏殿に取次を願えば、李文優殿に目通りが叶うと思いますので」
「あ、人員については、ちょっと当てがあるから問題ないよ」
「おや、そうなのですかな?」
「ざっと、五十人位、コッチに出てきてるのが居るから」
おいおい、俺が袁家に来てなかったら、そんだけスルーになってたんかよ。
いや、俺が此処に来る前提で、居た事になってるのか?
もし、洛陽辺りに物資買い付けに行ってたら、そっちに居た事になってたとかか?
……なんか、そう考えると、馬超さんの詐欺被害あたりも、もしかして、トリガーは俺か?
「いやいや、余り考えては拙い予感がしますな。
それよりは、合流できたことを喜びましょう。
それでは、その連中を連れて、涼州までお願いできますかな?」
「承りましたわ」
これで、モブについては、残り百四十人……多いなぁ。
見たところ、出てきているのは魅力優位の連中と、イレギュラーっぽい能力値の、その他枠の連中。
その他枠は、統率なしの武力持ちとか、政治と武力とか、偏った連中が多いが、数居れば、それなりに役には立つだろう。
涼州にも地元で、此方で握れる商家が居れば、便利だろうし、袁家三姉妹の能力は、魅力特化と言えども、アベレージ六十程度はキープしている、バランス型だ。
地盤さえ固まれば、一大勢力になってもおかしくないくらいには、人材が揃ってきたなぁ。
「それでは、沮授殿と田豊殿は? 涼州に向かわれますかな?」
この土地に居ても、出奔したとかで、余り立場は良くないだろう。
「いえ、今少し、お側に」
「お役に立ちますので、どうか」
この地に留まることを望む二人は、現在は例のモッサリ女官服から、多少は動きやすい感じの格好に変わっている。
モッサリ纏めて上げていた髪を、きっちりとアップに整え、うなじが色っぽい。
眼鏡にナチュラルメイクで、キツ目のトウの立った印象を、知的なクールさと気品に変えている。
耳にはシルバーのイヤリング。
白蓮さんにもあげたが、地味というか、落ち着いた印象の人には、よく似合う。
若干柔らかい印象の田豊さんには、白のブラウス、茶系のタイと同色のスーツ。
クールな沮授さんには、同じく白のブラウスにブルーグレーのタイとスーツ。
後は暗色のストッキングと靴。
なんというか、テンプレートの女性秘書だが、基本だからこそ、それが似合うことが、素晴らしいのだ。
更に云うと、以前はガチガチに抑えこんでたせいで、適正な下着に変わった今、胸と腰の戦闘力は、一サイズ上がっている。
女教師ルックの白蓮さんといい、お堅い感じのガードの硬そうな女性というのも、いいものである。
「それでは、余り気は進みませんが、曹孟徳殿へ報告と参りますかな」
ネコミミさんは、荷物抱えた商隊と一緒に戻りなので、普通の馬で進む此方の方が、先にたどり着くだろう。
一緒に行ってもいいが、此方もネコミミさんも、お互いが神経を衰弱させるだけで、誰も幸せになれないと思うので、此方が先行したいと思う。
「なんとか、辿り着きましたか」
現在、曹操さんは、軍を引き上げて、陳留へと戻っているらしい。
報告には此方へ向かうようにと、指示があったので、間違いはないだろう。
一応、先触れというか、ネコミミさんから、早馬は届いているだろう。
資料等々をまとめて、早速に曹操さんへと、目通りを願う。
袁紹さん所と違い、徹底的に実務と効率化で、無駄を排した結果か、翌日には予定が立っていた。
そして謁見に向かう途中、つらつらと考える。
「まあ、単純に報告だけでは済まないでしょうな。
可能性としてあるのは、涼州軍閥への同盟の提示、董家への同盟、又は董旻勢力との密約?」
まあ、一つ目か二つ目だろうかね?
「いえ、旦那様をみれば、将来の布石としての密約は、在り得ますわ。
少なくとも、同盟の提示とともに、董家内部に楔を打つ意味での一手としては、面白いと感じるでしょう」
「旦那様が、今回の馬家の尻拭いをしたことで、涼州派閥について、波乱が起きると感じているのかもしれません」
ふむふむ、本命の策ではなく、取り敢えずは、やっておいて損はないかってレベルでの、一手としては有りうると。
中々に深いですな。
実際は、馬家については特に遺恨とか無いんですけどね。
馬超さん、涙目だろうし……二人のゲットに成功したし。
むにむにと、タイトスカートに包まれた、弾力を堪能する。
クールで知的な表情が、崩れそうになるのを耐えているのが、中々にたまりません。
そして、悪戯をやめた途端、ほっと吐く熱い吐息に込められた色香と、どこかで救いを求めるような視線が、一々エロいです。
おっと、謁見の間が見えてきましたね。
二人にはここで待っていて貰うことにした。
謁見の間には、前回の時に見かけた将が、勢ぞろいしていた。
以前の時は、良く判ってなかったが、ドクロ眼帯の侍が、ネコミミさんの策を妨害した命知らずで、上半身裸のドクロベルトが、ネコミミさんに言い寄っている上級者か。
どちらもプレイヤー確定だな。
「金満腹、今回は良くやったと言ってあげるわ」
「お褒めの言葉を頂き、恐悦至極にございます」
「ふん、単に物資を買い求めだだけではないか」
聞こえよがしの声で、侍が文句つけてきやがった。
華琳さん狙いか、随分と大物狙いだな。
「確かに、この度の策が成りましたのも、曹孟徳様の名に拠る所、大でございます。
この非才の身には、お言葉だけで身に余る光栄」
「だからといって、命を成した者を称さない訳にはいかないわ。
それを許せば、それこそこの曹孟徳の、誇りが汚れるのだから」
うぉっ、これが覇気か!? まるで、強い風を受けているような。
華琳様パネエ。
さっきの文句付けた奴が、小さくなってやがる。
「それでは、一つ願いがございます」
「何かしら、言ってご覧なさい」
「一人、取り立てて頂きたい者が居ります」
俺の言葉に、曹操さんが興味深げに、視線を強めた。
「この曹孟徳、才あるものであれば、その言葉に従うのも吝かではないわ。
しかし、その者は我が幕下に、迎え入れるに相応しい才を持つと?」
「間違いなく。 というよりは、既に曹孟徳殿の麾下におるのですよ。
そして、表舞台に出る機会を、待っておるのです。
しかし、天下に賢者あれど、王佐と呼べる程の才が、そうしてまんじりとしているのが、私には我慢できませんでな。
余計な、お世話と思いましたが、こうして願い出た次第」
「その者の名は?」
「荀文若、今は私の荷を預けた商隊を率いて、此方に向かっております」
「おい!!」
上半身裸のドクロベルトが声を上げた。
「それで? その者の才が惜しいというだけで、お前は褒美を袖にすると?」
「いえ、これがまた男嫌いでしてな。
会えば、視線を交わすだけで、暴言を飛ばしてくる有様。
ならば、恩を売りつけて、その口を封じてやろうかと思いましてな」
「へぇ」
あ、なんかイジメっ子的な部分の琴線に触れたか?
「それに、私に恩を売られたと聞けば、さぞかし悔しそうに……その顔を眺める機会は、曹孟徳様にお譲りいたします」
「ふふふ、面白い趣向ね。
余計なお世話と言いたいところだけど、その趣向に免じて受け取らせて貰うわ」
「荀文若殿は今回の成果で、孟徳様に目通りし、真名を捧げる腹積もりのようですので、そちらについても、楽しめるかと」
「ふふふ、楽しみね。
でもね、言っておくけど、私が手の内に入れたものを、他人が虐めることは許さないわよ」
「畏まりました。
元より、ある程度会話が成り立つのなら、問題はありませんので」
フフフ、ホッホッホと、黒い笑いを応酬する。
「金満腹、本当に報酬は必要ないのかしら?」
「結構でございます」
「それでは、さがりなさい」
何気に陰謀云々は、無かったな。
ネコミミさんのインパクトで、流れてくれたのか?
まあ、無事に終われば、それに越したことはない。
ネコミミさんも、これで幸せになれるだろう……多分、鳴いて悦ぶと思うよ。
ちょっと字が違うけど。
さて、黄巾の乱も、そろそろ半ばを過ぎた。
小康状態の今が過ぎれば、一気に終息に向かうだろう。
その時、天下に名を上げるのは、一体誰か?
あと一息、踏ん張りましょうか。