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「おじ様、準備できたよー」


 情報画面を見て、暫く考えこんでる間に、刃鳴さんが駆け込んできた……仕事が速いとか、そういうレベルじゃないような気もするけど。


「お疲れ様です。

 それでは、これからどうするべきでしょうかな?」

「一応、賊施設を作ったっていう話は、他の人には内緒ね。

 それで、あの四人には、正体隠して賊兵を率いて貰ってるよ。

 当面は、敵対してる賊を吸収して兵力を増やすのと、奥の方にある村だけ襲って貰う予定だよ」


 刃鳴さんが、卓上に地図を広げて、予定の行動を解説してくれる。


「そうなると、私は此方に近い村を回って、人口を吸収していくわけですな」

「そうだね。 そちらは、おじ様に任せるよ」


 そう言いながら、ジーっと此方を見つめてくる刃鳴さん……これはあれか!?


「おねだりとは、イケナイコですな」


 そろりと近寄って、抱きすくめる。

 どう見ても犯罪臭が漂うが、刃鳴さんが逃げる様子はない。

 それどころか、微かな怯えの中に期待の感情が見える。

 小柄でスレンダーな体の中で、一際の存在感を放つ胸元を救い上げるように揉み上げると、かつてのコンプレックスのせいか、身をくねらせて大きく反応する。


「おじさま、其処ばっかりダメだよぅ」

「いえいえ、こんな可愛い方を捕まえたのです。

 逃げられないように、しっかりと捕まえておかなくては」


 更に力を入れて抱きすくめると、首筋に跡を残す。


「あ、ボクに、おじ様の印を付けられちゃう」


 どうやら、首筋も弱い様子。

 こんなエッチな娘は、しまっちゃおうねぇと、どっかのおじさんばりに抱え上げ、寝床に連れ込んで……ごちそうさまでした。

 思いの外、反応が激しかったので、余韻も醒めぬ間に色々と悪戯してたら、限界を超えちゃったのか、なんとも言えない濁った目で「おじ様」と、ポソポソ繰り返し呼び続ける、ちょっと怖い感じになっちゃったので、慌てて気付けの酒を含ませたら、なんとか正気付いてくれて良かった。


「調子に乗ってしまったようですな、どうも申し訳ない」

「うん、大丈夫だよ……おじ様」


 大丈夫とは言うものの、なんか視線が俺の手先に……手をアッチやりコッチやりすると目が追ってくる。

 まさか、妙な性癖が……。


 試しに、人差し指を伸ばして、刃鳴さんの顔の前でぐ~るぐ~る。

 すると、ぱくっと食いついてきた。

 噛まれるわけでもなく、甘咬みというか単に口に含むだけとはいえ、なんか無駄にエロい感じがする。

 手を引いて指を抜き、そのまま手先をすーっと下げていき、胸元を過ぎ更に下げていくと、突然触れても居ないのに、刃鳴さんの腰が砕けてへたり込んでしまった。

 どういうことかいな?


「あ、やだ、ボク……おじ様の指を見てるだけで、力が抜けちゃった……」


 うん、このゲームの開発者はエロゲ脳すぎる……尊敬するわ。


「どうやら、このままでは刃鳴殿も、仕事に集中できないようですな。

 それでは、もう少しばかり……」


 と、いうことで、徹底的に忠誠度上げを行った結果、完全に堕ちた感じの、視線でも反応するくらいにまで、症状が悪化した。

 正直すまんかった。




 さて、気を取り直して、現状解決の為に動くとしよう。

 情報を確認すると、賊施設の兵力が増えたり減ったりしているので、賊兵を率いさせている四人組が、既に対立している賊モブに攻め込んでいるのが伺える。

 時折、ポイントも増加してるので、結構頑張っているらしい。

 となれば、此方も村々を回って、本来の目的である人口を増やすべく、部隊を動かす……んだが、兵の数が少ないんだよなぁ。

 無理に増やすと治安の兼ね合いが厳しい。

 となれば、将だけで攻めるか……。

 前周回の際に、武将大盛りで編成した部隊での効果は高かったが、今回は武将だけで集まって、多人数での個人戦になる。

 まあ、劇中で呂布さんが三万人抜きをやっているので、数百から千くらいの賊相手に、モ武将とはいえ、三桁越える将が居れば、それなり以上には対抗できると思う。

 まあ、リスクを見越して、張飛さんやらの一線級も連れて行くつもりというか、メイド喫茶の劉備さん&関羽さん以外は、全員連れて行ってもいいかもしれない。

 一応、副官補正付きのプレイヤーコピーが、仕事はしてくれるので、ある程度以上の酷い事にはならない筈。

 そこに、住民慰撫の方面に能力が出てる、劉備さんを置いとけば、問題無いだろう。

 というか、今のあの感じで安定してるのを、下手に弄るのも怖いので、置いとかざるをえない訳だが。


「さあ、皆さん。 行きますよ」


 馬車を仕立てて、街から離れる。

 まちまちな装備に身を包んだ、雑多な二百人を超える集団。

 半数程は騎馬に乗っており、残りは三十程の馬車を仕立てて同乗している。

 そのまま、時間加速で近場の村に近寄ると、白蓮さんを使者に村へと接触を図る。


「主殿、村の者達は、我らへの恭順に同意したぞ」


 あらら、あっさりとまぁ。


「それは重畳。 お疲れ様でした」


 まあ、五十人に満たない人数の村に、この人数で押し掛けてきたら、否やとは言い難いだろうけど。

 その日は、そのまま食料等を振る舞って、夜を明かした後、午前中に出立の準備をする。


「では、次に向かいましょう」


 馬車の空きに村人が収まる為、村人は馬車に乗せたまま、次に向かう事にした。

 次の村まで、半日ほど。

 夕闇が迫る中、次の村が見えてきた。

 寂れた廃村一歩手前だった先程の村とは違い、それなりの規模のある村の体裁をしている。

 先と同じく白蓮さんに先触れを頼むと、折り返しで誰かを連れてきた。

 俺が白蓮さん逹を迎えると、村長の息子という壮年の男性が、白蓮さんに紹介された。

 細かい所に無駄に凝るゲームである……オッサンの設定とか、どうでもいいから。


「さて、我々は皆さんを、お迎えしたいのですが、いかがでしょうか?」

「いや、此方には、その積もりはない」


 まあ、そうですよね。


「判りました。 それでは、これからもお互い、良い付き合いをということで」

「それについては、依存はない」


 まあ、こういうこともあるか。

 オッサンと握手して、今晩は村の近くで野営する許可を貰う。


「余裕もありますので、色々と振舞わせて頂きましょうかな」


 酒だの食い物だのの物資を出して、釣られてきた村の連中から、近辺の情報だのを仕入れることにする。

 それによると、食い詰めてヤバ気な所が二つ程あるそうだが、ここの村から手助けする程には余裕が無いので、お願いしたいとのこと……聞いてると、既に取り込んだ所が、その内の一つだそうで、この先にも一つあるそうだ。

 放置して、食い詰めて賊に化けるのも勿体無いので、次に向かう予定にする。


「他に情報はないんでしょうかな?」


 イベントないのも寂しいなと思っていると。


「くっくっく、そんな主殿に良い情報がございますぞ」


 なにやら面白そうに、黒い笑みを浮かべた黒衣装の趙雲さん(一周目の人)が、白いもう一人(二週目)を連れて、メンマ摘みにクピクピ呑みつつ、やってきた。


「おや、星殿。 お揃いで、どうされましたかな?」


 ああ、ついでに二週目さんにも、別衣装を渡しておこうか、白いのも紛らわしいし。

 たしか、一周目の衣装決める時に、黒地に銀青の龍と青地に金赤の鳳凰で悩んだし、ここは残りで悪いが、青の鳳凰柄にしておこう。


「如何ですかな?」

「これは、これは、有難うございます、主殿」


 華のような笑顔で、アイテムを受け取る趙雲さん……変な病気が出なくて良かった。

 で、良い情報とかって話……って、趙雲さん、いきなり其処で着替えるなぁ!!!


「おや? 何か不都合でも?」

「おや、じゃなーーーい!!」


 結局着替え終わってしまったし。


「主殿以外の、誰が見ている訳でもありますまいに」


 フフンと、得意げな様子で、そう嘯く趙雲さん。

 いや、そういう問題じゃないんだがなぁ。

 まさか、この趙雲さん(二周目)は、露出の気が有るとかじゃないだろうな。


「まあ、主殿を愛でるのは、これくらいにしておいて」

「そうですな」


 ……いやな、愛情表現だ。


「主殿、実は面白い話を、聞きつけたのです」


 黒い方の言葉に、少々興味を引かれる。


「ほう、どういった話でしょうかな?」

「実はですな。 先程の代表の方ですが」

「ああ、村長のご子息とか」


 子息って歳でもないだろうけど。


「実はですな」


 青い方が声を潜め、ニヤリ笑いの青い方が、此方に耳を寄越せと手招きする。


「……」

「実はですな、あの男、四十にもなって、一回り年下の未亡人に横恋慕した挙句、死んだ旦那の実家が背負った借財を形に、妾になれと詰め寄っているとか。

 しかも体面を気にして、夫婦にと言わない辺りがなんともですな……」

「ほう」


 なんという時代劇展開。

 で、その未亡人とやらは、美人なのかね?


「この趙子龍、主殿の言いたいことは、良く判っております」


 と、黒い方。


「既に、目利きも仕込み済ませておりますとも」


 と、青い方。


「「まあ、我々ほどの美貌はなかなか居りませぬが、それなりの美形にして幸薄そうな御仁でしたぞ。

  それに、こういうものは『未亡人と借金の形』という『しちゅえーしょん』と、セコイ企みを企てておる者を、横からぶん殴るのが面白いのですよ♪」」


 ハモるな……。

 なんか、単品でも危険物なのが、ダブルで置いとく事で、危険度アップしてるような気がする。

 まあ、今回はイベントに集中というか、面白そうな話に食いついてるようだから、被害はさっきのオッサンに向かうんだろうが。


「では」

「参りましょう」


 って、どこへ?




「本当に有難うございます」


 目の前で頭を下げているのは、やつれた様子の一家六人。

 さっきの話に出てきた未亡人の、元旦那の家族だ。

 どう言うことかというと、働きの大黒柱が死んで、払いきれない借財を、家も田畑も村に返上することで、チャラにするように薦めたのだ。

 そうすると暮らしていけないが、うちの街に移住するなら、最低限の生活は問題ないよと説得し、話が決まった。

 どうせ、先のないのは見えてるんだろうし。


「これで、セガレのせいで要らぬ苦労を掛けたあの娘を、柵から開放してやることができます」


 なんか、話が急展開してるが、そういう事なのだ。

 そして、一家を先の村の連中と合流させた頃、某オッサンが何やら肩を怒らせて、此方にやって来るのが見えた。


「何を勝手な真似をしてくれるんだ!!」

「なんの話ですかな?」


 一応、惚けておく。


「うちの村人を、勝手に連れ出すような真似をしておいて何を!!」

「おや、どうも申し訳ない。

 此方の村の為にと、気を利かせたつもりでしたが。

 村への借財と、厄介者扱いされている様子の、働き手の居ない一家を、纏めて引き受けて差し上げようとですな」


 と、俺のセリフに合わせて、黒い方の趙雲さんがすっと前に出て、龍牙の刃先のギラツキを、オッサンの目につくようチラつかせる。


「あまり理不尽をなすと、罰が降りますぞ」


 オッサンの後ろから、青い方の趙雲さんがポソリと呟きながら、これまた龍牙の刃先をチラチラと、オッサンの首筋辺りに……。


「わ、わわ、判った、勝手にしろ!!」


 と、オッサンは腰が抜けたのか、フラつきながら走り去っていく。

 どうも力技すぎる解決だったが、あれで良かったのか……。

 これからの村との友好とかどこいった。

 まあ、ランダム発生の村とか別にどうでもいいけど、賊施設壊せば見えなくなるわけだし。


「では、次に参りましょうか」


 なんか、流されてるなぁ。


「此方です」


 青黒の趙雲さん達に促されてやって来たのは、なんという事もない納屋?

 促されるままに引き戸を開けると。


「むぐう……」


 なんか、衣服の上から細い縄で締めあげられ、豊満な体の線を、あられもなく晒すように縛られて、苦しそうに藻掻いている女性が。

 美人かどうかは、ご丁寧に顔に布袋を被せてある念の入用で判別はつかないが、漏れ聞こえる声は色っぽい。

 あのオッサン、手を出すつもりだったにしても、手荒過ぎんだろ。


「ああ、それは我らが」


 こっそりと耳打ちしてくる趙雲さんの黒い方。


「力作ですぞ」


 と青い方。

 いやいや、要救助者を前もって、事故現場に叩き込んでおくような真似すんな。


「バレなければ良いのですよ」


 はっはっはと、二人揃ってサムズアップ。

 全く訳が判らないよ……。


「では、ごゆっくり」


 ごゆっくりじゃねえ。

 一体どうすれば……。

 まあ、ゲームな上に、据え膳みたいな状態に置かれてる訳だからして、どうにでもという事ではあるんだが。

 じっと見つめる。

 風体としては、女性の内では割と長身の内に入るだろう豊満な肉体を、紫の似非中華風な衣装に包んでいる。

 原作の例に漏れず、サイドのスリットは無駄に深く、白い脚を無闇に晒している。

 そして肉付きのいい腿から張り出した腰、締まった腹への艶かしい曲線は、熟れた魅力を放っている。

 だから、俺がそーっと、スカートのスリット端を摘んで、覗き込んで見たりするのも仕方ないのだ。

 うむ、シンプルだがアダルティな黒の紐パン……そして、素肌にも細い縄が絡んでいて、倒錯的な風情を醸し出している。 

 しかし、各部を負担にならないように、かつ確実に極めつつ、要所要所の動きが、敏感な部分に伝わるように連結されている様子は、まさに職人芸というべきか……趙雲さんは、このスキルを、どこで身に付けたのだろうか?

 ま、それは今はいい。

 とにかく、コンタクトを取ってみよう。


「もし、大丈夫ですかな?」


 大きくゆっくりと、肩と膝を揺する。


「んうぅっ!?」


 女性が突然、エビ反るように跳ねようとするも、動きを制限されており、激しく身動ぎするだけに収まった。

 どうやら刺激が強すぎたらしいが、この結果を引き出した、趙雲さん達の緊縛スキルが無駄に凄くて、ちょっと引いた。

 まあ、今のところは、こちらに取って有難いので、有意義に使わせて頂くが。


「もしや、何処かが痛むのですかな?」


 声をかけつつ、再度揺すってみる。

 再び跳ねる身体、爪先がピンと伸び、一瞬して弛緩する。

 布袋で隠された頭がフルフルと横に振られるが。


「やはり、何処かが痛むのですな。

 むう、こんな賊の住処では、縄を解くことも難しい……。

 すみませんが暫くの間、ここから安全な場所に辿り着くまで、我慢して頂けますかな?」

「んぅ、むふ、」


 答えは聞いてない。

 有無を言わせず抱え上げて、腹を肩に載せ、両脚を抱えて固定する。


「さて、参りますよ」


 扉を開けて外に出て、納屋の回りをグルグルと歩き出す。

 抱えた体が跳ねる度に、申し訳ないと話しかけながら続行。

 しばらくして反応が無くなった所で、一旦休憩。

 落ち着いたのを見計らって、次にはお姫様抱っこで抱え上げ、暫く歩く。

 そして、再び反応がなくなったら、休憩。

 今度は横抱きにして歩き出し、途中で手が滑ったふりで、あちこち触れたり掴んだり、胸元へ顔を突っ込んだりしてみる。

 流石に暴れるのを抑える時に、爪などで痛い目を何度か見たものの、実際の痛みとは違い、我慢できるレベルなので無視する。


「そろそろですかな?」


 ぐったりと、精魂尽き果てた感じの身体を抱え直し、納屋に戻って横たえる。


「ここまで来れば、もう大丈夫でしょう。

 少々無理をさせてしまいましたが、ご安心を」


 まあ、返事はないわな。

 それでは、ご開張といきますか。

 一応、乱れた裾などを整えると、頭部を覆っていた布を取り去る。


「やはり、美人さんでしたな」


 なんと言うか、どこかで見たことのある雰囲気。

 年の頃なら、キャラクター年長組になるんだろうが、その感じでもなく。

 薄幸そうな、その様子は、やはり誰かに似ている。

 まあ考える迄もなく、公孫伯珪、普通の人こと白蓮さんだな。

 とはいえ、単にモドキとかそっくりさんレベルで、何かが違うって感じに、劣化というか変化しているので、能力や特性が引き継がれてる訳でもないんだろう。

 しかし、黒髪にして髪を結い上げ 、歳を相応に進めて衣装を変えると、それはそれで随分と趣きのある姿であるのも間違いない、中々このゲームも奥深いものだ。

 で、じっくりと顔を見詰めているんだが、反応がない。

 うん、目が死んでるね。

 俗に言うレイプ目って奴だろうか、誰がこんな酷いことを!!


「ふむ、気付けが必要ですな」


 反応の無いのをいい事に、購入アイテムから取り出したスポーツドリンクを一口含み、口移しで飲ませてみる。

 体が水分を欲しがっているのか、抵抗どころか此方に縋り付いてくる勢いで、水分を求めてくる。


「未だ足りないようですな」


 調子に乗って再度の口移しを行い、今度は唇を味わうように。

 何気に応えるように、此方に併せて舌が絡んでくるのは、無意識に反応しているんだろうか。

 何度か含ませている内に元気が出てきたのか、縋り付いてくる手足に力が、目にも意志の光が戻り始めたので、そっと声を掛けてみる。


「大丈夫ですかな?」

「んぅ?」


 答えの代わりにキスが帰ってきた。

 というよりは、水分を求めているんだろうけど。


「それでは、もう少し差し上げましょう」

「ぅん、もっと」


 それから更に何度か口移しをかわしながら、ポソポソと女性の耳に囁きを伝える。


「貴女は、村長の息子に囚われていたのです」

「……」

「其処から私が助け出しました」

「……」

「貴女の亡くなられた御夫君の家族も、借財を片付けた後、私の所に身を寄せることになっております」

「……」

「もう何の懸念もありませんぞ。 総ては私に、お任せを」

「……」

「宜しいですかな?」

「……」


 言葉に反応が無い、おや? と、顔をみる。

 すると、ふと見上げてくる視線に潤みを認めた。


「なるほど、言葉は無用でしたか」


 今度はただ、唇を奪うだけの口づけをする。

 そして応えてくる機会に、すっと引く。


「あぁ、もっと、くださいませ」


 やっと発した言葉が、おねだりとなっていた。


「おや、これはこれは。 そうですなぁ……」


 あれ? これってもう既に忠誠的なとこ、カンストしてる感じ?

 むう、なんというエロゲ展開、というか精神的な削りに入る前に落ちてるとか、ご都合すぎだろ。

 貞淑な未亡人補正的なものはないのか。

 いや、難易度あげろと言ってるわけじゃないが、こういう自分にキャラ的な補正が入ってる所で拍子抜けすると、素の自分が出て来て、非常になんとも居たたまれなくなるんだが。

 うーん、まあいいか。


「それでは、貴女を頂けますかな?」

「え?」


 唐突に巻きに入る俺の言葉に、微かに正気付いた、でもまあ……豊かに盛り上がった胸元と腰を無造作に揉んでやれば。


「ぅんっ!?」


 散々に縄で嬲られて昂った感覚が、正気を削り落としてしまうわけで。


「どうでしょう、私お者になって頂ければ、優しく守り、気持ち良くして差し上げますぞ?」


 で、ダメ押しに、口づけて蹂躙する……跳ねるように緊張、そして弛緩。

 良い反応です。


「……なります」


 というようなイベントを終了させて、ランダムキャラを一人ゲットした。

 でも、モ武将ゲットに手間かかるなぁ、おい!!

 確かに調子に乗って、嬉々としてやってたかもしれないが、素に戻ると非常に辛いものがあるぞ。

 とりあえず、指輪を渡してゲットしたはいいものの、妙に疲れた。


 その後、更に弱小村落を吸収し、一旦街に戻って人口を追加して身軽になった部隊で、また周囲を狩りに行く。

 途中で数十から百程度の賊を踏み潰し、貧村を吸収し、薄幸な未亡人を篭絡しつつ、行動範囲を広げていると、賊軍を任せている四人組から連絡が入った。

 どうやら、アチラも色々とドラマがあったらしいが、幾つかの賊を吸収し、義勇軍を討ち果たし、村々を略奪した結果、兵力は五千を超え、十人程の義勇軍モ武将や村娘等を捕らえており、幾つかの賊と同盟を組んでいるとか。

 そこで、捕まえている連中の引き渡しと、無駄に兵力持っている賊軍を片付けるのに、人売り名目の馬車を仕立てて、賊軍に持たせるので、襲撃して回収しろとのことだった。

 マップ外に移動させると売り飛ばしたことになるらしい……嫌なポイント稼ぎだ。

 まあ、経験値稼ぎがてら、千程度の敵を襲って、馬車を回収。

 何か特筆することもなく、回収した人物を見ると、なんというか全員黒髪で、能力値がプレイヤーというか、俺と同じ人ばかりだった。

 その辺は未亡人限定かとも思ってたが、マイ外史ではそうなるものなのかもしれない。

 外見も誰かに似てる感じの人だったが、年齢が割と上で、スタイルもいいのに統一されてるのは、俺の趣味が読まれてるんだろうか?

 気になって調べてみると、好みの反映がされるらしい……あと、タイアップ先のゲームタイトルのキャラも基本ベースに登録できるとのことで、ちょろっと追加してみた。

 タイトルによっては、バリバリの白人系キャラや、ファンタジー系が出てくるので、雰囲気重視の人は注意!! とかなお知らせもあったので少しだけ。

 そしたら、どっかで見たようなキャラクターに似たモブが出て来て、ちょっと吹いた。

 そんな感じで人口を増やす間に、モ武将がちょろっと増えてしまったが、それ以外にもモ武将連中が、能力値伸びていたり……。

 気付いたのは、戦闘しまくってるオッサン4人組のヤス・キン・チョイ・チョンのうち、武力以外オール一桁と言うチョン(元デク)の能力値が、魅力以外の部分が二桁になっていたのを見かけた時だった。

 基本的に能力値って伸びないもんだと思っていたが、アカウント変更に伴った改変の一部か、それとも普通に仕様なのか、確認すると二十前後の能力値の連中が、いくつか伸びてるのを確認した。

 特に何人か居た筈の、偏った能力値で一桁を持ってた連中が、いつの間にか居なくなってたりするので、間違いはない。

 で、マニュアルというか、ヘルプを確認した所、プレイヤーの能力値半分までは、割と安易に伸びるらしい。

 そして速度は落ちるが、プレイヤー能力値と同じ値までは伸び続けるとのことで、俺の場合は全能力値四十までは伸び続けることになる。

 マイ外史でのモ武将は、外史でのランダムによる特化型が出ない代わりに、ある程度プレイヤーの能力に沿った連中が出るので、四十平均前後のバランス型ばかりが出てきたようだ。

 だから、バランス型の雑魚も武将を捕まえる連中が少ないんだな……。

 ある程度弱点カバーできるなら、特化型のほうがいいもんな……。

 あの四人組だと、最終的に四十以下の能力値が、総て四十迄伸びるなら、武力特化で六十持ちのチョンが一番能力値合計が高くなる勘定だし。

 まあ、俺みたいにオール40にしてる奴も少ないだろうし、オール40も悪いことじゃないと思うから、気にしない事にする。


 で、週末の二日間に、村の吸収と賊狩り戦闘を繰り返した所、それなりに能力値の底上げが出来た。

 というか、かなり上がった……こういう重箱の隅を埋めていくような、作業プレイって地味に好きなので、苦にならないのだ。

 ただ、知力やら政治力上げるのにも、内政より戦闘の方が効率いいのは、ちょっと考えるとこだよなぁ。


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