39
恥ずかしながら、続けます。
結局、先週は初日の土曜にしかダイブしていない訳で、恥ずかしながら昨日は楽しみで中々寝付けなかったり……そして、ジョギングがてら、朝の八時には此方に来て、シャワー浴びつつ食事を作り、準備万端な上に、今日は此方に泊まろうと、外に出ないで良いだけの買い物まで済まして来ている。
なんつうか、俺は遠足前の子供か。
思わず頭を抱えそうになって自嘲。
気分を変えて、さっさとダイブしたほうが、余計な事を考えなくて済みそうだ。
器具を身につけ、導入用の音楽を聞きながら、設定済みの手順は自動化されて進むため、スムーズにゲームが開始されていく。
あの筋肉に会わないで済むのいいな。
そして半覚醒のような、ボンヤリした意識の中で、マイ外史を選んで開始。
意識がハッキリした時には、自分が金満腹のアバターになり変わっていた。
しかし、身長差による視点の変化やら、ステータスによる感覚の違いには、なかなか慣れんなあ。
さて、先週の終わりってーと……。
何となく一週間バタバタしてて、忘れかけだった状況を確認する。
えーと、開発に人口が追いついてないから、時間待ちが発生中っと。
数字で見ると、順調以上のスピードで増えてはいるものの、全体マップでの変化はないに等しい。
意識をアバターから離し、時間を加速させるも、あまり変化は見えない。
やっぱ、一気に拡張しすぎたか。
こうなると、本当に時間を進めるだけになってしまうんだが、何か他に人口のブーストになるような要素って、なにかないかね?
FAQみるにも、キーワードがイマイチなあ。
マイ外史、人口辺りで検索掛けても、増やしすぎると治安にマイナスとか、兵力とバランスを取らないと治安が下がるなんかの、内容の主体が治安になってる様子で、手っ取り早く人口を増やす方法ってのが、単純に上がってこない。
まあ、俺みたいなアホな規模で、ポイント任せで開発するほうが異常だろうし、こういう状況もないんだろうなぁ。
となると、誰かに聞くしか無いか。
賢い人って言うと……白蓮さん達に、徐庶さんに、一応内政トップってことで劉備さん弐号ってとこか?
こういう場合に数を呼んでも揉めるだけだろうし、とりあえずは四人くらいでいいだろう。
で、コピーを通して、呼び出しをして暫く。
「何かあったのか? 主殿」
「おじ様、ボクに用事って、どうしたの?」
副官で何時も近くに居る白蓮さんと、特段仕事がなく手が開いている軍師チームの刃鳴さんが、先ずやってきた。
「ご主人様、お呼びですか?」
そして、内政組のトップで、忙しくはあってもサブに関羽さんがいるので、なんとか時間を開けてきた桃香さん二号が次に。
………………
…………
……
「すまない、遅くなった……主殿」
だいぶ遅れて、武官組のサポートにつけてる白蓮さん二号が、疲れた顔でやってきたが……これは。
「あー、刃鳴さん、手の空いてるメンバーで、武官組のサポートを。
手が掛かるとは思いますが、お願いしても宜しいですかな?」
「うん、大丈夫だよ」
何気なく理由を察して指示を出す俺に、縋るような面持ちの白蓮さんが、まるで拝むような視線を向けてきた。
しかし、いくら脳筋とバトルジャンキーが揃ってるにしても、其処まで仕事が増えるのだろうか?
まあいいか、間は別の問題を考える時だし。
「此処に集まってもらったのは、少しご相談がありまして」
此方に注目が集まるのを確認してから、言葉を続ける。
「実は人口を増やすのに、何かしら手段はないかと」
「まあ、無くはないな、主殿」
「あまり、おすすめじゃないけど、ご主人さまなら大丈夫かなぁ」
なんか、アッサリと話が出てきたな。
「それは、どういった話でしょうか?」
「メタな話で申し訳無いが、イベントに出てくる近隣の村からの救援依頼に、村の人間を受け入れる選択をすれば、幾らかなりとはいえ、人口は増える。
ただ、治安は下がるし、手段といえるほどの頻度も確実性もないな」
そんなイベントがいつの間に?
「ああ、うちの場合は、嬉々として賊退治に向かう面々が居るからな。
このイベント関連は、プレイヤーが自前で武官ロールしている時位にしか、表にはでないぞ」
白蓮さんが、本当にメタな話をしてくれる。
「それでは、一応そういうイベント時には、迎え入れる方向で解決して頂けますかな?」
「仕事が増えるな……」
「あはは、白蓮ちゃん、うちも手伝うよ。
それに、もう一人の私にも、住民慰撫の方で話をしないといけないし」
それくらいかな?
あんまり、大きな効果のある話にはならなかった。
おや、何やら刃鳴さんが大人しいと思っていたら、何かあるっぽいな。
「それでは、此処で解散としましょうか。
忙しい中、ありがとうございました」
解散していく中、刃鳴さんには声を掛けておくとする。
「あ、すみませんが、刃鳴さんは暫く」
「いいよ、おじ様」
「で、何か他にも手はあるんですかな?」
「うん、ちょっと黒い話なんだけどね」
「ふむ、使える手なら使ってもいいでしょうし、聞かせて頂けますかな?
しかし、白蓮さん達には、思いつかない手ですか?」
能力的には出てきても良いんじゃないだろうか?
「メタな話、基本的にあの人達って善良だから。
黒い設定のキャラか、軍師系じゃないと、進言は出てこないんじゃないかな?」
本当にメタだな。
「で、それはどういう手段で?」
「まあ、さっきのイベントの話だけど、開発していない地域には、ランダムで村が配置されてるけど、現状だと見えないし、イベント以外で干渉はできないんだよね。
でもね、盗賊の隠し砦なんかの施設を作ると、施設の一定範囲に村が見えるようになるんだよ」
「それは、あれですか?」
ヒャッハーするようですね、判ります。
「まあ、略奪プレイするなり、逆に賊討伐するなりは自由だけどね」
「なるほど」
「それで、出てきた村から攫ってくるなり、説得して吸収するなりすれば、治安はともかく人口は増えるよ、おじ様」
「これはまた、なんとも言えない手段ですが……面白そうですな」
ヒャッハープレイに興味はある。
「じゃあ、その辺の段取りを、ボクに任せて貰えないかな?」
「それは構いませんが、何が必要ですか?」
「そうだねー、黄巾上がりの四人を借りても良い?」
ああ、そういや、あの四人は遊んでるな。
「好きに使って頂いて構いませんよ。
それと、此方を」
金山を十個購入して、渡しておく。
「ボク頑張るねー」
刃鳴さんは、輝く笑顔で走り去っていった。
暫くすると、マップの東北に新しいマーカーが出た。
○○○○▲▲▲▲賊 賊=賊施設
○○○○○▲▲▲▲ ▲=賊施設影響圏
○○○軍○○▲▲▲
○○○商○○○▲▲
○○米商商○○○▲
○○米商商商○○○
○○○○○○○○○
○○○○○○○○○
○○○○○○○○○
思いがけず、影響範囲が広いな。
この影響圏の中では、ランダムで湧いて出る、村だの賊の拠点だのが見えるようになり、其処には干渉が可能になるらしい。
ただ、影響県内に入ってないのに、こっちの治安が下がってるんだが……。
軍施設増やしても、人口増えないと兵力増えないしなぁ……。
ある程度人口増えたら、賊施設は取り壊すのがいいっぽいなぁ。