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 ははははは、物資の輸送に来たついでに、他勢力のキャラの見物をしようなんて考えていた、数時間前の俺を、ぶっ飛ばしてやりたい。


「小娘の分際で、武人の「フッ、アンタみたいのが武人だなんて、あの脳筋を風上に置いて拝んだ方が、ご利益があるわよ、なんなら足の爪の垢でも貰って来てあげましょうか? あ、変態のアンタみたいなのは、そういうのも喜ぶんだっけ?「貴様ぁ「何よ、アンタなんか、あの精○男よりも、役に立たない癖に。 そうよ、不能よ!! 変態で不能でブサイクとか、アンタなんで生きてるのよ」こ、殺す」


 こっちに向いてない罵声ですら、胃が痛いです。

 今の時期に、物資・糧秣の管理者が集まるとすれば、ネコミミ軍師が居るのは当然だったか。


「あ、あの、止めないと!!」

「ああ、止めないといけませんな」


 袁家から来た物資管理担当者、袁家二枚看板の癒しの方こと、顔良さんが慌てて止めに割り込むが、俺は心がグロッキーなので、一歩動きが出遅れた。

 その為、顔良さんが危険度の高いオッサンを抑え込み、俺がネコミミの担当に……いや、無理無理無理無理。

 なんとか、声を掛けて……それでも厳しいと思うんだが。


「その、荀、文若殿?

 私如きに話しかけられるのは、業腹かとも思いますが、少々宜しいですかな?」

「何よ、言いたい事は、ハッキリ言いなさいよ」

「それでは遠慮無く。

 少なくとも私と文若殿に手違い等ある筈もなく、また袁家も無駄に多くなる事はあれど、物資が欠乏等という事は考えられず。

 ようは、その方の管理する官軍の物資だけ確認出来れば、この集まりに意味は無いと思うのですが」

「まあ、そうだけど。

 何気に、私とアンタを並べて語らないでくれる?

 変な菌が感染ったらどうするのよ」


 喩えにもできないとか……もう帰りたい。

 これで気持ち良くなれる天の御使い、半端無い。

 って、何気に○液男って言ってたか? ということは、主人公は曹魏ルートか!!

 ……いや、今は。


「とにかく、さっさと終わらせましょう!!」


 俺の胃に穴が開く前に。


「き、急に大声出さないでよ、判ったから」


 結局、官軍の保有分が若干足らず、適当に補充する手筈を整えて解散した。

 その足で、官軍の陣屋に向かい、手続きがてら周囲を見渡す。

 上級者向け過ぎるネコミミによる精神攻撃の口直しに、一般向けである賈駆さんでも居ないかと思ったものの、流石に居ないようで。

 その代わりに、張遼さんと華雄さんが居るようですが……なんで、夏侯惇さんと文醜さんに趙雲さんまで居て、互いに睨み合ってるんでしょうね?

 これまで、武力90オーバーな連中を、散々見てきたつもりでしたが、この視殺戦、おっかねぇよ!!

 誰か来てー誰か来てー。


「ひ、ひゃわわわわ!!」


 と、プレッシャーの充満した空間に、何者かが水を差しつつ登場。

 なんだ? ひゃわわ軍師だと? 新手のモブか?


「朱里、どうしたんだ」

「かじゅとしゃまあ!!」


 ああ、噛んでるだけか……って。


「げっ、諸葛亮!!」


 じゃーん じゃーん!!

 背後から、俺が口に載せようと考えた言葉が、一瞬早く発せられた。

 何事かと思えば、南郷さん。

 それと同じくして、周囲の何人かも、同じ言葉を発していた。

 多分、そいつらはプレイヤーなんだろうなぁ。

 そんな注目に晒された諸葛亮さんは、主人公の北郷さんに、しがみついて震えている。

 恐らくは、鳳統さんも居るんだろうなぁ。

 刃鳴さんを連れてこなくて良かったわ。


 しかし、曹魏がエライことに。

 このまま順調に、郭嘉&程昱まで参入したら……恐ろしい。

 同じ事を考えているのか、周囲の「ざわ……ざわ……」感も、半端無いぜ。


 というような、変な雰囲気が生まれたせいか、武将達の睨み合いが、いつの間にか終わっていた。

 各々、自身の陣営に戻っていく。

 一体、何が原因だったんだ?

 見た感じ、その後ろに着いて行く、プレイヤーらしき人物は、官軍二名・袁家四名・曹魏三名程か?

 多いのか少ないのかよく判らんが。


「まあ、序盤は流す人も多いからね」という、南郷さんのお言葉からすると、少ないのか?


「それよりも、満腹さん。

 主な連中が集まって、話しあうらしいんだけど、どうする?」

「ふむ、どうせなら、一回り見てから帰りますかな」


 二人して、中央の一番大きな天幕へ向かう途中、はわわの他にあわわの姿も見えた。

 どうやら本気で、二人共曹魏に居るらしい。

 何となく、理想というか、主義・思想が覇王様とは、合わないような気がするんだけどな。

 そこは、主人公補正の所以なんだろうか?


 さて、会議の席には、なんか偉そうなオッサンが上座に、曹操さん、袁紹さん、うちの普通の人が脇に並んでいる。

 その各々の脇に、張遼・華雄・顔良・文醜・夏侯惇・夏侯淵・趙雲なんていう、おっかないメンバーが並んでいて、南郷さんも、そちらに並んでいる。

 俺は更に下手の、その他大勢のガヤの中に居るが、軍師を二人連れた北郷さんやら、竹簡の端を噛み締めながら、夏侯惇さん辺りを睨んでウギギギ言ってるネコミミ軍師とかも居るな。

 他にも文官・武官が居るものの、微妙にイケメンが多いのは……多分プレイヤーなんだろうな。

 俺はモブであろう、オッサン軍団の中に没入しているので、迷彩効果は高い筈。

 あまり周囲は気にせず、観察させて貰おう。


 会議自体は、大した盛り上がりもなく、兵数や補給状況、黄巾連中の近況等、現状認識の追認に終始した。

 隠しもせずに欠伸かましてる人も、チョイチョイ見られたが、俺としては中々楽しめた。

 うん、張遼さんと華雄さん……そんな格好で大丈夫か?

 横手から見てたが、こういう席に出て良い格好じゃないよね。

 ついで、曹操さんとこと袁紹さんとこについては、意匠に統一性のある格好なので、それなりにフォーマルに見える。

 まあ、覇気やら自負やらを滲ませてなければ、ただのコスプレになるんだろうけども。


 あと、全体的に皆が皆、美人ではあるのは当たり前として、袁紹さんのイメージが大きく変わった気がするな。

 あの縦ロールはともかく、こと造形という部分に関して言えば、バランスも含めて高い位置に居るように思える。

 まさに高嶺の花ってやつだ……黙って立ってる分には。

 本当に残念偉人という言葉が……いや、まてよ? 今回の劉備さんのように、なんか苦労したのか能力が高い代わりに、己の限界が見えてしまって心が折れるなんていう、劉備らしい図太さの無い劉備さんも居るわけで、もしかすると自分に自信のない、高笑いしない、質素な麗羽様も居るかも知れない。

 かなり、率の低い話だろうけども、一度見てみたいもんだな。



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