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周回を切り上げたほうがいいかもしれんかなぁ。

 さて、今回の件の後始末だが。

 難民に付いてのゴタゴタ、例えば他所から逃げてきた連中故の面倒については、後の責任というか、周囲に散らさない事と相殺、死んだ扱いにする事にして、スルーすることに。

 まあ、幽州刺史殿も、四桁の難民を、どうこうする面倒は避けた訳だ。

 問題は、劉備さん達、義勇軍御一行について。

 これは「此方に引き抜きました」では済まない。

 とはいえ、アッサリと決着はついた。

 黄巾の将の二人の首で、劉備さん達一行を買った形です。

 元々持て余してた連中が、中央への大きなアピールに成る手柄に化けるんだから、文句はないだろう。

 普通の人の手柄にはならなかったが、人口と兵力と将が入るわけだから、名より実を取ったって事にして貰おう。

 元学友の劉備さんが困ってるなら、更に文句は言うまい。

 この件によって、劉備さん達と、それ以外のモブ達の大部分も巻き込んで、忠誠が暴走状態に突入したのは、良いのか悪いのか。

 いや、見かけ上は成り行きとはいえ、此方の得を捨てて救ったって事になるのか?

 実際のデメリットってのは表面だけで、特に身銭を切ったって訳でもないんですが。

 ともかく、受け取る側として、そういう風に感じちゃった劉備さん辺りが、時たま目を潤ませて見上げてくるのに出会うと、スーッと手が胸元に伸びそうになっててヤバイ。

 前回の劉備さんと関羽さんとは、マイ外史ですら手を出しづらい、変な関係になってしまったんで、生殺し無駄おっぱいという代物だった。

 そのせいで、今回の触れなば落ちんというか、むしろ誘ってくる風情の攻撃力が洒落にならん。

 今の所、白蓮さん他、美乳タイプが殆どを占めるんで、尚更の破壊力だわ。




 そんなこんなで、後腐れがなくなったので、準備の終わった連中から、ゆるゆると普通の人の本拠(遼西郡)への道を進んでいく。

 正規軍の騎馬連中は、趙雲さんに任せて先行して貰っている。

 いや、趙雲さんと目を合せると、そそくさと逃げるので、先に行って貰った。

 以前の嫌悪って感じでは無いので、醜態かましたのを気にしてるのだと思うが。


 それから数日掛けて部隊を纏め、懐かしの我が家というべきか、我が太守殿のお膝元に辿りついた。

 郊外に陣を築いて、一時の難民キャンプとして、順次に開いた土地……烏丸と喧嘩しなくなって、使えるようになる土地へ、義勇軍でざっと道筋を付けてから、入植して貰う事になる。

 これについては、普通の人と相談して、早速に進めるべきだろう。

 と言ってるそばから、太守殿の登場ですね。


「なあ、満腹」

「はい、伯珪様」

「なんか、ちょっと見ない間に、エライ事してきたな」

「趙将軍に引っ張りまわされたせいなのですが……どうして、こうなったのでしょう」

「まあ、何にしろ、良く帰って来てくれたよ。

 桃香達のこと、ありがとうな」

「いえ、それこそ巡り合わせという物でしょう。

 此方も助けられたのですし」

「これからも宜しく頼む」

「はい」


 そう言って、普通の人が離れていくのと入れ替わりに、南郷さんがやって来た。


「満腹さん、久しぶりだね」

「お久しぶりです」

「大活躍だったらしいね」

「冗談じゃありませんな。 盗賊退治が黄巾賊相手の合戦に化けるなど。

 幽州刺史殿の嫌がらせにしろ、義勇軍の合流がなかったらと考えると、背筋が寒くなります」

「しかし、こちらに来ないと思ってたら、劉備さん達、そんな所に居たのか」


 不思議そうに首をひねる南郷さん、確かにねえ。


「なぜか、妙に落ち着いた感じの方で、夢見がちな今までの感じとは随分違いましたね」

「うーん、どういう影響が出るかなぁ」

「蜀陣営ができない場合というと、どういう筋道に?」

「ああ、イナゴパターンって、公孫瓚陣営が躍進する形の場合と、名族大躍進パターンでとかで、袁紹陣営が大きくなるとか」


 そんな所かなあ? と首を傾げる南郷さん。


「なるほど……」

「まあ、主人公次第って所も多分にあるんだけどね」

「今回は、何ルートなんでしょうな」

「嫌なのが、董卓と曹魏ルートかな。

 主人公が、あわわ&はわわを巻き込んで、陣営合流とかが最悪パターンだけどね。

 董卓だと反董卓連合が読めなくなるし、曹魏だと袁紹が、いきなり潰されかねない。

 公孫瓚陣営が頑張ってると、袁紹も伸びにくいから尚更ね」

「ふーむ」


 袁紹と削りあいしてる横から、曹魏に殴られるとか嫌過ぎる。


「ところでさ」

「はい?」

「趙雲さんと、なんか進展が有ったり?」

「いえ、関係は軟化しましたが、特には」

「そっか、ああ、いや、別に気になってるわけじゃないよ」


 気になるんですね。

 まあ、攻略のツボは分かるんですけどね。

 要は認めさせる事なんだろうけど、単純に勝った負けたじゃなくて、己に自負を持ってる相手を、使いこなす器量が在るかどうかを見てる相手に、何を見せるかって話な訳で。

 前回だと、劉備さんと主人公を当て馬にして、わざとらしくも差を見せた。

 今回だと、趙雲さんの行動は、此方の掌の上だぞーてな事を、口先三寸で。

 ただ、ある意味で厭味ったらしい方法なので、元からマイナス修正食らってるせいもあって、残念な結果になっている。

 今回のドタバタ賊討伐行ですら、反応が薄いようだと、攻略は無理ゲーかもしれない。




 それから暫くは、ひたすら内政というか、投げっぱなしで出掛けてた分の仕事を、片付ける日々が続いた。

 蹋頓さんのとこに顔出して、烏丸との緩衝地の備蓄やらの様子見て、劉備さんの義勇軍が耕しまくってる入植地を見に行って、溜まった決済を片付けて、普通の人に書類やら稟議あげて、返って来たのを各部署に振って、趙雲さんが訓練とかで消耗した、部隊の備品の類を投げてくるのを手配して……いやいや、なんでまだ俺が、手配を掛けたりな面倒見てるの?

 騎馬隊の兵権は趙雲さんに丸投げしたじゃん、上がってくる事案の承認はするにしろ、こっちで書類作って、自分で認めてハンコ押してりゃ世話ないじゃん。

 え? 副長やってた人が出世しちゃって、居なくなった?

 そんなもん知るかー!!

 趙雲さん呼べー!!


「満腹殿? 何か御用かな?」

「何気に流されていましたが、将軍職の方が内向きの事を投げっぱなしというのは、どうなのでしょうか?」

「ふむ、時間の短縮にはなっておるかと」


 ああ、そりゃ通るように此方で作った書類なら、一発ですわな。


「しかし、部隊の内実を知らない者が担当しては、物資諸々の充分な手当てもできないのでは?」

「満腹殿であれば、何を見ずとも過不足無く調達できる物と、信じておりますとも!!」


 そりゃねぇ、あんだけ面倒みた部隊ですから……はぁ。


「判りました……何か特別に必要な物が出来ましたら、おいで下さい」

「いやぁ、流石は満腹殿ですなぁ」


 スキップしていく白いのが無性に恨めしぃ。

 しかし、内政要員が増えたのに、仕事が減らないとか、一体どういう事だろう?


「そりゃ、色々と仕事を増やしてるからな」


 白蓮さん……ボソリと呟きながら、卓上に巻物を束で積んで行くのは、やめて下さい。


「仕事の吸い上げも、途中の流れも良くなったから、今までの仕事が早く終わるの。

 それで開いた時間で、他に出来る事を探して、新しく仕事を作ってるんだもん。

 そりゃ忙しくなるよ、おじ様」

「なんでそんな事に」

「おじ様に目を掛けて貰おうってね。

 もっともっと仕事が増えるよ、やったね、おじ様」


 いや、成果上げすぎても、難易度が上がって、変なイベント呼びこむから。

 とはいえ、仕事増やしてるのは、俺の下に付いてる人なだけに、他所に振る訳にもいかないのか。

 だから刃鳴さんも、束で積んでいくのは止めて欲しいんですが。


 そして、ある朝の評定。

 以前に、アホみたいにポイントをバラ撒いて、無理やり成果上げまくってた時より、効果出てたりするのは、どういう事だー。

 数の暴力っていう奴か?

 それはともかく、幽州全体の底上げもだが、ここ遼西と遼東の二郡の発展の仕方が、大概おかしい(遼東は普通の人の実家の地盤の為、こことのやり取りが多く、巻き込みで発展した模様)

 まあ、幽州自体が田舎なんで、そんなに規模は大きくない訳ですが、こっそり烏丸の生産物やら、金山からの金での遣り取りも有るので、意外と馬鹿にできない経済圏になってたり。


「報告を頼む」


 普通の人が、ざっと必要事の申し送りをした後、定例の報告会が始まった。


「冀州との行来が増えたせいか、またぞろ細かい賊が増えて来ております。

 南郷殿と手分けして手当てしておりますが、領内の治安維持に重きを向けると、些か人手が心もとないですな」


 割と真面目な趙雲さん。


「何か良い方法はないか?」

「うちのとこの連中で良ければ、傭兵扱いで動いても良いわよ。

 流石に領内で動くのは揉めるでしょうけど、外で賊相手に暴れるならね」


 丘力居さん、ナイスアイデア。


「そうですな、身分保障に此方の手の者でも付けておけば、特に問題はないかと」


 主にヤスとか。


「そうだな、じゃあ、軍と烏丸あわせて調整を頼む、任せるぞ」

「はい」


 しまった、仕事が増えた。


「次は?」

「はい! やっと難民さん達の割り振りが終わったよ。

 ざっとした、土地の整備とかも終わったから、あとは官吏さん達に任せてきたけど。

 ただ、この先の義勇軍の皆とか、私達の扱いってどうなるの?」


 ああ、そういえば義勇軍って、結局難民の人が幾らか居着いて、三千近い数という、単純に兵数だけで言えば事実上、普通の人の親衛の次にくるんだな。

 それが将諸共、不明瞭な立場のままに大仕事してるとか、融通が利くといえばいいのか、適当といえばいいのか。

 伯珪様、器量がでかいわ。

 俺? 仕事が増えるから、気付かないようにしてた。


「そうだな、桃香は正式にうちに来るのはどうなんだ?」

「ごめんなさい、まだ決心つかないかな?

 今は白蓮ちゃんの為に働いてる、満腹さんのお手伝いって事じゃ駄目かな?」

「桃香達、三人まとめて来てくれると、助かるんだけどな。

 仕方がない、今はそれで良いさ」


 ため息、伯珪様。

 幸せが逃げますよ。


「ただし給金は客将扱いで、こっちで出すからな、その積りで居てくれ。

 義勇軍の扱いも、正規としては扱わない方が良いんだろうしな。

 食い扶持については、こちらで出す仕事の報酬で、それ以上については出来高でいいか?」

「うん」

「満腹、土地整備の後に、何か任せる仕事ってあるか?」


 いきなり振らないで下さい。


「おじ様、青洲と徐州向けに船便も増えてるし、遼東郡の港の整備とかどうかな?

 本当だと、あっちに兵を動かすのは面倒だけど、正規軍じゃなくて、義勇兵の出稼ぎならね」

「なるほど、先を考えれば損はない話ですな。

 伯珪様、いかがでしょうか?」

「そうだな……調整頼む」


 あ、仕事増えた。


「南郷は何かあるか?」

「あー、前の満腹さんの盗賊討伐でも居たそうだけど、黄色い布を徴にした連中。

 ここ最近、ちらちら見掛けるように、なったんだけどさ。

 うちの近辺だけじゃなくて、かなりの地域で、暴れてるって噂が出てるんだよ。

 その辺のとこ、中央からは、何も言って来てないの?」

「今の所は特にはないぞ。

 兗州・冀州の方じゃ、官軍も動いているらしいが。

 ただまあ、動員を掛けられる準備は、しておく方が良いんだろうな」


 てな話をした、数日後。

 幽州刺史殿から、普通の人に、お手紙が届きました。

 曰く「中央から、兵力を出せと言われたが、残念ながら戦力がない。 漢皇室に良いとこ見せる機会だが、仕方ないから譲ってやろう」なんていう代物でした。


「まあ、仕方ないな」と、あきらめ顔の伯珪様。


 普通の人が決めたんなら、こちらに否やは無いので、さっさかと準備が始まる。

 とりあえず、伯珪様の親衛から三千、南郷さんと趙雲さんが各二千の計七千。

 全数騎馬の編成で、結構な金が掛かってる連中です。


 さて、出ると決めてから、ものの三日程掛けて、出立の準備完了。

 いってらっさいと見送って、ほっと一息という訳にはいかない。

 後詰と輜重を率いて、追っかけないと。

 劉備さんが、港の整備に行っちゃったのが、ちと惜しかったな。

 動く準備の出来てるのが居れば、楽できたのに。

 と、思ってたら、丘力居さんが烏丸騎兵を、二千程連れて帰って来た。

 本来は傭兵扱いで、街道警備に回す連中だが、この際付き合って貰おう。

 後詰は、冀州向けの街道使った掃除にもなるから、まあ良かろ。


 でもって其処から更に数日、この間の黄巾討伐の時に作った陣の跡地を、物資集積地にした。

 実際は本拠地からは遠すぎる、一発目の集積地だが、ここで物資を湧いて出させるので問題ない。

 此処に騎兵を千残し、残りの千で輜重隊を守りつつ前線へ向かう。

 因みに連れて来てるのは、白蓮さん、鈴々さん、星さん。

 丘力居さんは、例によって遼西に残っている。

 その中で白蓮さんを此処の守りに残し、俺と星さんと鈴々さんで先へ進み、ほぼ予定通りに普通の人達と合流できた。

 そんで食い物やらを受け渡している最中、集まっている軍中の様子を見るに、袁紹陣営と曹魏陣営に官軍も加わっている様子。

 全軍で凡そ三万程度か?

 黄巾討伐の本番に、この数が多いのか少ないのか、良く判らないが……凄い迫力とは感じる。


 さて、ここまで来たなら、今まで見た事の無い、他陣営のキャラが気になる。

 引き返す予定を若干延ばし、キャラクター見物と洒落こむ事にした。

 

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