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 さあ、キャラクターが作成完了。

 課金アイテム突っ込んで、初期とは思えないパラメーターだが、レベルが低いので色々と足りない部分は有るだろうから(熟練度っぽい物が有るようだ)この先の成長に期待だ。

 で、ここまでは、ダイブシステム付属のコンソールから作業していたのだが、この先は作品にダイブしての行動になる。

 今までにも何回かは体験している物の、自分専用の機械からのダイブというのは、中々に感じが違うものだと思う。

 強いて言うなれば、平日の夜と連休前の金曜の夜の違いとか?

 基本的に際限なく、自分でやめたいと思う迄続けられるとか、半端じゃなくテンションが上がる。

 よし、始めよう。



 ダイブといっても、液体の入ったポッドみたいな大がかりな代物は必要ない。

 サブコンソール用のHUDグラス(こめかみにサブの受信機)と、首の後ろにセットする送受信機兼ミキサーのヘッドセットに、右手か左手の筋電位マウスグローブ付けて完了。

 後は楽な姿勢で横になればOK。

 そのうちに半覚醒状態に移行し、安定すればタイトルがスタートする。

 感覚的には、一瞬、気が遠くなっていたかと感じた次の瞬間には、ダイブ状態に移行しているといった感じだ。

 今回も、何かに気を取られていたような状態から、ハッとした時には、自分が水中に居るような浮遊状態になっていた。

 目の前には、メニューを模した球体が浮かんでいる。

 それらに触れながら、「キャラクター選択」、「新たな外史へ」と進む。


「いらっしゃーぁあい♪ お・は・つ♪ のお客様ねえん」


 いきなり、何か唸るような音が、世界を震わせた。


「あーら、驚かせちゃったかしらぁん。

 わ・た・し、当ダイブタイトルのチュートリアルを担当するパーソナルの貂蝉よぉん♪」


 ぐはぁ、無言で、右手のイメージを操作。

 オプションを開いて、設定を変更しようとして……。


「ごらぁ、誰が超リアルホラーのボスも慄く、発禁グロだとぉ!!」


 誰もそんな事は言ってない。


「と・に・か・くぅ、チュートリアルが終わるまでは、設定変更不可よぉん♪」


 これはキツイ。

 見てもないのに、筋肉マッチョがくねくねしているイメージが伝わって来る。

 なんで、こんな所に力入ってるんだ。


「まずは、スタート位置の設定ねん。

 本当はランダム設定か、マップ表示の中から選択してもらうんだけど、

 今回はチュートリアルだから、此方で指定させて貰うわよん」


 メニューが開き、位置指定設定へ進み、マップ上の光点がマップ上部へ移動していく。

 光点が止まり、意思確認がYで進む。


 幽州か……確か、地味の人のお膝元か。


「じゃあ、開始するわねん♪」


 言葉が終わるか終わらないかの瞬間、風景が切り替わり、自分の姿が登録してあったアヴァターに置き替わる。

 体に重力を感じ、肌に風を判じる感覚が、意識を鮮明にさせる。

 でも、半分寝てるんだよなあと、変な感心をしてしまう。

 腹を触ると太鼓腹の感触。

 そのくせ、能力値のせいか身は軽い。

 そんな違和感を楽しんでいると、声が降って来る。


「時間はスタート時点から少し進めてあるわ。

 星ちゃんが客将になっていて、貴方は白蓮ちゃんに以前から仕えてるってところかしらん」


 なるほど、やはり普通の人に仕えているのか。

 自分の風体を見ると、御用聞きの商人だか下っ端役人だかの、どちらでもいけそうな感じだが、どの程度の位置に居るんだろうか。


「うーむ」

「金千どの?」


 腕を組んで首を傾げていると、不思議そうな声で、脇から声を掛けられた。

 今まで、マッチョの声に慣らされていたせいか、リアルで鈴の鳴るようなという喩えを頭に浮かべる事になった。

 って、感心している場合じゃないな。


「おっと、これは失礼」


 振り向くと、何という……艶やかな。

 ぶっちゃけデザインは中国舐めてんのかって風に、あり得ないのだが、胸元足元の挑発度合いに全てを持っていかれて納得させれられてしまう。

 健康的な色気というには透き通るように白い肌が艶かしく、仄かに朱に染まっているのは調練でも行っていたのであろうか。

 思わずガン見してしまいそうになるが。


「駄目よん、乙女の柔肌ガン見しちゃ。

 紳士たるもの、焦っちゃ駄・目。

 でも、そのパトス、ああん、あっついわあぁあん」


 絶対に、お前にゃ注がねえよ!!

 うげぇ……思わず変な想像になりかけて意識が飛びそうになったわ。


「これはこれは、趙雲殿。 いつも変わらずに、お美しい」

「いやいや金千どの。そのように真っ直ぐ褒められると、参りましたな」


 意識がそれた後、勝手にキャラが応対している。


「今みたいに、プレイヤーとキャラクターの同調が離れると、体感時間が加速されて、キャラクターは自律して動き出すの。

 キャラクターは特に対象や行動を指定していないなら、基本的に無難な行動をするから、よっぽど微妙な情勢でもなければ変な事にはならないわ、安心してねん♪」


 気がつくと、趙雲の姿はなく、いつの間にか部屋で竹巻もって書き物をしていた。

 この辺も自律して勝手に進んでいるらしいが。


「あ、そうそう。 自律している時の行動の達成度は能力値基準になるのだけど、意識して行動することで、効果を上げる事ができるわ。

 簡単に言うと、運のパラメーターを消費して、不足分の能力値のかさ上げだったり、成果の達成度を上昇させたりできるのよん。

 運のパラメーターは暫くすれば、上限までゆっくり回復するから、旨く使ってねん」


 それからも、兵の訓練だの政務の進め方だのの、基本的な行為判定なんかを、割とちゃんと解説してくれるマッチョに感謝しつつ、チュートリアルを進めていく。

 基本的に能力値が足りている為か、特に失敗もない。


「あらん、能力の及ばない行為判定について、運のパラメーターを使ったカバーリングのチュートリアルが出来なかったわねん。

 あなたってば凄いのねえ」


 言外にどんな意味を含まれているのか気になったが、褒め言葉と思ってスル―しておいた。


「それじゃあ、最後にイベントの処理を行うわよん」

「イベント?」

「今まではあくまでも日常の行為ねん。

 基本的に外史の流れには影響の出ない、競う相手もいない己の評価を積み上げたり経験を積むような事柄だったのね。

 今から始まるイベントは、対プレイヤーだったり、外史の基本線にズレを起こすような戦争だったり結果の変更だったりするのよん♪」


 地味な人にそんなイベントってあったんだっけか?


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