表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/79

28

なんだかなあ、どうかなぁ。

 五日目、陣地の防備が整ったおかげで(見掛け倒しの案山子役の連中を含む)騎馬の部隊を全数出すことが出来た。

 その御蔭か、黄巾連中が反応するも動く事は無かった為、ぐるりと周囲を回って、念入りに物資を置いて回る事ができたようだ。

 その時点では、一部の難民が物資の確保に動こうとしたものの、うちの騎馬隊相手に黄巾連中が緊張状態で警戒していた為、引っ込んでしまった。

 その後、日が落ち、うちの部隊が陣地に戻った頃、黄巾の一部と難民連中が荷物を回収に動きだした。

 一斉に動き出すのを見ると、難民といえど結構な数になる。

 それこそ黄巾連中も、手を出しかねる程度には。

 お陰で、一部の荷物以外は、概ね難民連中の手に渡った筈だ。


 夜半過ぎ、あちらの方で、少し騒ぎが有ったようだ。

 そんな中を、昨日より少ないが、それでも四百人程がやって来た。

 ただ、女子供や老人ばかりで、何が有ったのかを聞くと、危機感を覚え始めたらしい黄巾の連中が、難民の男連中を引き込もうとしたか、女子供を押さえようとする動きを見せた為、難民側の男衆が立ち上がり、双方が睨み合っている隙に女子供を逃したそうだ。

 あと、話を聞いた難民達の中に、難民達の纏め役らしき人物からの伝言を預かったので、聞いて欲しいという者が居るとの事。


 何々「明日、荷物を投げ込む際、時を合わせて逃げ出すから、黄巾連中へ睨みを効かせて欲しい」ってか、こりゃ凄いな。

 流石に難民達の数が半減して、黄巾連中の目が届くようになってしまえば、少しずつの移動は牽制されて動けない。

 となれば、切欠を作って一気に動くしか無いが、ギリギリまで待たずにという事は、準備よりも危機感が優先された訳かな?

 既に、結構な緊張状態なのかもしれないな。


「なんにしろ、私の策は相手の動きを想定していない、策とも言えない愚策だったわけですな」


 それを、完全にとは言えないまでも、ひっくり返してくれた人物がいる。

 それは誰だ? この事を誰が考えたのか? 纏め役って、もしかしてネームドの人物か?

 まさか、はわわ&あわわ軍師が巻き込まれてんじゃないだろうな?

 ちょっとばかし、時期が早い気がしないでもないが。


「いやいや、難しく考える前に、伝言を伝えに来たという人物に問うべきですな」


 という事で、伝えに来た人を呼んで貰ったのだが。


「多いですな」


 40人超とか、確実を期す為にしても、この人数は多過ぎるんじゃ?

 しかも、狙ったように妙齢といって良い女性ばかり。

 まあ、ちょっかい掛けられないように逃すんだから、おかしくないとも言えるが。

 ……ああ、なるほど。


『伝言を預けられる程に、しっかりした人 = 幾らかステータス高い人 = それなりに美人の女性』


 なんていう、恐ろしい方程式の成り立つ世界なんだったな。

 なら、ってんで、一番美人な人に聞いて見ようと思ったら。


 いきなり目についた、なんという美少年。

 ぶっちゃけ、凛々しいカンフーパンツっぽいズボン姿で、胸が全く無いのを除けば、女性としか思えないが、その目の強さや、凛とした立ち居振る舞いが、恐ろしい程に決まっている。

 これを貴公子と言わずして、何を言うってレベルだ。

 しかし、メインキャラクターレベルの美貌だと……なんという、凄まじい女顔、だが弱々しさや媚びた感じが一切しない。

 タイプとしては、孫呉の思春(甘寧)か?

 若干小柄とはいえ、年齢不詳の雰囲気とあわせて、さぞかしモテるに違いない。

 ならば、嫌がらせだ。

 NPC相手に大人気ないと笑わば笑え。

 好き好んで、中年の格好したアヴァター使ってるにしても、イケメンは敵なのだ。


「では、すみませんが、そちらのお嬢さん。

 お聞かせ頂いても宜しいかな?」

「ボクのことか!?」


 部屋中が騒然とする。

 恐らく他の連中は、男性だと知っているんだろうな。

 此方へやって来つつ、問い返す声は若干ハスキーとはいえ、女の子の声にしか聞こえない。


「はい、お嬢さんのことですよ」


 眼の前にやって来た所で、再度お嬢さんと呼んでやる。

 再度ざわつく部屋の中。 妙なプレッシャーが満ちる。

 で、当人はといえば。

 おお、固まってる固まってる。


「なぜ、ボクを?」

「大した理由ではございませんよ。

 どうしたことか、美女が集まる事になっておりますので。

 どうせなら、この中でも一番美しい、いえ、麗しい方の声を聞いてみたいと、そう思っただけの事でございますよ」


 ここで、無駄に運を400魅力に注ぎ込んで、微笑んでみせる。

 さぞかし悔しかろう。

 まあ、此処で頬を染められたりしたらドン引きだが……って、頬染めた上に、目がウルウルしてるー!!


「お、ぉぉぉおおおおおー」


 うぉ、なんだ、速い!! 殴られ!?


「おじ様っ!!」


 首が抜けんばかりの勢いで飛びつかれた。


 なんじゃそりゃぁ!! 部屋の中でも、キャーとかな黄色い声がしてる。

 あ、この子、付いてない&微かとはいえ、胸が有るじゃないか。

 なんだよ、普通にお嬢さんじゃないかよ。


「お、お嬢さん。 すみませんが、放れて頂けませんかな。

 流石に、この体勢は外聞が悪いので」


 ひっくり返った俺の腰の上に、女の子が跨って居るというのは、流石に人前では少々問題ががが。


「おじ様は、ボクの王子様だよっ!!」

「あ、あの、話を」


 訳が判らん。


「初めてだよっ!! ボクの事を初めから、女の子として扱ってくれる人なんてっ!!」

「「「うわぁ……」」」


 部屋中で、なんか『凄い可哀想な子』認定されてるよ、お嬢さん。 

 貴女は誰で、一体何なんですか?




「落ち着きましたか?」

「……うん」

「で、貴女が伝言の主で、宜しいですかな?」

「うん、ボクがそう」

「お名前を伺っても?」

「単元直、真名は刃鳴はなり


 ……単福? 徐庶? 

 原作に居たのかね? なんか、名前だけ出てたような気がしなくもないが?

 スピンオフか、もしかすると、噂に聞く『僕が考えた、恋姫武将コンテスト』のキャラクターだったりするのか?

 まあ、ネームドモブだと、ユニーク以外はランダム幅で男だったり女だったりするし、その中にこういうキャラクターが出てくる率もあるかもしれないが、真名は持ってない筈。

 恐らくは、メイン・ユニーク以外で真名持ちだと、やっぱり間違いがないような気がする。

 それに、なんとなく厨二臭のする真名だし。

 いや、まあ、その辺はいいかな、話を進めよう。


「私に真名を、お預け頂けると?」


 問いつつ、取り出した指輪を贈る。


「どうか、受け取って下さい……ボクを」


 指輪をはめ、そう言ってから「キャッ」て、赤くなるのは可愛いけど、なんか最後にボソッと変な事を言ってたぞ、オイ。

 どういう設定が投稿されたのか、激しく気になる……メイン食いそうな、凄いキャラ立ちしてるんだけど。

 検索掛けてみようか。



 えーと?


 ――恋姫†無双パラレルダイブ プレイヤー投稿武将――


 し:

   徐庶

   徐盛



 し:徐庶

   徐:庶:元直 真名:刃鳴はなり

   元は徐福と。

   蜀系軍師にあるまじき、ツリ目の凛々しい美人系の美貌。

   おまけに小柄ではあるが、鍛えられた、しなやかな体躯と絶壁ペタン、シッカリした肩幅等による、恐ろしい迄の王子様属性な外見。

   その為、水鏡女学院時代、はわわ&あわわに女性だと念押しした上ですら、薄い本の題材にされた『徐福総受け本事件』という黒歴史を持つ。

   その思い出を忘れる為、単福と名を変え、出会いを求めての旅の途中に劉備義勇軍と出会い、天の御遣いの飾らない態度に感動し、助力する。

   だが暫くして、天の御遣いに同性の親友扱いをされていた事が発覚、傷心のままに合流した、某はわわに後任に押し付けた後、母親が云々と理由をこじつけて出奔。

   名を徐庶と改め、身投げするつもりで曹魏百合王国に仕官。

   しかし本場の壁は厚く、恐れおののいたまま、在宅で仕事をする引きこもりとなり、後年を過ごす。

   母親に男っぽく育てられた為、女の子扱いをしてくれた父親の影響で、軽度のファザコン&年上好き。

   女学校時代のトラウマにより、はわわ&あわわ(主にはわわ)や腐臭を持つ者に対しては、憎悪を持つ程の拒否反応を示す。

   また、見かけによらず、外見と環境により隔離され、熟成された『王子様を待つ』レベルの超絶箱入りの乙女心を持ち、これに匹敵する者は、かの貂蝉くらいである。

   尚、見かけどおりの、極端から極端に走る激情家でもある。

   趣味は、お菓子作りと詩を読むこと。



 これは酷い、あまりにネタすぎる。

 まあ、指輪を受け取ってくれる人が、可愛いなら文句はないけど。

 しかも、待望の軍師キャラだし。

 もしかすると、高難度イベントのおまけキャラか?


 うーむ、あまり深く考えない方が良いかもしれないが、唐突すぎて驚いたな。

 おっと、指輪のついでに、キャラ立ちを消す事になりそうだけど、コンプレックスらしき絶壁も解消してしまおう。

 バストアッパーx3。

 これで、おそらくはアンダー65くらいか(AAA)から(C)へ。

 身長の割に(155無いような)肩幅がシッカリしてるのは、剣を使う上で鍛えられてるからだろうか?

 お陰で胸元も筋肉ついてるんだろう、サイズの割に高い位置で支えられた、膨らみの自己主張が凄い。

 蜀軍師のイメージといえば『はわわ&あわわ』な、タレ目・小柄・幼女なのに、一線を画すような凛々しさのせいで、男の子っぽかったのが、これは……凄くイケナイ感じの子になってしまった。


「あ、ボク……おじさんに、女のっぽくにされちゃった」


 今までになく、主張する胸元を抑えながら、赤い顔をして、そんな事を仰る。

 だからキャって、可愛いけど、人聞きの悪いことを言うなよ!!




「で、旅の途中に、あの黄巾の一群に巻き込まれたと?」

「というか、興味を引かれて難民に紛れ込んでたの。

 コッソリ混じって黄巾ってのが、どんな連中か見る位のつもりだったんだけど」


 んーっと、人差し指を顎に当てながら「ちょっと、迂闊だったかもね」等と仰る。

 抜け出す以前に、うちの部隊がやって来て、黄巾の連中と睨み合ったせいで、身動きが取れなかったそうだ。


 あれから、気を取り直す意味も込めて、天幕内の皆に酒を振舞った。

 それをちびちびやりながら、事の次第を聞き取っている。


「それでも、夜のうちに皆に混じって、抜け出てしまえばよかったのでは?」

「それだと、おじ様の策がつまらない事になるかなーって」


 そんな、悪戯のバレた子猫みたいな顔されても、くっ。


「私の策に穴があったのを、当初から気付いて居られましたか……」

「大袈裟だけど、策というモノにしては、優しすぎるよね。

 まあ、混乱の種の人数を、半分に減らしたってだけでも、充分に成果だとは思うけど」

「ここから、難民ごと片付けちゃうってのは、おじ様にはできないでしょ?」なんてことを、微笑みながら呟くのを聞くと、少々背筋に冷たいものが流れる。


「大丈夫、ボクの伝言のとおりにやれば、残りの七割くらいは引っ張れるよ。

 本当は、もう少し準備したかったんだけど、あの連中に堪え性がないから……」

「ちょっと失敗しちゃったね」と、舌を出す。


 頼もしいやら、怖いやら。


「ところで、この人達は?」


 聞こうと思って忘れてた、伝言を伝えに来た人達の事。

 なんで、こんな人数に?


「うーん、幾つか理由があるんだけど」

「ほう」

「まずは、伝言伝えるのに、人数確保しようとして。

 伝言すれば、褒美を貰えるよーって誘いをかけたら、思いの外に多く集まっちゃって」

「なるほど」

「まあ、その中から、そこそこ才のある、黄巾に混じられると面倒なのを選んで、こっちに引っ張ってきたの」

「どういうことでしょう?」

「おじ様、難民っていうだけで、弱者だなんて事はないんだよ♪」


 歌うような声に、天幕の中の皆が固まった気がした。


「ボクみたいに興味混じりで居る奴。

 黄巾の連中を見極めに来て、あわよくばなんて考えた流れ者。

 元盗賊の情婦で、元旦那を殺っちゃって、次のを物色してるなんてのもね。

 色々だけど、利があれば黄巾に付くような奴もね。

 特に、あそこには黄巾の将も居るから尚更だよ。

 その中で、味方になるかどうかは別にして、敵に回すと邪魔臭いなーって思った人をね。

 集めておいたの。 おじ様のために♪」


 天幕の中、全員ドン引きだ。


「どうして、其処までの事を?

 先程まで、私と会った事も無かった筈ですが」


 さっき会って、気に入られたにしては、用意が周到すぎるような。


「ああ、さっきのは、ボクの情の部分っていうか、女の子の部分が、キュン♪ってしちゃったから。

 でも、ボクの利の部分、軍師の部分といってもいいけど、其処がね。

 おじ様の将や兵なんかを見て、策の振るい甲斐の有る所だろうなーって、キュン♪ってしちゃったの。

 だから色々と、お土産を準備したんだよ♪」


 この子、怖ェえよ。


「で、どうするの?」

「どうするとは?」

「この人達♪」


 徐庶さんは、天幕の中を見渡して「おじ様が必要ないなら」と違って、ニッコリと笑った。


「後腐れ無いように「「「「どうか、お仕えさせて下さい。 ご主人様」」」」だって、おじ様。

 どうする?」


 なんちゅう楽しそうな悪い顔してるんだ、この子は。

 ヘタに要らないって言ったら、本気で処分しそうだな。

 しかし、こんな人数、ステータスを見ていくだけでも大変だぞ。


「おじ様も悩むよね、一軍の将が務まるわけでなし、一郡の官が務まるわけでなし。

 中途半端な才を、どこで使うかなんて」


 いや、ちょっとまて、早まるなと言いかけて「おじ様は黙っててね」と唇だけを動かし、こちらを制止してきた。

 その時の目に、思わず飲まれてしまって、声が出なかったのは、俺がヘタレなだけなじゃい筈。

 本気で怖ぇえよ。


「となると……才で役に立てるか決められないなら……あはっ、そうだよね。

 おじ様に、才じゃない所を使って楽しんで貰えるか、見て貰うと良いんじゃないかな♪」


 ちょ、お前、何を言ってんのと、言う前に。

 悲壮な表情をした女性達の、壮絶なストリップが始まった。


「ほら、ボロっちいのはさっさと脱いじゃって、一人ずつ並んでよ」


 こいつ、ドS過ぎる。 なんて楽しそうなんだ。


「おじ様、可哀想だからって、無理に選ばなくてもいいんだからね」


 そんな事を、間近で言われて、最初に並んでる女性が真っ青な顔で、胸を掬い上げるように見せつけながら「どんなことでも受け入れます。身も心も捧げますから、お情けを」とか、必死で訴えてくる。


 これって確か、恋姫だよなあ。 とか、現実逃避しそうになってると、システムアラートらしきメッセージが脳裏に響いた。


「卑弥呼じゃ。

 お主のバイオレンス規制が、解除されたぞ。

 これ以降、アダルトダイブタイトル規制条例一三条一五項により、お主の行動はサンプリングされておる。

 もし、お主が現実で犯罪などを犯した場合に、参考資料として用いられることが有るので注意じゃ。

 それ以外の使用については、個人情報保護により、禁止されておるので、安心するが良い。

 では、続きを愉しむが良いぞ」


 ……おい、俺が主導してないんだが、これは何かの罠か?


「どうか、お願いします。 殺さないで!!」


 おっと、ボーッとしてる間に、目の前の女性が、縋りつかんばかりの懇願を、繰り返していた。

 どうせ、サンプリング始まっちゃったんだったら、この際、これも楽しむべきなんだろうなぁ。

 犯罪とかする気はないけど、あまり気分のいいもんじゃ無いんだがなあ。

 まあ、恋姫とは完全に、切り離されちゃったような状況だし、メインのキャラクターにどうこうって忌避感は薄いかなぁ。

 実はメインキャラにも、結構酷い事を、やってるような気がしないでもないけど。


「大丈夫ですよ。 そんな勿体無い事は致しませんとも。

 そうですね、貴方の胸にシコリがないか、調べませんといけませんな」

「ああ、どうぞ、お調べ下さい」


 俺の目の前に立ち、両手を後ろに回して、少し前かがみで立つ女性の胸を、下から支えるようにして、揉み上げる。

 みっしりした重みが、ひんやりした感触と共に手に乗っている。

 流石にエロゲタイトルというべきか、色は皆が見が綺麗なままで、肌も透き通るような代物だ。

 何度も揉み込んで居ると、充血した部分が固く感触を返してくる。


「おや、これは?」


 先を摘み弄っていると、辛いのか目を伏せながら「それは、ご主人様に触れられて、喜んでいるのです」と答える。


「なるほど、ふむ、健康のようですな。

 それでは貴方を頂きましょう」


 ポイントショップから、指輪とアクセサリの鎖付き首輪を購入。

 普通なら、こんなものを贈ったらドン引きで忠誠下がりそうだが、この状況なら下がらないだろう。


「これをどうぞ」


 首輪を手渡すと、引っ手繰るように奪われ、それがないと死ぬというような勢いで、女性は己に付けた。

 その後に指輪を見せると、これまた大急ぎで指にはめた。

 どうやら本当に、ちゃんと忠誠度が上がっているようだ。

 満足そうな表情の、隣の軍師殿は気にしないようにしつつ、首輪の鎖を引いて目の前に引き寄せ、唇を奪う。

 一度、唇を離して「味見を忘れていました」と言うと、今度はあちらから唇を捧げてきた。


 そんなこんなで四十三人繰り返しつつ、歳を五年程戻したり、バストやヒップをサイズアップしたり、スレンダーな人のウエストを五十センチなんて、リアルでは絶対に無さそうなサイズにしたり。

 好き勝手しながら、全員に指輪を渡した。

 隣の軍師殿が「おじ様は優しいなぁ」とか言ってるのを見ると、先行きが不安になってくる。

 本当に「どうしてこうなった」な心境だ。




 六日目、昨日と変わらず騎馬隊は全数を出す。

 あと、プレッシャーを掛ける為に、義勇軍の内の半数を少し前に出した。

 騎馬隊が荷物を投げるのに合わせ、手はず通りに難民連中が動き出す。

 黄巾の連中が、反対側になる一部を留めることに成功したが、手前側からの流出は、騎馬隊と義勇軍の睨みによって、離脱する事ができた。

 凡そ七割、軍師殿の見積もり通りだった。


 こうして、現状までに二日目に百、三日目に三百、四日目に六百、五日目に四百、六日目の千二百、計二千六百程を引入れることが出来た。

 残りの四百ほどを、どうするかの問題はあるが、思い付きの策から始まったにしては、いい結果だと思う。


「それよりも、これはどういう事なんだ?」


 白蓮さんが、首輪付きで女官服を着た、例の一団を指さして仰った。


「いえ、なんとなくで、こういう事に」


 ふーんと、視線を此方に向け。


「それと、私はもう、お払い箱なのか?」


 今度は、俺の背中にへばりついている、軍師殿を指さしながら仰った。


「いえ、私の隣は白蓮殿の為に」

「そうか、ならいい」

「大丈夫だよ、ボクはおじ様の何号でもいいし、軍師の座だって、永遠だなんて思ってないから。

 使えなくなったら、いつでも言ってくれればいいよ。

 物判りの良い子って、何時も褒められてたし。

 えーとね、おじ様の愛人の末席にでも、置いて貰えたら満足かな?」


 それは物判りが良いと言うんだろうか?

 なんだか、ナイスなボートが頭に浮かんで、仕方が無いんだが。


「強敵ですな」


 なにか通じ合う物でもあるのか、しきりに頷いている星さんは、絶対に共謀しないで欲しい。

 確実に碌でもない事にしかならない。


「鈴々も、おっちゃんが、たまに一緒にご飯食べてくれて、ぎゅってしてくれればいいのだ」


 素直で裏がない鈴々さんが、癒しになるわぁ。


「ところで、顔見せだけに、私達を集めたのか?」


 まあ、軍師殿からは、他の三人はモブ兵にしか見えないし、真名も認識できないから、顔見せにならないんだけど。


「これからのことを相談しようかと」


 黄巾の連中と、その将のこと、残りの難民のこと、趙雲さんのこと、劉備さんと関羽さんのこと。


「その前に、おじ様……ごめんなさい。

 一つ失敗しちゃったことが」

「なんでしょうか?」


 促すと、一旦外に出た徐庶さん、二十人程の女性を連れて戻ってきた。

 昨日の事があったので、思わず警戒しちゃったが。


「実は能力のある人を探してた時に声をかけた人達で、村のまとめ役とかしてる人達なんだけど、荒事には向かないし、家族も居るからって、今日の事を伝えるだけ伝えて、誘わなかったんだ。

 全部が片付いてから、おじ様に紹介でもしようかとは、思ってたんだけど」

「その方達が?」

「実は、この人達の旦那さんや、父親の人達なんだけど。

 今日の事を伝えられなかった人達に、なんとか伝えようとして、黄巾の連中が囲んでいる所に……」

「勇気のある方たちですな」


 無謀だけど。


「それで、今日になって、こちらに来た人達に聞いたんだけど」

「今日、動きが見えなかったという事は、伝えられなかった……と」

「戻って来なかったって」

「それで、この方達は?」

「おじ様に、仇を打って欲しいんだって。

 おじ様の重荷になると思ったから……」

「もし、隠してたら、怒ってましたな」

「うん」

「「「どうか、お願いいたします」」」


 女性達が、頭を打ちつけんばかりにし、手に血を滲ませながら願いを訴えている。


「わかりました、その件、承ります」


 なんでこんなにハードかなぁ……難易度だけじゃなくて、色々ハード過ぎて、しんどいわ。

 これ、本当に恋姫†無双だよなぁ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ