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なんだかなあ、どうかなぁ。
五日目、陣地の防備が整ったおかげで(見掛け倒しの案山子役の連中を含む)騎馬の部隊を全数出すことが出来た。
その御蔭か、黄巾連中が反応するも動く事は無かった為、ぐるりと周囲を回って、念入りに物資を置いて回る事ができたようだ。
その時点では、一部の難民が物資の確保に動こうとしたものの、うちの騎馬隊相手に黄巾連中が緊張状態で警戒していた為、引っ込んでしまった。
その後、日が落ち、うちの部隊が陣地に戻った頃、黄巾の一部と難民連中が荷物を回収に動きだした。
一斉に動き出すのを見ると、難民といえど結構な数になる。
それこそ黄巾連中も、手を出しかねる程度には。
お陰で、一部の荷物以外は、概ね難民連中の手に渡った筈だ。
夜半過ぎ、あちらの方で、少し騒ぎが有ったようだ。
そんな中を、昨日より少ないが、それでも四百人程がやって来た。
ただ、女子供や老人ばかりで、何が有ったのかを聞くと、危機感を覚え始めたらしい黄巾の連中が、難民の男連中を引き込もうとしたか、女子供を押さえようとする動きを見せた為、難民側の男衆が立ち上がり、双方が睨み合っている隙に女子供を逃したそうだ。
あと、話を聞いた難民達の中に、難民達の纏め役らしき人物からの伝言を預かったので、聞いて欲しいという者が居るとの事。
何々「明日、荷物を投げ込む際、時を合わせて逃げ出すから、黄巾連中へ睨みを効かせて欲しい」ってか、こりゃ凄いな。
流石に難民達の数が半減して、黄巾連中の目が届くようになってしまえば、少しずつの移動は牽制されて動けない。
となれば、切欠を作って一気に動くしか無いが、ギリギリまで待たずにという事は、準備よりも危機感が優先された訳かな?
既に、結構な緊張状態なのかもしれないな。
「なんにしろ、私の策は相手の動きを想定していない、策とも言えない愚策だったわけですな」
それを、完全にとは言えないまでも、ひっくり返してくれた人物がいる。
それは誰だ? この事を誰が考えたのか? 纏め役って、もしかしてネームドの人物か?
まさか、はわわ&あわわ軍師が巻き込まれてんじゃないだろうな?
ちょっとばかし、時期が早い気がしないでもないが。
「いやいや、難しく考える前に、伝言を伝えに来たという人物に問うべきですな」
という事で、伝えに来た人を呼んで貰ったのだが。
「多いですな」
40人超とか、確実を期す為にしても、この人数は多過ぎるんじゃ?
しかも、狙ったように妙齢といって良い女性ばかり。
まあ、ちょっかい掛けられないように逃すんだから、おかしくないとも言えるが。
……ああ、なるほど。
『伝言を預けられる程に、しっかりした人 = 幾らかステータス高い人 = それなりに美人の女性』
なんていう、恐ろしい方程式の成り立つ世界なんだったな。
なら、ってんで、一番美人な人に聞いて見ようと思ったら。
いきなり目についた、なんという美少年。
ぶっちゃけ、凛々しいカンフーパンツっぽいズボン姿で、胸が全く無いのを除けば、女性としか思えないが、その目の強さや、凛とした立ち居振る舞いが、恐ろしい程に決まっている。
これを貴公子と言わずして、何を言うってレベルだ。
しかし、メインキャラクターレベルの美貌だと……なんという、凄まじい女顔、だが弱々しさや媚びた感じが一切しない。
タイプとしては、孫呉の思春(甘寧)か?
若干小柄とはいえ、年齢不詳の雰囲気とあわせて、さぞかしモテるに違いない。
ならば、嫌がらせだ。
NPC相手に大人気ないと笑わば笑え。
好き好んで、中年の格好したアヴァター使ってるにしても、イケメンは敵なのだ。
「では、すみませんが、そちらのお嬢さん。
お聞かせ頂いても宜しいかな?」
「ボクのことか!?」
部屋中が騒然とする。
恐らく他の連中は、男性だと知っているんだろうな。
此方へやって来つつ、問い返す声は若干ハスキーとはいえ、女の子の声にしか聞こえない。
「はい、お嬢さんのことですよ」
眼の前にやって来た所で、再度お嬢さんと呼んでやる。
再度ざわつく部屋の中。 妙なプレッシャーが満ちる。
で、当人はといえば。
おお、固まってる固まってる。
「なぜ、ボクを?」
「大した理由ではございませんよ。
どうしたことか、美女が集まる事になっておりますので。
どうせなら、この中でも一番美しい、いえ、麗しい方の声を聞いてみたいと、そう思っただけの事でございますよ」
ここで、無駄に運を400魅力に注ぎ込んで、微笑んでみせる。
さぞかし悔しかろう。
まあ、此処で頬を染められたりしたらドン引きだが……って、頬染めた上に、目がウルウルしてるー!!
「お、ぉぉぉおおおおおー」
うぉ、なんだ、速い!! 殴られ!?
「おじ様っ!!」
首が抜けんばかりの勢いで飛びつかれた。
なんじゃそりゃぁ!! 部屋の中でも、キャーとかな黄色い声がしてる。
あ、この子、付いてない&微かとはいえ、胸が有るじゃないか。
なんだよ、普通にお嬢さんじゃないかよ。
「お、お嬢さん。 すみませんが、放れて頂けませんかな。
流石に、この体勢は外聞が悪いので」
ひっくり返った俺の腰の上に、女の子が跨って居るというのは、流石に人前では少々問題ががが。
「おじ様は、ボクの王子様だよっ!!」
「あ、あの、話を」
訳が判らん。
「初めてだよっ!! ボクの事を初めから、女の子として扱ってくれる人なんてっ!!」
「「「うわぁ……」」」
部屋中で、なんか『凄い可哀想な子』認定されてるよ、お嬢さん。
貴女は誰で、一体何なんですか?
「落ち着きましたか?」
「……うん」
「で、貴女が伝言の主で、宜しいですかな?」
「うん、ボクがそう」
「お名前を伺っても?」
「単元直、真名は刃鳴」
……単福? 徐庶?
原作に居たのかね? なんか、名前だけ出てたような気がしなくもないが?
スピンオフか、もしかすると、噂に聞く『僕が考えた、恋姫武将コンテスト』のキャラクターだったりするのか?
まあ、ネームドモブだと、ユニーク以外はランダム幅で男だったり女だったりするし、その中にこういうキャラクターが出てくる率もあるかもしれないが、真名は持ってない筈。
恐らくは、メイン・ユニーク以外で真名持ちだと、やっぱり間違いがないような気がする。
それに、なんとなく厨二臭のする真名だし。
いや、まあ、その辺はいいかな、話を進めよう。
「私に真名を、お預け頂けると?」
問いつつ、取り出した指輪を贈る。
「どうか、受け取って下さい……ボクを」
指輪をはめ、そう言ってから「キャッ」て、赤くなるのは可愛いけど、なんか最後にボソッと変な事を言ってたぞ、オイ。
どういう設定が投稿されたのか、激しく気になる……メイン食いそうな、凄いキャラ立ちしてるんだけど。
検索掛けてみようか。
えーと?
――恋姫†無双パラレルダイブ プレイヤー投稿武将――
し:
徐庶
徐盛
し:徐庶
徐:庶:元直 真名:刃鳴
元は徐福と。
蜀系軍師にあるまじき、ツリ目の凛々しい美人系の美貌。
おまけに小柄ではあるが、鍛えられた、しなやかな体躯と絶壁ペタン、シッカリした肩幅等による、恐ろしい迄の王子様属性な外見。
その為、水鏡女学院時代、はわわ&あわわに女性だと念押しした上ですら、薄い本の題材にされた『徐福総受け本事件』という黒歴史を持つ。
その思い出を忘れる為、単福と名を変え、出会いを求めての旅の途中に劉備義勇軍と出会い、天の御遣いの飾らない態度に感動し、助力する。
だが暫くして、天の御遣いに同性の親友扱いをされていた事が発覚、傷心のままに合流した、某はわわに後任に押し付けた後、母親が云々と理由をこじつけて出奔。
名を徐庶と改め、身投げするつもりで曹魏百合王国に仕官。
しかし本場の壁は厚く、恐れおののいたまま、在宅で仕事をする引きこもりとなり、後年を過ごす。
母親に男っぽく育てられた為、女の子扱いをしてくれた父親の影響で、軽度のファザコン&年上好き。
女学校時代のトラウマにより、はわわ&あわわ(主にはわわ)や腐臭を持つ者に対しては、憎悪を持つ程の拒否反応を示す。
また、見かけによらず、外見と環境により隔離され、熟成された『王子様を待つ』レベルの超絶箱入りの乙女心を持ち、これに匹敵する者は、かの貂蝉くらいである。
尚、見かけどおりの、極端から極端に走る激情家でもある。
趣味は、お菓子作りと詩を読むこと。
これは酷い、あまりにネタすぎる。
まあ、指輪を受け取ってくれる人が、可愛いなら文句はないけど。
しかも、待望の軍師キャラだし。
もしかすると、高難度イベントのおまけキャラか?
うーむ、あまり深く考えない方が良いかもしれないが、唐突すぎて驚いたな。
おっと、指輪のついでに、キャラ立ちを消す事になりそうだけど、コンプレックスらしき絶壁も解消してしまおう。
バストアッパーx3。
これで、おそらくはアンダー65くらいか(AAA)から(C)へ。
身長の割に(155無いような)肩幅がシッカリしてるのは、剣を使う上で鍛えられてるからだろうか?
お陰で胸元も筋肉ついてるんだろう、サイズの割に高い位置で支えられた、膨らみの自己主張が凄い。
蜀軍師のイメージといえば『はわわ&あわわ』な、タレ目・小柄・幼女なのに、一線を画すような凛々しさのせいで、男の子っぽかったのが、これは……凄くイケナイ感じの子になってしまった。
「あ、ボク……おじさんに、女の子にされちゃった」
今までになく、主張する胸元を抑えながら、赤い顔をして、そんな事を仰る。
だからキャって、可愛いけど、人聞きの悪いことを言うなよ!!
「で、旅の途中に、あの黄巾の一群に巻き込まれたと?」
「というか、興味を引かれて難民に紛れ込んでたの。
コッソリ混じって黄巾ってのが、どんな連中か見る位のつもりだったんだけど」
んーっと、人差し指を顎に当てながら「ちょっと、迂闊だったかもね」等と仰る。
抜け出す以前に、うちの部隊がやって来て、黄巾の連中と睨み合ったせいで、身動きが取れなかったそうだ。
あれから、気を取り直す意味も込めて、天幕内の皆に酒を振舞った。
それをちびちびやりながら、事の次第を聞き取っている。
「それでも、夜のうちに皆に混じって、抜け出てしまえばよかったのでは?」
「それだと、おじ様の策がつまらない事になるかなーって」
そんな、悪戯のバレた子猫みたいな顔されても、くっ。
「私の策に穴があったのを、当初から気付いて居られましたか……」
「大袈裟だけど、策というモノにしては、優しすぎるよね。
まあ、混乱の種の人数を、半分に減らしたってだけでも、充分に成果だとは思うけど」
「ここから、難民ごと片付けちゃうってのは、おじ様にはできないでしょ?」なんてことを、微笑みながら呟くのを聞くと、少々背筋に冷たいものが流れる。
「大丈夫、ボクの伝言のとおりにやれば、残りの七割くらいは引っ張れるよ。
本当は、もう少し準備したかったんだけど、あの連中に堪え性がないから……」
「ちょっと失敗しちゃったね」と、舌を出す。
頼もしいやら、怖いやら。
「ところで、この人達は?」
聞こうと思って忘れてた、伝言を伝えに来た人達の事。
なんで、こんな人数に?
「うーん、幾つか理由があるんだけど」
「ほう」
「まずは、伝言伝えるのに、人数確保しようとして。
伝言すれば、褒美を貰えるよーって誘いをかけたら、思いの外に多く集まっちゃって」
「なるほど」
「まあ、その中から、そこそこ才のある、黄巾に混じられると面倒なのを選んで、こっちに引っ張ってきたの」
「どういうことでしょう?」
「おじ様、難民っていうだけで、弱者だなんて事はないんだよ♪」
歌うような声に、天幕の中の皆が固まった気がした。
「ボクみたいに興味混じりで居る奴。
黄巾の連中を見極めに来て、あわよくばなんて考えた流れ者。
元盗賊の情婦で、元旦那を殺っちゃって、次のを物色してるなんてのもね。
色々だけど、利があれば黄巾に付くような奴もね。
特に、あそこには黄巾の将も居るから尚更だよ。
その中で、味方になるかどうかは別にして、敵に回すと邪魔臭いなーって思った人をね。
集めておいたの。 おじ様のために♪」
天幕の中、全員ドン引きだ。
「どうして、其処までの事を?
先程まで、私と会った事も無かった筈ですが」
さっき会って、気に入られたにしては、用意が周到すぎるような。
「ああ、さっきのは、ボクの情の部分っていうか、女の子の部分が、キュン♪ってしちゃったから。
でも、ボクの利の部分、軍師の部分といってもいいけど、其処がね。
おじ様の将や兵なんかを見て、策の振るい甲斐の有る所だろうなーって、キュン♪ってしちゃったの。
だから色々と、お土産を準備したんだよ♪」
この子、怖ェえよ。
「で、どうするの?」
「どうするとは?」
「この人達♪」
徐庶さんは、天幕の中を見渡して「おじ様が必要ないなら」と違って、ニッコリと笑った。
「後腐れ無いように「「「「どうか、お仕えさせて下さい。 ご主人様」」」」だって、おじ様。
どうする?」
なんちゅう楽しそうな悪い顔してるんだ、この子は。
ヘタに要らないって言ったら、本気で処分しそうだな。
しかし、こんな人数、ステータスを見ていくだけでも大変だぞ。
「おじ様も悩むよね、一軍の将が務まるわけでなし、一郡の官が務まるわけでなし。
中途半端な才を、どこで使うかなんて」
いや、ちょっとまて、早まるなと言いかけて「おじ様は黙っててね」と唇だけを動かし、こちらを制止してきた。
その時の目に、思わず飲まれてしまって、声が出なかったのは、俺がヘタレなだけなじゃい筈。
本気で怖ぇえよ。
「となると……才で役に立てるか決められないなら……あはっ、そうだよね。
おじ様に、才じゃない所を使って楽しんで貰えるか、見て貰うと良いんじゃないかな♪」
ちょ、お前、何を言ってんのと、言う前に。
悲壮な表情をした女性達の、壮絶なストリップが始まった。
「ほら、ボロっちいのはさっさと脱いじゃって、一人ずつ並んでよ」
こいつ、ドS過ぎる。 なんて楽しそうなんだ。
「おじ様、可哀想だからって、無理に選ばなくてもいいんだからね」
そんな事を、間近で言われて、最初に並んでる女性が真っ青な顔で、胸を掬い上げるように見せつけながら「どんなことでも受け入れます。身も心も捧げますから、お情けを」とか、必死で訴えてくる。
これって確か、恋姫だよなあ。 とか、現実逃避しそうになってると、システムアラートらしきメッセージが脳裏に響いた。
「卑弥呼じゃ。
お主のバイオレンス規制が、解除されたぞ。
これ以降、アダルトダイブタイトル規制条例一三条一五項により、お主の行動はサンプリングされておる。
もし、お主が現実で犯罪などを犯した場合に、参考資料として用いられることが有るので注意じゃ。
それ以外の使用については、個人情報保護により、禁止されておるので、安心するが良い。
では、続きを愉しむが良いぞ」
……おい、俺が主導してないんだが、これは何かの罠か?
「どうか、お願いします。 殺さないで!!」
おっと、ボーッとしてる間に、目の前の女性が、縋りつかんばかりの懇願を、繰り返していた。
どうせ、サンプリング始まっちゃったんだったら、この際、これも楽しむべきなんだろうなぁ。
犯罪とかする気はないけど、あまり気分のいいもんじゃ無いんだがなあ。
まあ、恋姫とは完全に、切り離されちゃったような状況だし、メインのキャラクターにどうこうって忌避感は薄いかなぁ。
実はメインキャラにも、結構酷い事を、やってるような気がしないでもないけど。
「大丈夫ですよ。 そんな勿体無い事は致しませんとも。
そうですね、貴方の胸にシコリがないか、調べませんといけませんな」
「ああ、どうぞ、お調べ下さい」
俺の目の前に立ち、両手を後ろに回して、少し前かがみで立つ女性の胸を、下から支えるようにして、揉み上げる。
みっしりした重みが、ひんやりした感触と共に手に乗っている。
流石にエロゲタイトルというべきか、色は皆が見が綺麗なままで、肌も透き通るような代物だ。
何度も揉み込んで居ると、充血した部分が固く感触を返してくる。
「おや、これは?」
先を摘み弄っていると、辛いのか目を伏せながら「それは、ご主人様に触れられて、喜んでいるのです」と答える。
「なるほど、ふむ、健康のようですな。
それでは貴方を頂きましょう」
ポイントショップから、指輪とアクセサリの鎖付き首輪を購入。
普通なら、こんなものを贈ったらドン引きで忠誠下がりそうだが、この状況なら下がらないだろう。
「これをどうぞ」
首輪を手渡すと、引っ手繰るように奪われ、それがないと死ぬというような勢いで、女性は己に付けた。
その後に指輪を見せると、これまた大急ぎで指にはめた。
どうやら本当に、ちゃんと忠誠度が上がっているようだ。
満足そうな表情の、隣の軍師殿は気にしないようにしつつ、首輪の鎖を引いて目の前に引き寄せ、唇を奪う。
一度、唇を離して「味見を忘れていました」と言うと、今度はあちらから唇を捧げてきた。
そんなこんなで四十三人繰り返しつつ、歳を五年程戻したり、バストやヒップをサイズアップしたり、スレンダーな人のウエストを五十センチなんて、リアルでは絶対に無さそうなサイズにしたり。
好き勝手しながら、全員に指輪を渡した。
隣の軍師殿が「おじ様は優しいなぁ」とか言ってるのを見ると、先行きが不安になってくる。
本当に「どうしてこうなった」な心境だ。
六日目、昨日と変わらず騎馬隊は全数を出す。
あと、プレッシャーを掛ける為に、義勇軍の内の半数を少し前に出した。
騎馬隊が荷物を投げるのに合わせ、手はず通りに難民連中が動き出す。
黄巾の連中が、反対側になる一部を留めることに成功したが、手前側からの流出は、騎馬隊と義勇軍の睨みによって、離脱する事ができた。
凡そ七割、軍師殿の見積もり通りだった。
こうして、現状までに二日目に百、三日目に三百、四日目に六百、五日目に四百、六日目の千二百、計二千六百程を引入れることが出来た。
残りの四百ほどを、どうするかの問題はあるが、思い付きの策から始まったにしては、いい結果だと思う。
「それよりも、これはどういう事なんだ?」
白蓮さんが、首輪付きで女官服を着た、例の一団を指さして仰った。
「いえ、なんとなくで、こういう事に」
ふーんと、視線を此方に向け。
「それと、私はもう、お払い箱なのか?」
今度は、俺の背中にへばりついている、軍師殿を指さしながら仰った。
「いえ、私の隣は白蓮殿の為に」
「そうか、ならいい」
「大丈夫だよ、ボクはおじ様の何号でもいいし、軍師の座だって、永遠だなんて思ってないから。
使えなくなったら、いつでも言ってくれればいいよ。
物判りの良い子って、何時も褒められてたし。
えーとね、おじ様の愛人の末席にでも、置いて貰えたら満足かな?」
それは物判りが良いと言うんだろうか?
なんだか、ナイスなボートが頭に浮かんで、仕方が無いんだが。
「強敵ですな」
なにか通じ合う物でもあるのか、しきりに頷いている星さんは、絶対に共謀しないで欲しい。
確実に碌でもない事にしかならない。
「鈴々も、おっちゃんが、たまに一緒にご飯食べてくれて、ぎゅってしてくれればいいのだ」
素直で裏がない鈴々さんが、癒しになるわぁ。
「ところで、顔見せだけに、私達を集めたのか?」
まあ、軍師殿からは、他の三人はモブ兵にしか見えないし、真名も認識できないから、顔見せにならないんだけど。
「これからのことを相談しようかと」
黄巾の連中と、その将のこと、残りの難民のこと、趙雲さんのこと、劉備さんと関羽さんのこと。
「その前に、おじ様……ごめんなさい。
一つ失敗しちゃったことが」
「なんでしょうか?」
促すと、一旦外に出た徐庶さん、二十人程の女性を連れて戻ってきた。
昨日の事があったので、思わず警戒しちゃったが。
「実は能力のある人を探してた時に声をかけた人達で、村のまとめ役とかしてる人達なんだけど、荒事には向かないし、家族も居るからって、今日の事を伝えるだけ伝えて、誘わなかったんだ。
全部が片付いてから、おじ様に紹介でもしようかとは、思ってたんだけど」
「その方達が?」
「実は、この人達の旦那さんや、父親の人達なんだけど。
今日の事を伝えられなかった人達に、なんとか伝えようとして、黄巾の連中が囲んでいる所に……」
「勇気のある方たちですな」
無謀だけど。
「それで、今日になって、こちらに来た人達に聞いたんだけど」
「今日、動きが見えなかったという事は、伝えられなかった……と」
「戻って来なかったって」
「それで、この方達は?」
「おじ様に、仇を打って欲しいんだって。
おじ様の重荷になると思ったから……」
「もし、隠してたら、怒ってましたな」
「うん」
「「「どうか、お願いいたします」」」
女性達が、頭を打ちつけんばかりにし、手に血を滲ませながら願いを訴えている。
「わかりました、その件、承ります」
なんでこんなにハードかなぁ……難易度だけじゃなくて、色々ハード過ぎて、しんどいわ。
これ、本当に恋姫†無双だよなぁ……。




