17
題名変更しました。
さて、初期取得任務をこなしたので「今日から朝議に顔を出すように」との、お達しがありました。
で、やってきたのですが。
玉座の間と言うか、評定の間と言うか。
人数少なくて、広さが際立つなあ、おい!!
めっちゃ寂しいです。
前の時は時間が進んでいて、既に白蓮さん直下で便利使いされてた為、評定と言うか朝議に顔を出す事が、殆ど有りませんでしたからね。
あまり記憶に残ってる印象なかったんですが。
どこに立ちゃいいんでしょうか?
まあ、新参なので、文官の人が集まってる所の、一番後ろで、良いんでしょうが。
「主殿、あまりキョロキョロするなよ。
ほら、寝ぐせが……」
あの、白蓮さん……参謀代わりということで、白蓮さんに付いて来て貰っているのですが。
保護者みたいな事、言わんで下さい。
因みに外史内では、マイ外史から連れてきた人材は、基本的に担当プレイヤー以外からは、兵士Aとか文官Aとかなモブにしか見えません。
顔に影が掛かっておるわけですね。
まあ、男女は判るので、イチャイチャしてても、変な勘ぐりはされませんが。
ああ、人を連れてると、プレイヤーってバレるんじゃないかって話ですが。
ここに居る人、だいたい誰かしら連れ立って来ておるので、大丈夫じゃないですかね。
全員がプレイヤーだったとしたら、めっちゃ怖いですが。
それよりも、多分外見とか名前で、判断だと思います。
その点、私の埋まり具合は半端有りません。
「で、あそこの白カッターシャツで、白髪赤目のハイティーンは……」
浮きっぷりが半端ないです。
割とイケメン顔なんですが、あくびやらなんやらで、締まりきりませんね。
立ち位置が武官の一番後ろに居るので、新参の人なんでしょうが。
どう考えてもプレイヤーの人です。
しかし、あの余裕と言うか、わざわざあの格好をするというのは、もしかして有名人なんだろうか?
えーと『恋姫†無双 パラレルダイバーズ 白髪 赤目 カッターシャツ』で検索。
【俺が天の】 銀髪赤目 南郷一馬 3周目 【お使いだ!!】
>1 ここは、恋姫†無双 パラレル ダイバーズにおける
天のお使い様こと『南郷 一馬』様を生暖く見守る
キャッシュ
検索一発目に、こんなのが出てくるんですが。
もしかしなくても、有名人らしい。
初期ロールに『天の御遣い』が、有るっちゃ有るけど、主人公に正面切って喧嘩売るのと、プレイヤー速攻バレのリスクに、選ぶ人が居るとは思わなかった。
「おっと、そろそろ「太守殿の御成りである」来たか」
みな、居住まいを正し、普通の人を迎える。
とはいえ、普通の人は気楽に歩いてきて。
「ん、楽にしてくれ」てなもんで。
「さて、今日は皆も顔を見たと思うが、将に取り立てようと思う者が二人いる。
南郷、金千、こちらへ」
「はい」「応!!」
俺は周囲に一礼し、脇に逸れてから上手の方へトボトボ進む。
南郷さんは、文武の官の並ぶド真ん中を意気高く進むって、あっち通ってよかったのかー!!
確かに紹介だから、別に外を大回りする必要はなかったな。
まあ、やってしまったものは仕方ない。
遅れないよう、息切らせながら、パタパタ進む。
先に着いた南郷さんは、普通の人の隣に立ち「南郷 一馬だ!! 字はない!!」と大きく叫んだ。
「南郷は、何でも天の国からやって来たそうだが、中々の武力を持っている。
先頃迄は義勇兵をまとめていたが、この機会に将として働いて貰う事にした」
という、普通の人の紹介に、集まった者は「ほぉー」と、興味深げに南郷さんを見つめる。
で、その頃、やっとこ辿り着いた俺にも視線が集まるが、微妙に居たたまれないぞ。
「はあ、金千満腹と申します。 お引き立ての程、宜しくお願いいたします」
そうして、再び一礼。
南郷さんは、此方を見つめながら、微妙に首を傾げていたが、何を考えていたのかは、判らない。
「金千は文官として登用した者だが、賊の討伐に功があり、この度、将として取り立てるものだ」
普通の人の言葉に、再度「ほほぅ」と声が漏れた。
物資の調査やら移送については、スルーですか?
その後、紹介の終わった俺と南郷さんは、下手に戻り末席に立つ。
「うわーメッチャ見られてる」
なんか凄まじく視線を感じます。
そっと見ようとしたら、白蓮さんに見るなと抓られたので、じっと前を向いているが……。
「では、巡回の強化と、外縁部の村に対して、防備を固める際の補助をすると言う事で、担当の者は速やかに準備を進めるように」
「「「「「御意」」」」」
やっと終わった。
このまま、さっさと離脱しようかと思ったのだが。
「金千さん、だっけ?」
南郷さんに捕まったー!!
「はい、ああ、南郷、一馬殿でしたな」
「これから、よろしくなっ!!」
スパッと手を差し出してきた。
だが断る。
「此方こそ、宜しくお願いいたします」
と、お辞儀で返した。
包拳礼とか、どうだろうと思ったが、自信無いのでやめた。
南郷さんは、右手を引っ込めると、包拳礼で「こちらこそ」と、ニカッと笑ったが、なんか微妙な視線は、変わらず此方に向いている、
いや、別にプレイヤーとバレたからといって、どうという訳でもないんだけども。
この南郷さんに付き合うのは、ちょっとなぁ、と思ってしまう。
どうやって、この場を抜けだそうか悩んでいると「お、丁度いい所に居るじゃないか」と、普通の人こと、我らが上司の公孫賛伯珪様。
「これはこれは、太守殿」
一礼、腰が痛くなってきそうだ。
「あ、気楽にしてくれていいぞ」とか何とか、普通の人は言ってくれるが。
「えっと、伯珪さん? どうしたの?」
南郷さん、貴方みたいにフランクにはできねーよ。
ロールを選ぶと、なんとなくでも、それっぽい表現に引っ張られるはずなんだけどなぁ。
って、そうか!? 天の御遣いロールって、基本フランクというか、そのまんまなのかぁ!!
これは不覚。
そういう側面があったとは。
いや、別にしびれも憧れもしませんが。
「ああ、二人には、今度の賊討伐に出て貰いたい。
兵は私が率いるが、副将に南郷、軍監つーか軍師として金千、頼む」
「任せてくれよ!!」
「私が軍師……ですか?」
ちょっと待てや!!
「なんだ? 不服か?」
「正直な所、我が身には、荷が重うございますな。
兵站の確保、輜重の面倒でしたらば、なんとかやり遂げてご覧にいれますが。
策を立てよと仰せになられますなら、太守殿の方が戦慣れされておるかと」
できないってこた、ないだろうけど。
「ああ、難しく考えさせたか。
後軍の雑事の取りまとめを頼みたいんだ」
さいでっか。
それなら、大丈夫か
「それでしたらば、おまかせを」
「じゃあ、二人とも頼むぞー」
足取り軽く、普通の人が去っていく。
南郷さんも、意気込んでどっかに行った。
俺が役人の大部屋に戻ると、提出した筈の物資数量報告が、今回の陣立て分の物資を計算に入れて再提出との書付が貼っつけてあって、差し戻されていた。
「なるほどね」
ため息ひとつ、書き直しに掛かった。