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馬券のくだりは要らんかったかもしれん。
現実側の人を出したついでに、勢いで……。
次回から二週目っす。
「出かけるのも面倒だし、手っ取り早いのはカレーかピザか」
ネットとチラシで、近場のデリバリー可能な飲食店探すも、あまりはかばかしい結果ではなかった。
とりあえずで、ドリンクがセットのピザを頼み、暫く待つことにした。
「ふんふんふんーっと」
待ち時間の間、ダイブなしでも見れるサブコンソールで、マイ外史の情報を眺めていた。
あわせて外史へ行く際の兵士や装備の準備もする。
「兵力で最精鋭といえるのは、趙雲さんに預けた100だけか。
あとは二軍の200と、使いきりのアイテム購入で使えるインスタントな兵士か」
インスタントな兵士は、練度・装備がかなり残念なので、使い所に苦しむのだ。
雑魚い装備アイテムや消費アイテムを合成すると、装備や士気などが上昇するが、使い捨てに其処まで手をかけるのもなぁって話である。
「早めにヒャッハー系の施設に手を出すべきかなぁ」
ただそうすると、外史で使える兵力には余裕ができるかもだが、人材的に趙雲・張飛さん辺りが使いにくい。
忠誠度は下がらないにしても、辛そうな目で見られたりするのは嫌だしなぁ。
まあ、白蓮さんは付き合ってもらうが。
あと、関羽さんと劉備さんは当面外史には出さずにマイ外史で様子見かな。
どうも読めないからなあ。
「ということであれば、次の外史で黄巾か異民族のモ武将を捕まえて引き入れるか。
南で水軍に手を出すのは、まだ早いだろうし、さっきと同じく白蓮さんの地元か、西の方へ行って涼州のほうか……」
異民族や賊のモ武将については、マイ外史のヒャッハー系施設で湧いてくる賊を取っ捕まえても引き入れられるそうだが、こちらの規模レベルに合わせられるらしいので、序盤のうちだと、能力二〇以下とかな一般人と変わらんのしかでてこないらしく、やはり外史で捕まえるほうが良いらしい。
運良くネームドモブなら、プレイヤーキャラにも引けを取らないそうだし。
暫し悩んでいると、携帯の呼び出し音がなった。
週末に連絡が入るような相手は、土日のバイトをやめたあとでは、そうそう無い筈なのだが。
携帯の表示を見ると、見覚えのある喫茶店の番号。
今考えたバイト先の番号だ。
一瞬、出ないでおこうかと思ったが、週末は出ないにしても平日の二、三日は出ているバイト先なだけに、無下にもできないかと出ることにした。
因みに他のバイト先はカレーうどん屋と深夜の居酒屋。
新聞配達やら引越しもやってたが、大学入る迄に授業料なんかの目処が立ったので、やめた。
「はい、もしもし」
「ああ、休みのところ悪いね」
ちっとも悪びれた感のない女性の声。
喫茶店のマスターをやってる、二〇代後半の独身。
切符の良い美人で、悪い人じゃないのだが……。
「またですか?」
「ゴメン、ほんとーにゴメン。
いやあ、引き落とし残高読み間違えちゃってさぁ」
「で、どのレースなんですか?」
「いやぁ、話が早くて助かるわ。
10レースからメインまでなんだけどね」
俺は聞いたレースの番号をメモり、再度確認する。
最近は、銀行もサービス競争が激しく、ある程度以上の預金者には、色々と出来ることが多い。
その中には馬券の購入などもあり、本来なら電話相手も利用している筈なのだが、また一口馬主でも初めて、預金がサービス利用金額を割り込んだのだろう。
喫茶店の仕入れなんかは妹さんが居て、別口でやっているそうだが、こうもちょいちょい頼まれると不安になるな。
とりあえず、レースと購入馬券の確認も終わり、メモを見ながらネット経由でマークシートへのチェックをし、購入する。
「終わりましたよ。
しかし、2万近くって、珍しく張り込みましたね。
一口馬主している馬でも出てるんですか?」
「違うよ、どうみても荒れそうなんでねえ。
ホントはもっと買いたかったんだけどね、流石に代わりに買って貰うのに無理言えないかなーって。
あ、今度、お礼に当たったお金でデート行こう!!」
「いや、突然週末に店閉めて、競馬場に行く理由にするのはやめて下さい」
「ははは、バレたか。 とにかくありがとね」
電話を切ると、先程のレースをネットで調べて見る。
予想情報ではガチガチの鉄板の様子で、荒れそうな感じでは無いのだが。
ただ、馬狂いの類で、結構馬鹿にできない勝率を誇る、あの人がこうも断言するのは珍しい。
応援ついでに、俺も買ってみようかと思い、メモった馬券の投票番号を眺めていくと、恐ろしいことに馬番連勝10万馬券や50万馬券に絡んでいるような不人気馬を軸に賭けている。
それでもまあ、たまには良いかと、被せるように購入してみた。
ぶっちゃけ、枠で買っても30倍以下は無いようなシロモノなので、軸馬から馬連で総流しとかでも当たれば儲かりそうな気もするのだが、それじゃあ応援にはならんだろうし、確実に当たるとか夢見過ぎだろうと、同じ馬券を買うだけにした。
まあ、購入金額20万超えしてしまったが。
そんな事してる間に、ピザが届いたので腹ごしらえを終えると、再びダイブする事にした。
器具を身に付け横になる。
導入用の音楽を聞きながらリラックスすると、いつの間にか浮遊状態で目の前にはメニューが浮いている。
外史への進入を選択。
登場地域を幽州へ、参加時のロールについては文官を選択。
参加させる人員には、白蓮さん、趙雲さん、張飛さん。
兵数は100を私兵として持ち込み。
ポイントや物資についてはマイ外史の拠点と連動ありに。
「さあ、行こうか」
俺は再び外史にダイブした。