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「ところで、鈴々殿は一体何を?」


 白蓮殿と趙雲さんに、服剥かれて風呂に叩きこまれそうになり、彼女達が脱ぎかけの所で慌てて逃げてきた。

 こんなオッサン姿を剥くとか誰得なんだ。

 いや、そのまま色々とあったのかもしれないが、こうも急だとヘタレが首をもたげてくるのだ。

 流れで勝手に話が進んでいくのなら、半ば他人事でいいのだろうけども……。


「はあ、まあ色々と柔らかかったし、下着姿も大概エロいものではあった」


 とかなんとか、反芻してると、執務机の下に隠れていた涙目の張飛さんと眼が会ったのだ。


「お、おっちゃぁ~ん。

 あ、愛紗が、桃香お姉ちゃんが怖いのだ~」


 何がどうしてこうなった?


「とりあえず、出て来て下さい。

 そんな所に居ると変な誤解を産みそうで怖いので」

「うん、わかったのだぁ」


 とかいって、膝にヨジヨジ登って来て、太鼓腹に身を預ける張飛さんは、人の話を聞いてますか。

 十分に身長が伸び、私よりも頭半分くらい背が高いくらいの張飛さんが、膝に乗って体をこちらへ向けると、いくらこちらの座高が高いといっても、顔のあたりに胸が来るのですが。

 あと、お腹を摘むのはやめてくれませんかね、いや「ぷにぷになのだ~」とかいわれても。

 はい? なんですか?

 手を背中と頭に持って行かれ……撫でれと?


「鈴々殿?」

「ごろごろなのだぁ~」


 いつからニャンコ属性が!?


「いや、関羽殿と劉備殿がどうかしたのでは?」


 二人の名前を出すと、タレニャンコになってた張飛さんの体がビシリと固まり、慌てて周囲を警戒する。


「……よし、居ないのだ」

「いったい、何が?」


 無駄な緊張感に、こちらの声も硬くなる。


「愛紗もお姉ちゃんも、さっき会ってから、急に構ってくるようになったのだ」

「それは良かったのでは?」

「違うのだ。

 二人とも鈴々を着替えさせようとするのだ」


 ああ、ピチピチですねって、身長30センチ近く伸びたのに、胸とお尻が無理やりのくせに、腰回りは余裕というのは、一般女性泣きますよ。

 思わず背中に回した手が、お尻に伸びてサラっと撫でてしまうのは、なんででしょうね。

 あまり抵抗感なくセクハラしてますが、女性というよりも、綺麗なニャンコでも撫でてるような気になってるんでしょうか。


「でも、着替えなら別に良いのではありませんか?」

「おっちゃん、えっちなのだ」


 お腹を抓らないで下さい。


「お姉ちゃんの出してきた着替えは、フリフリ満載のリボン満載なのだ。

 あんなの着たら、絡まって死んじゃうのだ」

「そんな大げさな」

「それで、途中まで着させられた所で、愛紗が……」


 おおう、顔に影が入ってますよ、張飛さん。


「なんだか、目をグルグルさせて「しおらしい鈴々は……可愛いな」とかいって、捕まえようとしてくるのだ!!」


 えー……。


「だから逃げて、ここに隠れてたのだ」


 さいですか。


「判りました。

 其処は何とかしましょう。

 でも、着替えた方がいいのは間違いなさそうですね。

 ついでですから、現在の背に合ったものを贈らせて頂きましょう」


 とりあえず、裸足はやめて、ブーツ、ニーハイ、デニムの短パン、ノースリーブの襟付き開襟シャツ、背に虎刺繍入りで襟袖モフモフつきの革ジャンバー、指貫グローブ、スカーフの代わりに鈴チョーカー、赤のスカーフは髪を纏めるのに使い、そしてベルトには何故かある、オーズドライバー……もどき。

 入れるメダルはラトラーターコンボで決まりですね。

 因みに、能力付加はグローブに攻撃力UP、革ジャンに防御力UP、鈴チョーカーの魅力UP、バンダナに士気向上、目玉のベルトは先制奪取、攻撃速度UPと接近戦時に無手だとトラクローがつくおまけ付き。

 なんという前のめりな個人戦仕様……お値段は30万ポイントと普通に服が買えそうな感じです。


「おー、カッチョいいけど、あんまりエッチじゃないのだ」

「私は鈴々殿に、どういうふうに見られているのでしょうか?

 とりあえず、女性がおへそ丸出しなのは、あまり良くありませんよ」

「判ったのだ」


 で、着替えたあとの張飛さんが、膝上ニャンコの態勢でグダってるのを撫でつつ、決済の判子をペタコンしてると、風呂上りの白蓮さんと趙雲さん、フリフリドレス握りしめた劉備さんと、ネコミミカチューシャ持った関羽さんが執務室に勢ぞろいした。


「ああぁー、先生ずるいっ!!」「満腹どのっ!! 鈴々を……くっ、羨ましい」


 いや、その、みんなの夢がどうのと言ってた劉備さんはどこ行った?


「ふーんだ、鈴々はおっちゃんのニャンコなのだ」「ほほう、主殿は猫属性か、では女豹の衣装で」「膝の上だと……アリだな」


「だー!!! おまえら、さっさと仕事いけ!!」





 ということで、なんとか皆を追い出したわけだが。


「鈴々は何をすればいいのだ?」

「鈴々殿は「なあ張飛、そこかわってくれないか」「わかったのだ」あの、白蓮殿?」


 張飛さんと入れ替わりで膝に乗ってくる白蓮さん。


「張飛には護衛兼討伐なんかの時に、先鋒で出てもらえばいいんじゃないか?

 元々、内向きの仕事には期待してなかったんだし」

「鈴々殿、それでよろしいかな?」

「鈴々、ここで番ニャンコしてればいいのだ?」

「まあ、そんな所です」

「判ったのだ」


 所で……。


「白蓮さん衣装替ですか?」

「ああ、チョットな」


 ヒールにガーター、スリット深めのタイトスカート、胸元開けたブラウスにループタイ&カフス、ジャケット。

 髪はポニーから結い上げて、耳元に銀のピアス。

 手にはバインダーとファイル、胸ポケットにはアンテナ式の支持棒、そしてジャケットの下には何故かホルスターにナイフが吊ってある……ツリ目美貌の女秘書みたいな格好になってますが。


「似合わないか?」

「良いですな」


 よく見ると、バインダーとファイルが竹簡、支持棒が鉄扇、長剣がナイフ扱いらしい。

 こういう、テーマ替えと言うか、衣装替えは気分で行われるようだ。

 そのうち、趙雲さんがウェスタンとかな格好で、出て来ても不思議じゃないのか……。


「ところで、主殿」

「なんでしょう? 白蓮殿」

「一応、外史の再ジョイン可能の時間だ。

 どうするんだ?」


 そうか。 まだ一時間しか経ってないのか、まるっきり数ヶ月くらい経ってる感じなんだが。


「一旦、ログアウトするとしますか」

「判った。 それではな」

「おっちゃん、またなのだ」





 目が覚めた時、部屋には他に誰も居らず、殺風景なマンション部屋に一人だけというのが妙に堪えた。

 時計を見ると、やはり一時間程しか経っておらず、依存対策なのか現実感のない夢のように朧気になった、先程迄の記憶が寂しさを助長する。

 そんな感傷に浸っていると、ふとサブコンソールに映る数字に目が行った。

 約八〇万円……この一時間に使ったポイント購入代金。

 思わず、全てが吹っ飛んだ気分になり、なんだか急に笑えてきた。

 でも、特に後悔はない。


「さて、まだ昼の一時だし、出前でも取ってから、もう一回ダイブするかね」


 俺は器具を外し、出前のチラシでもないかと探しに起き上がった。

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