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あの日の思い出たちへ

 公園へ行くと、胸の奥がふっと温かくなる。


 ゲームもスマホもまだ身近じゃなかった頃、街の公園を歩くことは、私の日課のひとつだった。


 今の年齢になって、遊んでいる子供たちを眺めていると、「案外、あの頃と変わらないのかもしれない」そんな気持ちがふとよぎる。


 当時よく遊んでいたのは、遊具を使った〝地面に落ちたら負け〟の鬼ごっこだ。地面に足をつけずに遊具だけを渡って逃げる。今考えると、よくあんな高さで、あんなスピードで走り回っていたものだと思う。


 気づけば、大人になるにつれ、できなくなることが増えていった。転ぶ怖さを知り、痛みを知り、「危ないことはしないほうがいい」という思考が、少しずつ自分を覆い始めた。


 安全圏に座り続けると、新しい発見は減っていく。視界が灰色に沈んでいくような感覚になる。その先に見えるのは、輝く未来だろうか。それとも、静かな絶望の入口だろうか。


 誰かへ尋ねる勇気もなく、ただ言葉だけが胸の中で渦巻く。


 でも――心の奥ではまだ叫んでいる。


「やりたい気持ちがあるなら、やってみればいい」


「心の中の英雄が、すねたままになってしまうよ」


 人は誰でも、自分の中に“英雄”をしまい込んでいる。


 子供の頃、あんなにも自由に育てていた英雄を、現実の前でそっと押し戻してしまう。もっとすごい人が現れ、努力が必要になり、「自分には無理かも」と思った瞬間、その英雄は成長を止めてしまう。


 だけど、私はこう思っている。


「誰の中にも、なりたかった英雄がいる。未来の自分として思い描いていた、人知れず輝く存在がいる。育てるのをやめてしまっただけで、彼らは今も心の片隅で子供のまま眠っている」


 そう気づいた瞬間に、世界は少し変わり始めるのかもしれない。


 今はただの趣味かもしれない。好きなだけのものかもしれない。


 それでも、いつか人生の本線に変わっていく未来を信じて、自分の英雄に語りかけたい。


「あんた、こういうのが好きなんでしょう?」と。


 英雄が笑えば、私も笑う。


 誰かに笑われてもいい。世間に白い目を向けられても構わない。だってそれは――自分の英雄を育てるという、生き方そのものなのだから。

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