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第七話 またも未来にタイムリープ

「んもう、また寝惚けて……あんた、本当に最近変だよ」

「いや、そのだな……」

 まさかの事後……いや、これは夢の続きなのか?

 どちらにせよまた異常事態が発生してしまったが、とにかく今は目のやり場に困る。

 俺の前で堂々と生まれたままの姿を晒すなんて、なんてはしたない!

 いや、付き合っているなら別に普通なのか?


「もう、昨夜は久しぶりだったから、哲史もハッスルしちゃった?」

「べ、別にハッスルなんか……とにかく、服を着ろ!」

「何よ、急に恥ずかしがって。今日は履修登録に行く日だから、忘れないようにね。早めに大学に行って出しちゃおう」

「あ、ああ……」

 どうやら本当にあの時の続きみたいだが、これどうなっているんだよ、本当に……。

 あまりにも展開がぶっ飛び過ぎて、付いて行けないんだが、せっかく元の時代に戻ったと思ったら、また未来に戻されるとは。

 なんでまたこの未来に?

 もう頭がおかしくなりそうだが、元の時代に戻れる方法を早く考えなければ。


「哲史、お昼は学食にする?」

「え? ああ、そうだな」

 着替えた後、家を出てスクールバスに乗りこみ、大学へと向かうが、本当これからどうしよう?

 履修登録とかいうのを今日までにやらないといけないらしいが、これ本当に今日まできちんとやらないと駄目なのか?

 夢だったらどうでもいいんだけど、本当にタイムスリップしているのであれば、ちゃんとやらないと色々とまずいことになりそうだしなあ。

(いきなり高校二年から大学生に飛ばされても、そりゃ訳わからんって)

 というか何で俺はこの大学を受けたんだ?

 一応、東京に近いらしいが、何か山の中の田舎だし、キラキラした都会のキャンパス生活とはかけ離れている。

 キャンパスは新しく建て替えた建物も多いっぽくて、まあまあ綺麗だけど、偏差値もそんなに高くないし、どっちかというと馬鹿にされる部類の大学……くそ、俺の学力ではこれが限界だったってか?


「何、悶々としているのよ?」

「いや、何で俺、この大学来たのかなって」

「あんた、滑り止めでこの大学受けたんでしょう。私は推薦で受けたけど。私のために、第一志望落ちてくれたとかなら、見直すんだけどなー」

 断じてそんな事あるわけない。

 いくら彼女と同じ大学に行きたいって言っても、そんな安易な妥協はしたくないよ。

「まさか、今更学歴コンプ拗らせちゃった? まあ、大学で知り合った友達にもいるけどさ。前を向きなって。ここもそんな悪い大学じゃないんだし」

 知名度はそれなりにあるっぽいけど、沙彩には遥か届かなかったってのが情けないなあ。

 いや、もうあいつとは別れたことになっているんだよな。


「あのさ」

「あ、着いたよ」

 どうして沙彩と別れたのか訊こうとしたら、もう大学に着いてしまい、二人でバスを降りる。

 十分もかからない距離にあるから、別にバスじゃなくてもよさそうだけど、坂が結構あるんで自転車だとキツイのかもな。


「はあ……履修登録とか面倒くさいな」

 必修科目だの選択必修だの、第二外国語だの色々とあって大学ってこんな面倒だったんかい。

 まあ卒業後は進学するつもりではあったが、俺はまだ高校二年のはずなんだけどな……。

 しかし、建物も色々あるし、教室もたくさんあるんだな。

 大学は初めて来たけど、みんなこんななんだろうか。

 二回目のタイムリープなんで、ちょっと大学を回る余裕も出てきたけど、これに慣れちゃうのはまずいなあ。


「どうしたらいいんだが……」

 取り敢えず学生課に履修登録の用紙を提出し、近くのベンチに座ってスマホでネットをしながら、考える。

 この現象は何なんだろうな……夢なのか、本当に二年後にタイムリープしているのか、それすら定かではない。

 というか俺は何で沙彩と別れたんだろう?

 その原因を突き止めないと、沙彩と付き合っても、半年で終わってしまう恐れがあるからな。

 本人に聞くのはちょっと……なので、燈子に聞くしかないか。

「ちょっと、何ボーっとしているのよ」

「え? ああ、燈子か」

「もうさっきから声をかけているのに。履修登録終わった?」

「ああ」

「そう。授業が本格的に始まるの明後日だからさ。そうなると、二人の時間ちょっと減っちゃうかなーってね」

「そうだな……」

 今は授業が本格的に始まってない準備期間っぽいので、二人でいられる時間は多いが、授業が始まると俺と燈子も一緒に居られる時間は少なくなる。


 学部は違うし、サークルにも入っちゃうと、新しい友達も出来るだろうしな。

 燈子はモテるんだろうな……見た目は可愛らしいし、胸もデカイし。

 サークルに入って男どもに言い寄られたりしたら……いかん、想像しただけでムカついてきた。

「どうしたの?」

「あ、いや……サークルどうしようかなって」

「サークルかー。私と同じサークル、入る? 女子専用のサークルだけど」

「女子専用なのかよ」

「うん。ふふ、安心した?」

 女子バスケのサークルなら、まあ一安心っちゃ安心かな。


(待てよ、安心ってなんだよ)

 俺と燈子は別に……一応、彼女ってことにはなっているけどさ。

 俺の彼女はあくまでも沙彩であって……。

「あのさ。俺と沙彩、どうして別れちゃったんだろうなー」

「ん? 何よ急に?」

「いや、何となく」

「急に沙彩が恋しくなっちゃった? てか、普通に哲史が悪いし」

「お、俺が?」

「そうよ。あんたが沙彩を束縛し過ぎたせいで、嫌がられたんだから。嫉妬深い男は見苦しいわよねえ」

 な、何だと?

 俺が束縛し過ぎたせいで嫌がられてしまったって……沙彩みたいな温厚な女子を嫌がらせてしまうほどの束縛って何をやったんだよ。


「もう未練はないって言ったじゃん。そりゃ、沙彩は美人だけど、あんたじゃ不釣り合いだったのよ」

「うるせえな。もういいよ」

 未練はないも何も俺、まだ沙彩に告白して付き合ったばかりなのに、俺のせいで嫌われて関係が終わってしまうなんて言われて、そうそう受け入れるわけがない。

 俺にとっては沙彩は初めての彼女なんだ……くそ、その初彼女に対して何やってんだか。

「哲史、私に対してもうるさいじゃない。大学行っても男の友達作るなとか、どんだけ自分の目に置いておきたいのよ」

「お、俺、そんな事言ったか?」

「言ったじゃん。ここに引っ越したばかりにもさ。全く、わがままな彼氏持っちゃったわね。そこまで言うなら、哲史も他の女と仲良くするんじゃないわよ」

 ビシっと俺の指をさしながらそう言う燈子であったが、俺ってそんなに独占欲強いタイプだったのかよ。

 確かに沙彩も燈子も可愛いけどさ……くそ、自分のせいで別れたってのがわかったなら、余計にもどかしくてやりきれない気分になってしまった。


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