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第十三話 やっぱり幼馴染の仕業?

「で、これからどうする?」

「ああ、そうだな……」

 パフェも食べ終わりお冷を飲みながら、燈子とどこに行くか考える。

 俺としては早く元の時代に帰りたいのだが、いくら橙子と付き合っている状態とは言え、初デートで肉体関係まで持っていくのはハードルが高過ぎる。

 そうなるとしばらくこの一年後の世界で過ごさないといけないのか?

 嫌だ嫌だ早く帰りたい。

 まだ高三で実家住まいなので、前みたいに橙子と同性生活させられて大学に通うよりはハードルが低いとおもうが、それでも勉強とか付いていけないだろうし、何よりここは俺の住む世界ではない。


 俺は沙彩と付き合っているのに……くそ、神様はそんなに俺と燈子をくっつけたいのか?

「そろそろ出よう」

「あ、ああ。支払いは……」

「こういうのは割り勘にしといた方が良いの。財布は別にしておかないと、後々トラブルになりそうだしね」

 何て考えている間に橙子に言われて会計を済ませた後、店を出る。 

 しっかりしてやがるなあ橙子の奴。

 俺が知ってる橙子はもっと金に汚い女だった気がするが、彼氏の前ではこんなに変わるのか?

 というか、本当に俺と付き合っているんだよな?

 何だかそれすら夢みたいな気分だが、今はこの夢から抜け出す事が最優先だ。


「哲史さー、あんた卒業したらどうする?」

「え? 何だよ急に」 

「だって、もう高三だしさ。卒業したらバラバラになるかもしれないんだし、気になるじゃない」

「ああ、そういやそうだな」

 普通に考えたらそうなんだけど、卒業した後に同じ大学に通って同棲しますなんて知ったら、燈子もビックリするだろうな。

 とはいえ今ここで言ってもしょうがない事だし……。

「一応、進学するんでしょう?」

「まあな。だから、こんなことをしている場合じゃないんだろうけど」

「あはは、確かに。私はどうしようかなー……まだ考え中なの」

「大学に行くんじゃないのか?」

「考えてはいるけどさー。自分のやりたいことって何なのかなって思って。昔は美容師になりたいとか言っていたけど、大学行って色々勉強したい気持ちもあってね」

 と、二人で街中を歩きながら、進路について話していくが、そうか燈子も色々と進路について悩んでいたんだな。

 いきなり俺と同じ大学で同棲している時代に飛ばされて、どうしてこうなった状態だったけど、やっぱりそれまでに色々とあったんだな。


「燈子の好きにすれば良いんじゃないの」

「それ、何のアドバイスにもなってないんだけど。彼女が悩んでいるんだから、もっと真剣に考えたら」

「そうは言ってもさ。はは、燈子と同じ大学とかだと楽しそうかもな」

「本当? 本気で言っている?」

「ま、まあ……仮にだよ」

 軽い気持ちでそんなことを口にすると、燈子は真剣な顔をして食いついてきた。

 まさか今の言葉で燈子と同棲することになってしまったとか?

 いや流石に考えすぎか……。


「哲史と同じ大学かー。悪くないかもね」

「だから仮にだよ。あんまり真に受けないでくれ」

「いいじゃない。彼氏のアドバイスなら、真剣に受け止めるよ」

 彼氏のアドバイスか……今はそうかもしれないけど、正直今はそういう気持ちではないんだよ。

(もう言ってしまおうかな……)

 俺が一年前からタイムリープしてきているって。

 どう考えても燈子が関わっているようにしか思えないんだよ、この現象に。

 でも証拠が何もないし、もし無関係だったら、頭がおかしい男に思われるだけだから、そう思うとなかなか口にする勇気が出ない。


「まあ、もう少し時間はあるしさ。今はデートを楽しもうよ」

「ああ……」

 俺の腕を組んで燈子がそう言ってきたので、しばらく街中を出歩き、ゲーセンに入ったり、ウィンドウショッピングをしたりする。

 高校生のデートならこんなものなのかな……沙彩とのデートの時はどうしようなんて考えながら、燈子とのデートの時間は過ぎていった。


「うーん、遊んだね。そろそろ帰る?」

「あ、えっと……」

 夕方になり、もう帰る時間になったが、その前に確かめたいことがあった。

「まだどっか行きたいところあるの?」

「行きたいところってかさ……今夜、暇?」

「今夜? 予定はないけど、あんまり遅くなると、親も心配するしさ」

「だ、だよな、はは」

 何とか夜中にでもホテルに連れ込んで燈子と出来ないかと思ってしまったが、流石にはやりすぎか。

 くそ、この前のは同棲していたから、割とすんなり行けたけど、今は厳しい。

 まさかこのままずっと一年後の世界で過ごさないといけないのか?

 いや、大丈夫なはずだ。

 前のタイムリープが本当なら、同棲する前に俺と燈子は経験済みなはず。

 それがいつの事なのかだけど……何か月も待ってはいられない。


「そんなにホテル行きたいの?」

「う……わ、悪いかよ」

「げっ、冗談で言ったのに……てか、私ら高校生じゃん。そういうところ、入れるのかな?」

 そもそも高校生がラブホテルに入れるのかという話だったが、そういやどうなんだろう?

 俺はまだ十七歳なので、十八歳未満はお断りってことになったら、ホテルでするのは無理か。

「そんなことも考えてなかったんだ。哲史はデリカシーないねー」

「べ、別に」

「ふふ、まあ今日はこれで我慢しなよ]

「え?」

「ん……」

 急に燈子がそう言いながら顔を近づけると、お互いの唇が一瞬触れる。


「…………じゃ、じゃあね」

「あ……」

 それからどれくらいキスをしていたのか、燈子が顔を真っ赤にしながら離れ、駆け足で家路に着いていった。

(く、こんな不意打ちのキス……)

 されたせいで一気に胸がドキドキして止まらない。

 初めてのキスだったのかこれが? いや、沙彩とはどうだったんだろう?

 未だにそれを知れないのが辛いが……これでは燈子を意識してしまい、あいつのことが頭から離れられそうになかった。


「はあ……どうしよう?」

 家に帰った後、ベッドで大の字になり、天井を見上げながら今後の事を考える。

 元の時代に戻るにはどうすればいいのか……今のキスで戻れればいいんだけど、もしそうでなければ一刻も早く燈子と……。

「うわあああっ! ああ、もう無理だって」

 とてもそこまで踏み込める勇気がない。

 経験済みなので変な気持ちだが、まだ付き合いたてのピュアな関係なのだから、無理に迫ったらいくら燈子でも……そう思うと、とても燈子と無理矢理することは出来ず、悶々としたまま一夜を過ごしていった。


「哲史。哲史……」

「ん? 何だここは?」

 突然、真っ白な空間に放り出され、俺を呼ぶ声がするので見渡す。

「こっちだよ」

「あ? お、お前は……」

 後ろを振り向くと、白のワンピースを着た十歳くらいの少女が俺の前に立っていた。

 こいつは一体……いや、俺はこの少女をよく知っている。


「と、燈子……?」

 肩くらいまでの長さの髪で、白のワンピースを着た可愛らしい少女は子供のころの燈子にそっくりだった。

 なぜ子供のころの燈子がここに?


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