その38
翌日。オレが事務所に顔を出すと、もう忠司さんとのり子さんは先に来ていた。早速二人に事の顛末を詳細に話して聞かせた。
二人は口を挟むことなく、最後まで聞いてくれた。
「…まぁ俺はそんなことだろうと思っていたよ。ただ雅樹を向かわせたのは正解だった、おかげで本当にインチキかどうかの確信が持てたからな。」
話し終えると忠司さんが呟くようにボソッと言い、それにのり子さんが反応する。
「ねぇ八重島さんは最初から田山澄子の占いはインチキだと分かっていたの?昨日も雅樹くんからインチキだったと報告受けて、やっぱりって言ってたけど。」
「最初にその占いの師の話をキミたちから聞いた時、おかしいと思ったんだ。」
えっ最初?オレとのり子さんはきょとんとする。
「その占い師、絶対に"当てる"占い師だと評判だったんだろ?おかしいと思わないか。占いというものは、"当たるか外れるか"を判断するものだ。それを当てるという表現をしている時点で、占いの結果は人為的に当たる方へ誘導しているのでは?と仮定していたんだよ。」
…言われてみれば。そういえば忠司さん、割と調査開始時点で気になることがあるって言っていたけどそのことだったのか。
それよりも、とのり子さんがトランプを取り出しジョーカーを2枚抜き取る。のり子さん式のトランプ占いだ、彼女は山札をシャッフルしながら言う。
「彼女の言った、雅樹くんの夢占いはあながち間違いではなさそうね。それで何を占えばいいの?言っておくけどアタシの占いは遊びだから鵜呑みにしないでよね。」
うーん田山澄子の夢占いでは、確か静かなところで新たな出会いあり、って感じだったよな。場所は分かったけど今度は時期だ。時期が知りたい。
「わかったわ。じゃあこの山札を自分で改めてシャッフルして、その後の好きなところからカードを1枚引いて。」
オレは言われた通り数回シャッフルしてから下の方のカードを取り、見るとそれはクラブの8だった。それをのり子さんに渡すと、彼女は少し考えてから言った。
「クラブのカードは、実りの木をイメージさせるわ。つまり雅樹くんの勝負の季節は秋…暦で言えば9月~11月。もっと言えば10月半ば以降かしら。あくまでアタシの解釈だけどね。」
ふーん、10月半ば以降に静かな場所で出会いアリ…か。って静かな場所って一体どこだ?
「コンビニのように身近で日常的なところではなく、かつ動物園のように人や動物の鳴き声・話し声などでうるさくもないところ…それも10月以降よね。もしかして海とか?アタシ達みたく都内で生活していたら海は十分、非日常だと思わない?」
のり子さんが冗談半分で言っているのが彼女の表情から分かる。一件落着したことだしコーヒーでも淹れましょう、と彼女はトランプを片付け立ち上がった。忠司さんはすでにパソコン席に座っている。
でも10月後半の海ならシーズンオフだし、たしかに静かそうだけどそれならどこの海だ?オレの行きたいところで良いのか?そもそも海が答えなのか?いや逆に山かも、でも山は動物がいるしな…。
そんなことを考えていると宅配業者が訪ねてきた、オレが送りつけたお土産がちょうど届いたのである。
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※この話は一部フィクションです。




