その37
俯いたままで彼女は語る。
「ホントは私自身、いつまでこんなことしてるんだろうって思ってたの。その後ろめたさが消えなくて、雑誌やテレビの取材も断り続け逃げるように全国を転々としていたわ。だからこそこんな本当に悩んで頼ってきてくれる人たちを助けようと思って、なるべく身辺調査などを駆使して私でも解決できるような悩みなら解決させようとしてきた。まぁこういうのって遅かれ早かれバレるものだから覚悟はしていたけどね、まさか私自身が掲げていた霊能力が決め手になるなんて皮肉ね。」
田山澄子は立ち上がると、オレに背を向け窓から外を見ながら続ける。
「あの子を外させたのはわざとなのよね?」
えぇ。ちょっと話しただけですけど、弟子の女性は本当にあなたを尊敬しているようでした。それなのに目の前でインチキと分かってはあまりにも哀れですから。
「優しいのねあなた。でもね、誰にでも優しい男はダメよ。そういう男はつまらないって女は判断するからね。昔から優しいだけの人はイイ人止まりって言うでしょう?」
窓からは太陽の光が差し込んでいる。もうすっかり昼前で太陽は昇りきり、雲一つない良い天気だ。オレは一応料金を払おうと財布を出すと、占い師はそれを制した。
「お金はいらないわ、あなたのお陰でお姉ちゃんと話せて今後のことを考えるきっかけになったから。それに私の占い師生命はもう終わりにしようと思うの…私もまだまだね。インチキ占い師として成功するなら悪魔に魂を売ってでも、徹底してインチキを貫くべきだったのに。」
ダメ元でオレは今朝見た2つの夢を話した。
「そうね、インチキがバレた以上ここからは私の持つ知識で答えるわ。あなたの見た夢は恐らく逆夢ってやつね。つまり良い夢と悪い夢の意味を反転して考えるのよ、ちょうどタロットカードに正位置と逆位置が存在するようにね。だからコンビニの逆夢は、普段いかない場所へ行くことね。行ったことのない新しいお店や場所で何かを得られる兆候よ。動物園の方は…恐らく良い結果がほしいなら、人混みを避け静かな場所を選べという暗示じゃないかしら。さぁもういいでしょう、あの子を呼んできてちょうだい。私達これからチェックアウトだから。」
すぐ帰るのももったいないと思ったオレは、足湯に寄り道しながらのり子さんに電話してみた。
「そうなんだ~インチキだったのね、残念。八重島さんはやっぱりなって言ってたけど、ホントに分かっていたのかしら。」
彼女、これからどうするんでしょう?
「アタシの予想だけど、本人は占い師やめるって言っていたんでしょ?じゃあきっと実家に帰るのよ。ありもしない霊能力を掲げて人を騙すようなアコギな商売を続けるより、伝統ある家業のたとえお手伝いだったとしても、そっちの方が彼女も胸を張って生きていけると思うわ。IFCの会社の顛末についてはちょっとショックだけど、それは警察の仕事だしアタシ達が首を挟むことじゃないものね。まぁとりあえず、アタシは雅樹くんが送ってくれたお土産が届くのを楽しみにしてるわ!」
のり子さん、オレが事務所に戻ったら一発占ってくださいよ。
「何よ急に。別に良いけどアタシには霊能力はないわよ?よく当たるって評判なだけでね。」
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※この話は一部フィクションです。




