その28
QRコードを持たない人たちは後日案内状を送りますと言うお付きの人に住所や名前などを伝えて帰っていった。半分以上の人が去ったので一気に静かになった。オレは近くにいた女性に順番を譲った、さきほど彼氏との結婚運を占ってほしいと言っていた女性だ。
怪しまれないよう宣言通りトイレで用を足し売店エリアに移動した後、他の客の邪魔にならないよう通路の端っこへ陣取り忠司さんへ連絡を入れる。ここからでも田山澄子のテーブルの様子は伺える、さすがに詳細な会話内容までは聞きとれないが、どうやら一人目の女性がまだ相談中のようである。
とりあえず忠司さんへ状況を説明すると、次のような返信が返ってきた。
『インチキ占い師かどうかを見極める簡単な方法は、ズバリ"それは当人の思い込み"で解決することを言ってくるかどうかだ。例えば最たる例がラッキーカラーやラッキーアイテムだな。』
要するにそういうものを見に付けて事故などに遭遇したとして、これを身に着けていたからこの程度のケガで済んだのだと本人に思い込ませる。一種の暗示のようなテクニックだという。
『それから、コールドリーディングというテクニックにも気をつけるんだ。これもインチキ占い師がよく使うテクニックだからな。』
それは相手と何気ない会話をするフリをして、相手の情報を聞き出すテクニックである。例えば、あなたの親は亡くなっていません?という聞き方をする。この聞き方は"亡くなっていますよね?"のような死亡の確認にも、"亡くなっていませんよね?"という生存の確認にも取れる。それで、相手がYESと答えるかNOと答えるかで相手の情報を気づかれぬまま次々聞き出してしまうのだ。
思い込みとコールドリーディングか。よっしゃ!知識は武器だ、オレがあの占い師のチカラが本物か確かめてやるぜ。
『意気込んでいるところ悪いが、1つ聞かせてくれ。雅樹は田山澄子のチカラはホンモノだと思うのか?』
オレは正直、半々だと答えた。本当に必中ならもちろん彼女の占いを信じたいし、嘘なら多くの人を騙していることになり許せない。インチキならやめさせるべきだ、と。我ながらご都合主義な考え方だと思うけれど。
さてそろそろ戻ろう。
最初は交際中の彼氏との結婚運を占ってほしい20代半ばくらいの女性、その次はIT系の会社を起業するために仕事運を占ってほしい30歳くらいの男性。3番目はいつ彼氏ができるか恋愛運を視てほしい20歳くらいの女性、4番目は欲しいものが多すぎていつまでも貯金ができず金運を知りたい40歳前後くらいの男性。年齢も性別もバラバラだ。
あとは忠司さんからアドバイスを受けた、インチキテクニックを彼女が使うかどうかだが…。占いの内容などは個人的なことらしく、順番待ちの人は遠くの席で待つように指示された。ここはテレビが近いため、耳を立てても占いの内容を聞き取ることができなかった。
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※この話は一部フィクションです。




