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その23

 2月に温泉地を選ぶというのが、人目を避ける田山澄子らしくはあるなと思った。1月は新年会などで、3月4月は卒業祝いや入学・入社祝い等で混み合うためだ。そのあとは5月のGWや夏休みシーズンが控えている、ということで観光地というのは基本的に2月が一番空いているのである。人目につかぬようあまり混んでいない時期に温泉に行ったのだろうが奇跡的に彼女を発見してくれた人には感謝である、探していた相手は意外と近くにいたのだ。



 電車の座席に座っていると、暖かくてウトウトし眠りそうになる。そんなときスマホのバイブレーションが発動した、今度は忠司さんからの連絡だ。オレが電車にいることを察しているのか、メッセージを送ってきたようだ。

 『柳生社長についてだ。あの人が占いに行ったとき、田山澄子からあなたの運命は数週間で逆転しますと告げられたらしい。その2週間後に、あの人の旦那…つまりIFCの前社長が交通事故で死亡している。原因はブレーキとアクセルを踏み間違えた車が、信号待ちしていた前社長に突っ込んだことで、前社長は即死。なんだかできすぎていると思わないか?タイミングが良すぎるというか、田山澄子の予言通りすぎて恐ろしいくらいだ。』

 確かあの女社長は元々経理で、そこからいきなり社長に就任したんだっけ。まさに人生大逆転である、火の車だった会社の経営も社長交代後からは黒字になったというし。まさかその事故は田山澄子が仕組んだとでも?そう返信すると少し間を置いてから返信が返ってくる。普段からスマホを弄り倒しているオレやのり子さんと違い、パソコン派の忠司さんは少し入力が遅いのだ。

 『さすがにそれはないだろう。もしグルだったとしても取り調べや警察の捜査で何かしらの関連を疑われたらすぐにバレるだろうしな。ただIFCの前社長を轢き殺したのは87歳の老人なんだが、本人は危険運転致死傷罪で現在も服役中だ。だがその加害者家族がな…噂では、やたらと金回りが良いらしんだよ。羽振りが良いというか、まるで宝くじにでも当たったかのようにその事故の後で急に都心のマンションの高層階に住み始めたんだと。』

 身内が起こした事故とは言え、ただの家族である自分たちには関係ないと言わんばかりですね。でもそれが田山澄子の占いと何か関係があるんですか?

 やはりしばらくした後に返信が来る。今度はさらに間が長かったので、文章を作るのに結構考えながら打ち込んだのだろう。



 『田山澄子が大金を払ってその老人に殺させた…つまり依頼殺人の線を考えてみたがダメだな。そうすれば自分の占いは正確だと世間に知らしめることはできるが、問題は金の準備だ。その事故は彼女が有名になる前だから、イチ占い師の彼女がそんな大金持っていたはずがないしな。もっと言えば、たとえIFCの前社長を殺したところで業績が好転するかどうかも分からない…。これでは推理としても成立しない。』

 なんでですか?わかりませんよ、田山澄子はそれまでたくさん働いて貯金を何千万円と溜め込んでいたかもしれないじゃないですか!また少しして返信が返ってくる。

 『それはない。柳生社長に聞いたんだが、彼女は当時築35年の風呂なしワンルームアパートに住んでいたんだと。そんなに貯金があればもう少しマシなところに住むさ。それに柳生社長と二人で飲むときの話題は、決まってお互いの金の無さを自虐し合っていたそうだから。イイ線いってると思ったんだがな、忘れてくれ。』


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。


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