その20
オレはここで、初対面のときに感じたことを素直に口にしてみる。真弓さんって田山澄子さんとお顔立ちが似てますよね?名字も同じだしもしかして…オレが皆まで言う前に彼女が続きを引き取った。
「えぇ。澄子は正真正銘、私の妹ですわ。世間ではよく当たる占い師として有名になったとか…もっともあの子は成人後に家を出てから、一度もここに帰ってきておりませんが。」
(アレ?妹ってことは、霊媒師をやっている真弓さんが長女ってことだよな?)
オレはタクシーの運転手から聞いたときに感じた疑問を、そのまま目の前の霊媒師にぶつけてみることにした。
確か霊力は長女に受け継がれ、それがまた女児にと代々続いていくんですよね?しかしもし妹が…つまり姉妹だった場合、妹にも霊力は存在するのでしょうか?それとも本当に長女のみに…だとしたら、妹の澄子さんが行う"霊力を活かした夢占いの派生"という手法はインチキということになります。それならば彼女のやっていることは立派な霊感商法であり詐欺行為…これ以上の被害者を増やさないためにも止めなければなりません。
真弓さんはしばらく黙った後、分からないわと言った。
「私は長女として生まれ、長女としてこの家を継いだだけ。妹に霊力があるかどうか、それは妹本人にしかわかりませんわ。親に聞いたこともありませんし。」
オレは真弓さんの今の発言は嘘だ、そう直感した。女系の家系に生まれた自分に妹がいるのだ。そういう考えに至らないはずはないし、親や周囲の人に絶対質問したくなるはずである。さらに彼女がさっき答えるまでの沈黙…絶対に何か心当たりがあるはずだ。
オレの言いたいことを察しているのか、真弓さんは続ける。
「妹の霊力について私は嘘は申しておりません。だってそうでしょう?霊力なんて、目に見えるモノではありませんから。本人が霊力があると言えばあることになるし、ないと言えば無い。だから私に妹に霊力があるかないかの判断はしかねますわ。それにさっきも申したように、あの子は成人して以来ここには一度も帰っておりません。」
真弓さんはそこまで言うと、何かを思いついたように話を止めた。そして一度お茶を飲み、再び口を開く。
「そうだ、あなたが澄子に会ってみればよろしいのよ。あの子に霊力があるのなら、私と同じようにあなたの傍らにいるハスキー犬の存在を感じることができるはずよ。もしあの子にあったなら、私にもその結果を教えてくれるかしら。…って、これじゃどっちが相談者か分からないわね。」
たしかにそうだ。真弓さんと同じようにゴン太の霊を感じてくれるのであれば、田山澄子にも霊力がある1つの根拠になる。しかしそこには1つの問題がある。
…真弓さん、あなたがゴン太のことを澄子さんに事前に教えるのはナシにしてくださいよ?
そう、この人が田山澄子に犬の霊の存在を話してしまった瞬間、この検証方法は成立しなくなってしまうのだ。しかし目の前の霊媒師は優しく微笑み、こう言った。
「ご安心なさい。澄子は成人して以来、私達家族と一切の連絡を取っていないのだから。むしろ田山家の人間の方があの子の連絡先を知りたいくらいよ、教えようがないわ。」
オレはここでまた1つ、疑問が生まれた。
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※この話は一部フィクションです。




