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その18

 そこはザ・日本のお屋敷という佇まいをしていた。2m近くある石造りの塀で周囲を囲んでおり、中は見えないがその塀越しに大きな平屋の屋根が見えている。ここから見えるだけでもかなりの広さだと容易に察することができるほどだ。また屋敷右側には蔵のような建物が、左の方にも何か立っているがここからではよく分からない。

 オレはタクシーの料金を払うと、運転手さんは一礼して去っていった。



 門の標識には「田山流霊媒堂」と書かれた木彫りの看板がかけられており、なんだか厳かな感じだ。オレは緊張しながらインターホンを押すと、10秒ほどして若い女性の声で応答があった。予約した諏訪野ですと答えると、お待ち下さいと言われインターホンが切れる。

 1分もしない内に門の内側のかけ金が外れる音がし、20代前半だろうか?やや背の低い痩せ型の女性が目の前に立っていた。

 「ようこそいらっしゃいました。私は田山様のお世話を担当している、加屋(かや)と申します。早速ですが、今お持ちになっているスマートフォンやパソコンと言った通信機器を、電源を切った上で私にすべてお預けください。敷地内での通信機器の利用は禁止、もし発覚した場合は即刻の帰宅と今後一切の出入り禁止となります。もちろんお帰りの際には必ずお返しいたします。」

 事前情報にあったとおり、やはり通信機器の利用はできないらしい。しかも没収とは、かなり徹底している。オレは私用と仕事用2台のスマホの電源を切って加屋さんに渡すと、加屋さんは隣に置いてあったキャリーバッグに入れそのままナンバーロックをかけてしまった。これでオレは電話でも借りない限り外界との接触はできない。



 そのまま左側の建物へ案内された。門の外側からはよく見えなかったが、どうやらお社のような作りになっている。ふすま戸が開いており、畳が敷かれている真ん中に足の低い木製のテーブルがある他に一切のインテリアなどはないようだ。オレは緊張しながら靴を脱いで上がると、加屋さんがふすまの影に隠れていた座布団の山から1枚、座布団を出してくれた。さらに反対側に、こちらもふすまの死角になっていた位置にあった灯油式ストーブを机の近くに持ってきて着火してくれた。このままお待ち下さいと加屋さんは言ってふすまを閉じ、靴を履いて歩いて行ってしまった。足音の方向からしてお屋敷の方へ向かったのであろう。



 しかし真っ昼間だというのになんだか薄暗い。山の中で周囲の木々が日光を遮りがちなのであろうが、得も言われぬ…何か緊張した空気のようなものが常に体にこびりついている。

 オレはなぜだか身震いしてしまった、決してストーブが弱いわけではない。



 少しするとまたふすまが開いて、加屋さんがお茶とみたらし団子を2本持ってきてくれた。お茶碗は2つあり、その片方はオレの対面側へ置かれる。きっと田山家の人間の分だろう。

 加屋さんはまた一例するとふすまを締め、お盆を持って屋敷の方へ帰っていった。


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話は一部フィクションです。



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