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その17

 1週間後、ついに霊媒堂へ行く日が来てしまった。オレは一度事務所へ顔を出してから行こうと思い足を運ぶと、忠司さんしかいなかった。のり子さんはやはり例の散歩代行へ行っているようだ。

 「必中の占い師の実家がまさか霊能力者とはな。気を付けて行ってこいよ。」

 そう告げる忠司さんに、オレは行ってきますと返して駅へ向かった。



 栃木県へは都内から新幹線で1時間もかからない、そう行くだけなら。問題はここからだ、電車を乗り継ぎその先はタクシーを使わなくてはならない。仕事で来ているので交通費はどうせ返してもらえるのだが、問題は山奥すぎることだ。口コミを見るとタクシーが無かったため1時間かけて山を登ったなどという書き込みもあったからだ。



 とりあえず電車を2回ほど乗り継ぎ、一番最寄りの駅に到着した。どうやら無人駅のようで、IC型交通カード用の出入り口と切符を入れる出入り口の2つが並んでいるだけの、こじんまりした駅だ。平日の昼間だからなのか、オレの他には誰もいなかった。山のふもとということもあり、2月の寒い空気が肌に突き刺さるように冷たい。

 タクシー会社に電話をするとすぐに1台寄越してくれたので、オレは歩きでの登山はせずに済んだ。運転手さんは中年の男性だ。

 「あなたも、霊能力者さんのところへ行かれるんですね?」

 オレが乗り込んですぐ、行き先を告げる前にそう確認された。どうやらこの駅でタクシーを呼ぶ人は十中八九あの霊媒堂が目的地らしく、聞かなくても予想がつくということだった。



 道路は片側一車線で、山の坂道をどんどん登っていく。外はものすごく寒かったが、木々は意外にも春の訪れに備え緑を宿し始めているようだ。そんな景色を見ながらオレは、運転手さんからその霊能力者について話を聞く。

 「昔からね、あそこはオバケとか幽霊に興味ある人の界隈では有名なんですよ。つい先日も地元の大学生の男たち4人組を乗せて行ったんです、オカルト研究サークルとか言ってましたね。それに最近は落ち着きましたけど、4~5年前にあの霊媒堂がテレビで特集されたときは毎日のようにあそこへ行きたいという人を乗せていったものです。」

 なるほど、それで口コミの数がやたら多いのか。そういえばオレ達、誰も日付まで気にしてなかったな。よく見ると4年前や5年前に書かれた口コミも多い。

 「あの家系はね、ここらじゃ有名な霊媒師なんですよ。なんでも女の子に霊力が引き継がれる家系のようで、しかも不思議と第一子は必ず女の子が産まれるそうなんです。そして母親の方は出産すると同時に霊力が弱っていき、出産から18年すると霊力が失われるんだそうですよ。その代わり、今度は長女の方の霊力が最高になる。つまり女性が代々霊媒師として家を守っているんです。」

 へぇ~、女性に霊力が引き継がれるのか。田山澄子も性別は女だから、つまり彼女が霊力を持っていてもおかしくないわけか。



 …って、ん?田山澄子は霊媒師ではなく、占い師をやっているんだぞ?彼女は家を捨てたのか?このままでは彼女の代で霊媒師の家系が終わってしまうのでは?

 そんなオレの考えを見透かすように、運転手さんは行けばわかりますよとだけ言って車を止めた。ふと外を見ると、いつの間にか田山流霊媒堂の門前に到着していた。


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話は一部フィクションです。



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