その16
翌日、事務所。
田山流霊媒堂に電話をしてみるとけっこう繁盛しているらしい。直近の数日はすべて予約客で埋まっているらしく、早くても1週間後ということになった。オレはすぐにその日に予約を入れた。
しかし一人で行くのはイヤである。なにせ本物の霊能力者らしいのだ、ちょっと怖い。のり子さんか忠司さんかのどちらかが同行してはくれないだろうか。
結論から言えば、田山流霊媒堂へはオレ一人で行くことになってしまった。忠司さんは元々そういうスピリチュアルなことは全く興味・関心がなく、のり子さんは依頼がある。そもそものり子さんが行っている某著名人の犬の散歩代行は、本来は毎日来てほしいとまで言われているというのだ。つまりのり子さんが散歩代行へ行くときに忠司さんが事務所で留守番、フリーで動けるのはオレだけという理屈だ。
ってのり子さん、本当は幽霊が怖いんじゃないんですか?
「えっ!バカ言わないでよ、アタシに怖いものなんてあるわけないでしょ!それよりちゃんと調査してきてよね、お客さまも田山澄子に会いたいって言ってるんだから。」
薄々こうなることは分かっていたが、仕方がない。仕事と割り切って行くとしよう。この際、実家で飼っていたゴン太でも良いから一緒に来てほしいものである。それほど未知の世界に一人で飛び込むというのは抵抗があるものだ。
田山流霊媒堂について、事前にインターネットで調べてみるも例の口コミ以外ほとんど情報が出てこなかった。どうやら霊媒堂の敷地内は全面通信機器の使用を禁止されているらしく、そのため写真や動画もほとんどない。地図はあるから迷うことはなさそうだけれど。
「でもネットの口コミも気になるわよね~、何を持ってしてココは本物の霊能力者がいます!なんて書いてるのかしら?こう言ったら失礼かもしれないけど、『あなたには女の生霊が付いています』ってあべこべなこと言うくらいなら誰にでもできるじゃない?」
まぁ確かに、実際テレビやSNSでもそういう怪しいインチキ霊能者みたいなのはたくさんいますよね。しかも今どきは画像や動画で証拠が残ってしまうから、テキトーな予言をした挙げ句に数ヶ月後、全く当たらなくてインチキだとバレる人もいるくらいだし。
忠司さんはどう思います?
「俺に聞くなよ。…しかし川島田の言うようにもし霊能者のフリしていい加減なこと言ってるだけなら、必ずどこかでボロが出るはずだろう。そういう口コミも今のところ見当たらないし、案外まだまだ科学で解明できない世界がこの世には存在しているのかもしれないな。」
しかしオレは二人の話を聞きながら、心に一つの確信があった。もし本当の霊能力者なら、きっと…。
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