その14
オレは田山澄子がなぜここに働きに来たのかを聞いてみる。
「彼女、オーナーとの面接で霊感があると言ったんです。正確には彼女の家計がそういう血筋らしいのです。ただ幽霊や生霊を見たことはないらしく、その分占いの方にパワーを込めることができると話していました。それでオーナーが半信半疑で彼女を雇った所、IFCという会社の社運をまるまる逆転させるほどの占いを成功させてみせた…。彼女はその霊感というか霊力とでも言うんでしょうか、とにかく占いを通じて人の役に立てたかったのでしょうね。」
ふぅん、初耳だな。オレがそう呟くとテーナーさんにも聞こえていたらしく、今まで誰にも聞かれなかったので話しませんでしたからと微笑んだ。
まだ持ち時間が少しある、せっかくココまで来たしタロット占いをお願いしてみようかな。テーナーさんの占いって、ズバリ当たるんですか?
「私の占いが当たるかどうか、それはお客様が決めることでございます。ただ利用者の皆さまが言うには、私の占いは"惜しい"そうで…やっていきますか?」
惜しいってなんだ?人間とは不思議なもので、一度聞いてしまうと気になってしまう。しかしせっかく受け付けで金を払ったのだ、やるだけやってみるか。オレは占ってもらうことにした。
「そうですね、ではアナタの一番の悩みを強く頭にイメージしてください。そしてそれを口に出して私に教えて下さい。昔から言霊と表されますように、言葉にすることでアナタはより正確なタロットカードを選ぶことができるでしょう。」
オレは正直に彼女がほしいことを伝えた。合コンなども空振り続きで、そろそろ性格や価値観などの面で相性の良い女性を見つけたいと思っている…と。話を聞きながらテーナーさんは手に持ったタロットカードの山札をシャッフルしている。
「よろしい、恋愛運のご相談ですね。ではココから3枚お選びいただき、裏側のまま好きな順番に並び替えてください。まだカードを表にしないで。そのままこの山札の一番に置き直してください。アナタが裏向きのまま選んだカードを、アナタがランダムに入れ替えた。すべてあなたが選んだ運命です、それでは一番上のカードをめくりましょう。」
そのカードは、女帝のカードだった。
「これは女帝の逆位置ですね。女帝は正位置では包容力や心の余裕を表しますが、逆位置なので焦りやワガママが見えます。例えば合コンなどで彼女がほしいと焦る余りガツガツしすぎると、女性からは余裕のないダサい男に見えてしまうものです。」
うっ…当たっている。いつだったかのり子さんに占ってもらったときも、ガツガツしちゃダメよと言われたんだっけ。
「その様子は心当たりがあるみたいですね。しかしあなたが選んだ2枚目のカードは愚者の正位置。これは失敗を恐れずに、素直な心でチャレンジすることで成功への近道となることを暗示するカードです。嘘をついたり格好つけたりせずに、本心でお相手に接するようにすれば道が開けるでしょう。」
オレはテーナーさんにお礼を言って、彼の部屋を後にした。
「…3枚めのカードを言う前に時間が来てしまった。惜しいなぁ。」
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