その10
のり子さんにそそのかされてつい自分の願望を書いてしまったが、しかしこれでもし田山澄子の目に止まって占われ、本当に彼女ができたらどうしよう。どこかウキウキしてしまう自分がいた。こういうところが占いに秘められた魅力の一つなんだろうと思う。
あれ、そういえばオレ大切なことを全然知らないまま調査していた。田山澄子ってどんな占いをするんだろう?タロットカード?占星術?
「何よ雅樹くん、そんなことも知らないの?占い師ごとに占う手段が違うのは当たり前だけど、田山澄子がどんな占いを得意としているのか調べておくのは基本中の基本じゃないの。まさか八重島さんも知らないなんて言わないわよね?」
のり子さんが鋭く視線を忠司さんの方へ向けるが、彼は涼しい顔をしている。
「いや俺は柳生社長が教えてくれたからちゃんと知っているぞ。田山澄子の占いは、夢占いを応用しているものなんだろう?」
あ、ずるい!オレには教えてくれなかったくせに!オレは半ば恨みのこもった目を忠司さんへ向ける。確かに調べていないオレも悪いが、知ってるなら教えてくれたっていいじゃないか。オレの言いたいことを察しているのか彼は絶対目を合わせようとはしない。まぁそれはともかく、夢占いの応用?
「そうよ。手法は夢占いに似ていて、田山澄子は相手の望みを聞いてから未来のインスピレーションを受け取るのが得意なんですって。そこから見た光景を相手へのアドバイスとして活かしているらしいんだけど、コレが当たるって評判なのよ。」
未来のインスピレーション?なんだか漠然としていて、説明を聞いただけではよくわからない。
「アタシもよく分からないわ、でもだからこそ田山澄子に会ってみたいのよ。どんな風に占うのか興味あるじゃない?意外と薄暗い部屋でロウソクの明かりの中、大きな水晶玉に手をかざして…なんて古風なやり方だったりするかもね。」
そういえばのり子さん、田山澄子の占いに興味あるって言ってたな。あれは『どのように占いを行うのか興味がある』って意味だったのか。
「ご明答。アタシはカード系の占いが得意なんだけど、夢占いの応用ってことはアタシとは全然占い方が違うのよ。考えれば考えるほど会ってみたいわ。」
「俺はパスするぞ。占ってほしいことがそもそもないし、占いに興味関心のない俺がファンクラブに入ってると知れたら色々面倒くさいことになるだろう。実働部隊はキミたちに任せた。と言っても調査にはきちんと参加するから、今まで通り情報共有だけは頼んだぞ。」
さて、それじゃいよいよ田山澄子とご対面と行きたいところだけど…。彼女は日本中を転々としているらしいからなぁ。
「ファンクラブの『澄子様 目撃情報』のスレッドにも特に書き込みはないわね。最終書き込みは10日前、しかも目撃された場所は北九州。東京からじゃ行くだけでも苦労するわね。」
厄介なのは何日そこに滞在しているか、すら分からないことだ。だから今すぐ北九州へ向かっても既に移動されている可能性もある。オレとのり子さんは顔を見合わせた。
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
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