その9
「QRコードでファンクラブに入会なんて、イマドキって感じよね~。」
そう言いながらのり子さんはウキウキで早速アクセスしている。オレと忠司さんもアクセスしてみると、そこは簡単な掲示板のような作りになっている。いくつかのスレッドが作られており、上から順に『ファンクラブのルール』『メンバー名簿』『澄子様 目撃情報』『みんなの願いが叶うスレ』『雑談』などで各スレッドそれなりの数の書き込みがある。
※スレッド…インターネット掲示板における話題のようなもの。見出し。
ルールにはインターネットで流布している、『ファンクラブは紹介制』や『澄子様を信じる者だけが入会できる』など大体そのまま同じことが書いてあった。
『メンバー名簿』によると、どうやら既に1000人ほど集まっているらしい。外国からも澄子様のウワサを聞きつけて日本に来る人がいるらしいから、恐らくメンバーは日本人だけではない。それにみんなイレーネだのアイスマンだの、ニックネームのような感じで表示されているようだ。
「インターネット上ではよくあることよね、本名を表示すると簡単に個人情報が流出してしまうもの。ルールのところにも書いてあるわ、電話番号や住所などの個人情報を掲示板に書かないでくださいって。」
でもそれだと、どのニックネームが誰なのか訳分からなくなりそうだけどな。そんなオレの疑問は忠司さんの言葉により一瞬で解消された。
「このQRコードの紙、くっついていて2枚めがあったぞ。こっちが本登録用で、自分の本名や電話番号などとファンクラブで使うニックネームを登録するようだ。どうやら掲示板とは別にして、個人情報を保管しているみたいだな。」
個人情報の取り扱いはかなり慎重なようだ、まぁ今の時代は個人情報保護法なんて法律があるくらいだもんな。
「八重島さんも雅樹くんも急いだほうが良いわよ、QRコードにアクセスしてから2時間以内に登録を行わないと、冷やかしと思われてファンクラブメンバー資格を剥奪されるみたい。アタシはもう終わったわよ。」
せっかく苦労してIFCの女社長に紹介してもらったのに、無駄にするわけにはいかない。それを聞いてオレと忠司さんも急いで登録した。
それより忠司さん、前に言っていた気になることってなんですか?この件に関することですか?オレちょっと気になっちゃって。
「あぁ、それはな…」
「ちょっと二人とも、そんなことよりすごいわよこの『みんなの願いが叶うスレ』、願いを書き込んでおくと澄子様が時間のあるとき気まぐれでどれか一つを占ってくれるんですって。わざわざ会いに行かなくても占ってもらえるなんてオトクじゃない?アタシも早速書いちゃった♪」
どれどれ、書き込みを見ると10秒前にイケメンで素敵な王子様とアタシが出会えますように!と書かれている。絶対コレのり子さんが書いたでしょ。
「いいから雅樹くんも八重島さんも書きなさいよ。せっかくファンクラブに入れたんだからやらなくちゃ損よ!」
忠司さんはキャッキャするのり子さんに呆れてパソコン席に戻ってしまった。でも確かに書くだけタダだしな。オレも結婚したいと思える彼女ができますようにと書き込んだ。
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※この話は一部フィクションです。




