食欲の前に理性がボロ負けた女の子の話
内容がぐっちゃぐっちゃでめちゃわかりにくい文章です。
それでも許せる方だけどうぞ。
今日は、10才になれば1人1つ授かる能力の測定日。
なのだが。それどころではない。
「腹が減って力が出ない」
そう。貴族の家で私は排泄物の掃除やらなんやらの下働きをさせられているのだが、給料がないに等しい。だから、飯が食えない。
6才の頃実家に売られ、貴族の屋敷で働くこと約4年。
給料が渡される時、『実家への仕送り代』やら『働かせて頂いていることへの感謝代』やら、謎出費of the yearをぶっちぎりで優勝できそうな項目で次々に薄給が前引きされ、手元に残るのは1週間分の食費ぐらい。
そのおかげで、お金の活かし方がやけにうまくなってしまったが、、、。
給料はとうに底をつき、培った金の回しかたでも太刀打ちはできない。
そんな腹模様だったが、行けば何か食えるかもしれないという希望を胸に教会へ向かった。
結果。
そんなことはなかった。
目の前には美味しそうなご飯どころか、頭が光輝く脂ぎったふくよかな方しかいらっしゃらない。
そういえば謎出費には教会代というのが含まれていた。
こいつらの贅肉は私の労働なのか、、、。
やたら庶民ということを強調してくる言動。
首や腕に輝く金の装飾品。
素晴らしいですね!!!!腐れ聖職者!!!
そしてとうとう私の番がやってきた。
ちなみに私の担当も似たような感じだった。
何???みんなお揃????食い過ぎじゃね???
まあ気にしても仕方ない。食欲からの妬みを抑えこんだところで、男がだるそうに測定を開始した。
「水晶に手を当てろ」
透明な水晶に触れる。ひんやりとしていて、触れていると体が冷めていく。
それを10秒ぐらいやっていると、男が声を上げた。
「おお!なんとこれは!!」
「なんだ!神聖な儀式中だぞ!!」
「僧侶の、癒しの力の持ち手です!!」
癒しの力、、、診療所とかひらけば金が稼げるだろうか。
ああ、頭が働かない。
こいつらは何を食っているんだろう。腹まわり私の身長×3ぐらいあるんじゃないか?
一昨日の私の飯は金持ちの犬の残飯だぞ??
昨日は食ってすらいない。
ひいこら言って税金を納めているのはこっちなのに。
そもそも未成年に銭搾り取るとかイカれてるよな、、、。
「こいつの名はなんだ?」
「アンというようです。庶民で神への貢ぎを疎かにしております!」
「なんという大罪だ!!」
貢ぎ(こいつらの脂肪)。ほぼ税だ。
あー明日あたり豚にならないかなあ。もうなってるか。ああ腹が減った。犬の残飯なんて量は知れてるし、一昨日の飯は美味かったようで残りは人差し指分もなかった。
「おい庶民!!お前には図々しくも僧侶の才がある!だから、、、、
、、、おい!聞いているのか!庶民!!」
ああ、こいつの腹の脂肪ですら美味しそうに見えてくる。でも絶対まずいよな、、、。私の銭で出来た腹。
「おい!!そのアホ面をやめろ!」
とにかく何か食べたい。気が狂いそうだ。さすがに自分の服を食べる気にはなれないが、なにかないか。目の前のやつが何か喚いているが、気にする気になれない。
顔を上げると、熱心に唾を飛ばしてくるデブと目が合う。見たくもなかったので顔を逸らすと、聖像と目が合った。
足元を見ると。
「ごちそうだ、、、」
捧げ物らしき食べ物が、ところせましと並んでいる。
大きなパンに、皮が綺麗な茶色になったチキン。きれいに焼かれた大魚には、光輝くタレがかけられている。一体何なんだかわからないが美味しそうな食べ物ものっていた。
食べたい。どうしようもなく、食べたい。
「もう、いいや、、、」
「そうだろう!滞の、、、神への冒涜を行なったお前を、その力を使うだけで許してやろうというのだから!!!
、、、なにをする!?」
神像に向かって走り出す。
すばしっこさだけは優れている。死ぬ気で走った。
思っていたより像は離れていたが、お陰でデブと距離をとれた。
「はあ、はあ、はあ」
あたりには良い匂いが充満している。さっきのハゲたちの香水ぷんぷん空間とは大違いだ。
目の前にはご馳走、パン、パンパンパン、、、。
我慢しきれず、噛みついた。
ほっかほかで、世界で一番うまい気がした。
もちもち食感の中に広がる優しい甘さ、、、外は硬いが、中はふわっとしていて極上である。
隣の鶏肉に、一口噛み付く。
蒸してあるのか、身はほろほろと柔らかい。皮はしょっぱくて、口の中のパンと奇跡を起こした。
私は出来る限りのスピードで、目の前の至宝を黙って貪る。
しかし、そんな幸せな思いを続けることはできない。
私は感動で泣きながら首を引っ掴まれ、測定部屋の真ん中に放り出された。
「なんということを!!!我々のごは、、、神への供物をむさぼるとは!!!極刑だ!!」
悲しい。もっとあのご飯を食べたい。
「極刑!?この神聖なる教会で、そのような野蛮な行為を!?」
脂ぎったデブその2が言う。
極刑、、、つまり、死刑ということか。
いやだ。死にたくない。もっと、ご飯を食べたい。
私が怯えていると、ぽんぽん話が進んでいく。
「いや、このような卑しいもののためにこの教会が穢されるというのは、なんとも嘆かわしいことだ。
、、、ラスエタの森に放りこもう!」
名案だ!というように、メタボはにやにやと笑う。
ラスエタ。この森林大国の中で、最も恐ろしいと言われる、どでかい森。
絵本に出てくる魔境代表格だ。
「それがいい!!
更生の機会を与えるとは、神もお喜びになりましょう!!!」
なにもよくない。
更生なんて名ばかりでは???死ぬよ???
それで喜ぶ神って、器小さすぎるだろ、、、。
笑われながら死ぬか、苦しんで死ぬか、死に方変わるだけじゃあないか。
1番身なりの立派な男が大声で命じた。
「こんな奴が教会にいるだけで空気が穢れる!!!
早く森へ連れていけ!!!」
そいつが命じると、ぞろぞろと兵がやってきて私の首根っこを掴んで連れていった。
、、、絶対、私よりあいつの香水の方が空気汚してるだろう。