10歳から冒険にでるには?
「おわああ…」
久々に野太い声が漏れ出した。こんなビッシャビシャの姿でも大丈夫だと言われ、可哀想だからと新しい服をと、まさかまさかと出してくれた…
着物だ。
とても高そうで、コスプレみたいなドレスなんかじゃなくて、ピンクと白の大きな椿柄の着物をプレゼントとして渡してくれた。
(確かこれって…ミルキィが代わりに来ていたやつじゃなかったか?本当は私が、着るやつだったんだ…)
「まあお嬢様!なんてお似合いなのでしょう!」
お嬢様だとぉう?
ロロナは一度たりと私をお嬢様だと言ったこともないし、そんな褒め称えるなんてしなかったぞ。
「グレース様に我が国の伝統衣装をプレゼントとして持ってきました。どうぞ受け取ってください」
「あ、ありがとうございます!こんなきれいな着物…着れるなんて!」
「でも後で捨てるか雑巾送りだろ?」
「シュナプシュ様…!」
シュナプシュの執事はとてもガタイの良くて、あごひげもあるかっこいい黒人タイプだ。そして足を広げてだらしなく座る黒髪のシュナプシュは見た目は中性的で、キレイ系のクソガキ。
こんなクソガキを思いっきり叱りつけたいだろうが、否占めるだけで、手を煩わせているのが分かる。こんなマカロンを頬張っといて「不味い」と文句をつける相手をしなきゃいけない執事さんが、なかなか可哀想だと思う。
見るからに執事として働くにはもったいない人材なのに…
私は自分が侮辱されていると感じている。
何か言えばコイツは揚げ足をとったり、手やら足やら出す。ドSだ。
いや悪魔だ。
あの時ですら何度も苦しめられて、アザが出来るわ物を盗まれるは散々な目に遭いっぱなし。神よ…母の愛する神よ。どうして私にこんな試練を与えるのですか?
私が神を信じないと決めたから?
これからも神を信じないぞ。
この言葉を言った時、私がどうなるか考えるだけでもおぞましいし、今でも見える分解された虫だったものが見えて震えそう。
だが…私は、これからも私を信じて堂々とする。
「この着物は捨てません!ボロボロになろうともずっと大切に着ていくつもりです!」
「はっ!生意気な態度しやがって!
媚を売らなきゃ水を止められるほど追い詰められた国風情が。なら本当に着続けるか見物だな!なあ!ダーウィン」
「シュナプシュ様…」
ダーウィン!貴方、ダーウィンって言うのね!
ゲームにも名前出てなかったのに、やっと聞けたぞ!
って、そんなことよりシュナプシュがギラギラとコチラを見ているのを感じる。
こんな時の目は「どう虐めてやろうか」と狙った目だと、経験から学習したことだ。
あゝ〜いやだ!早くここからでたいっ!
過去も、バッドエンドも変わらないと言うのなら国から出て―――
「ぁ。そうだ。旅に出よう…」
「は?」
ミルキィが着物を着たのですが、本来正しい着物の着方をしておらず。カーディガンのように上から着ています。もちろんグレースは正式な着物の着方をしています。