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ルドガーの悩み

 ルドガーがココにいると言うことは、きっとミルキィに会いに来たのだろう。

彼も災難だ。


主人公に会うまで、ずっと無視され、邪険に扱われ、それでも父親から親密になるよう促されて、背中を押されてばかりなのに、相手はいっこうに答えてくれない。今ならルドガーの気持ちが痛いほど伝わる…


「ルドガーは、ミルキィに追い出されたの?」


「あっ………いえ。その………」


ルドガーはとても気まずそうに私の隣に来て、同じように蹲ってしまった。


二人してどうしたら良いのか分からず、ジッとすみっコぐらしをしている。


「ツライよね。相手が自分を邪険に扱われて、苦しんでいるのに。周りはやれだけ言って、丸投げするんだもん…」

「…………そうですね。」


「何時に帰る予定?」

「えっと…5時です。」


「じゃあここで隠れておく?私も従兄弟を相手しなきゃだけど、耐えられなくて時間稼ぎしたいの。

1時間でも会う時間減らせば、気分的に楽だから…」


「……………」


ルドガーは弱々しくニコッと笑った。

ルドガーは自分の感情を表に余り出さず、周りの言いなりになりやすいタイプだ。

この笑顔も私に合わせて笑っているのかも知れない…


私はルドガーが、私を犯人だと責めていたという記憶がない。もしかしたら優しいリヴァリーが庇っていたから、責めないでいたのかも知れないけど。


他の奴らよりも嫌な感情が起きなかった。


だからこそ。


ルドガーがつまらない妹に、長い時間振り回されて、気を病む姿が我慢出来ない。


「ねえルドガー。私から妹との縁談を考えて貰えないか聞いてこようか?」


「え!?」


ルドガーが今まで見たことないくらい目をまん丸にして、感情らしい感情が表に出て、大粒の汗を流しだした。顔を青ざめるほど私のその言葉に恐怖したようだ。


「だってルドガー困っているんでしょ?ずっとお花やプレゼントを持ってきているのに、ミルキィは喜んでくれないし、今日だってミルキィが逃げ出してドコにいるのかわからない状態なんでしょう?

そんな嫌な話ってないでしょ!」


「そ、そんな…僕は嫌だと、思ってな…」


「気を使わなくて良いよ!あんな愚女!」


「ぐ、ぐじょぉ…?」


「あんなのに振り回されるだけで一日が終わってしまうなんて、ルドガーの貴重な時間が勿体ないよ!

ルドガーは頭良いし!この年で法律の勉強を学んでるんでしょ!?ミルキィには勿体ないくらいの優秀さじゃん!アイツ体調わる〜い。風邪引いて〜とかなんとか言い訳して、ゆうゆうと勉強サボる小賢しさなんだよ!そんな奴と結婚とかありえない!

もう月とスッポン…いや、そんな言葉じゃなくて。

ミルキィにはとても勿体ないって意味の〜…」


「猫に、小判…とか?」


「 そ れ だ ! 」

「フフフッ」


ルドガーが…笑った!


笑うと天使みたいに甘いマスクで。花なんて咲いてないのに、花が咲き乱れそうな輝かしい笑顔だ…!


ずっとスチルだけでしか見れなかった笑顔だったけど。こんなに生で見れるとは、破壊力ヤバかった。


思わず目をつぶり、手で顔を隠したくなった。恐るべし攻略キャラ。


「…ありがとうございます、グレース様。なんだか元気でました…」


ルドガー?彼の声が、とても弱々しくしていたはずなのに、まるで重みが落ちた事で声が軽くなった気がした。手の隙間からルドガーを見ていたら、見つかりたくない双子がやってきていたのが見えてしまった。


「げっ」


「こんなところにいたのか!」

「あれ〜?確かルドガーくんだよね?こんにちは〜!」


「リューク様、ユーリ様。お久しゅうございます。」


ルドガーがサッとお辞儀をして頭を下げていたが、リュークは気にも止めないで、私の腕を引っ張ってきた。ふとクビにしたメイドのロロナの顔が浮かんでしまい、グッと苦虫を噛む思いが蘇る。


「ほら。早く帰らないと怪しまれるんだよ!帰るぞ!」


「グレースーゴメンね〜、なんか嫌なこと言ったよね。機嫌直して戻ろうよ〜」


「…………っ!」


「…………お待ち、くださいっ」


 ん?と双子は、止めに来たルドガーに驚き。彼に集中した!いっ、いったいどうしたんだルドガー!?

お前はそんな、攻略キャラとして仲間になって、ギリギリになってから。そんなイベントみたいな事を言い出すはずだろう!?

つまり、早すぎないか!?

そんなルドガーの劇的変化に驚き、固まっていたら。ルドガーが私に強く掴んだ手を離してほしそうに手が伸び、ゆるりと離してくれた!


「グレース様が、嫌がっております…」


不貞。と言われてしまうのはルドガーが一番分かっている事だろうに、私を助けたいと手を出してくれたのだ。

リュークはびっくりしてて、怒るどころか「す、すまない…」等と間抜けな返しをして許してしまった。


「あっ」と気がついたが出した言葉を引っ込める事が出来なくて、ぐぬぬっとしていたので、思わずクスッと笑ってしまう。


「ルドガー、ありがとう!」


ルドガーは何も言わなかったが、ニコッと笑った。

あの時の笑顔とは違う、感情がある照れ笑いな笑顔。


「じゃあ見つかっちゃいましたので、双子の相手するかな…」


「なあ!?」


「じゃあねルドガー!お父様に相談しちゃうね!」


双子をそのまま見捨てるように先に歩いて、手を振った。相手が私に敬意を見せないのだから私だってこんな態度しても許されて良いはずだ。

改めるまでこのままだぞ、双子。


ルドガーとの距離が遠くなっても、ずっとコチラを観ていた…と思ったら。


♡♡♡


「!!?」


私、ルドガー攻略してるーーーー!?

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