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走馬灯
なんだ、何が起きた。
意識ははっきりしている、人の声のような、アクリル板で遮られているように、ぼやけた声が頭の中に反響してうるさい。
確か、さっきまでスマホを見ていた、そうだ帰りの連絡を入れようとしていた。スマホはどこに行っただろうか。
視界が真っ暗であることに気づくのと、体の感覚がないことに気づいたのは同時だった。
「……っっぁ」
何かがおかしい、異常であることを叫ぼうとしても喉は小さな破裂音を漏らすばかりだった。
「——ッ!!———しろ!!————ッ!!」
運ばれているのか、揺さぶられているのか、誰か近くにいるようだ。
そんな誰かの想いを嘲笑うように、脳味噌が役立たずになっていく、あたまが、まわらなくなって、いく。
全てを失った直後、触られたような気がした。