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セイクリッドアビリティ 神様の能力を授かった少女達  作者: イツキヤロ
セイクリッドアビリティオタク編
8/30

7話 美少女転校生のおふざけ(?)

 午後3時半過ぎ。放課後の教室で牛尾悠香(うしおゆうか)は前の席に座っている馬田杏樹(うまだあんじゅ)と話していた。


「悠香。いくらなんでも寝すぎだろ。授業中寝るのはまだしも、いつもは必ず起きている休み時間にまで寝てるなんて」

「昨日あまり寝れなかったんだよ」

五十嵐(いがらし)さんと一緒に過ごしたからか?」

「は? 杏樹! なんで知っている!?」

「五十嵐さんすっごいニコニコしながらあたしに自慢してきたぞ? ……昨日ね~! 私と悠香ちゃんで一夜を過ごしたんだ~! 悠香ちゃん全然襲ってきてくれなかったから私が積極的にヤったよ~! ……って言ってたぞ?」

「な、なんだと……」


 牛尾悠香は度肝を抜かれた。五十嵐灯里は牛尾悠香との仲が良い事を知らせるためにとんでもない嘘を馬田杏樹に言っていた事を。牛尾悠香はかなり焦った。


「灯里は嘘をついている! あたしと灯里が昨日同じ部屋で寝たのは本当だ! だが! あたしは灯里にヤられたりはしていない!」

「それこそ嘘だな! だって五十嵐さんはセイクリッドアビリティをもってるんだぜ? セイクリッドアビリティオタクの悠香が抗うはずが無いね!」

「おい杏樹! あたしはセイクリッドアビリティを探求するのが好きなんだ! セイクリッドアビリティをもってる人に襲われるなんてちっとも好きじゃない!」

「いやいやそんなはずはないね。悠香の事を誰よりも愛している五十嵐さんに命のセイクリッドアビリティで命尽きる程イかされたんだろ?」

「そんなわけ無いだろ! あんなのとイく……絶頂なんてするもんか!」


 牛尾悠香は席から立って、教室に響く程の大声を出した。堂々と「絶頂」という言葉を大声で言ったのだ。なので、教室で生徒と話していた担任の平井貴音(ひらいたかね)が牛尾悠香のところに来た。


「牛尾さん! 絶頂なんて言葉をそんな大声で言ってはいけません! そういうのはもっと静かに言ってください! あと! 五十嵐さんの事をあんなの呼ばわりするのもいけません! 牛尾さんの事を愛している純粋な女の子なんですからね!?」

「うわっ! 先生まで! 灯里はあたしを愛してるんじゃない! 馬鹿だからふざけてるんだ!」

「まぁ! 牛尾さんなんてこと言うんですか!? 五十嵐さんからの愛をそんな風に言うなんて大親友失格です!」

「灯里は大親友じゃない!」

「そんなはずありません! 今日五十嵐さんのお母さんから電話がありました! 五十嵐さんは24時間365日ずっと牛尾さんの事を考えていたと! だから五十嵐さんが牛尾さんと過激な事をしてもあたたかく見守ってあげてほしいと! そう言ってました! お母さんが言ってるんですから五十嵐さんは牛尾さんを世界で1番愛していて間違いありません! 私に言わせてみれば牛尾さんと五十嵐さんは大親友でいるよりも恋人になった方が良いと思います!!」

「う……うぅ……」


 牛尾悠香は平井貴音の勢いに()されてしまった。牛尾悠香は思った。


(灯里めぇぇぇ!! あたしの平穏が崩れてしまったじゃないか! くっそぉぉ!! 葵美(あおみ)がいない時は本当に厄介だ! ……葵美は灯里を24時間魅了する事はできないのかな? いや、できないのだろう。できるなら既にやっているはずだからなぁ)


 平井貴音は教室内を見ながら馬田杏樹に聞いた。


「馬田さん。五十嵐さんはどこですか? カバンがあるのでまだ帰ってないはずなんですが」

「そうですね。トイレにでも行ってるのかなぁ? 五十嵐さんに用があるんですか?」

「いえ、普段なら牛尾さんにべったりくっついている五十嵐さんがいなかったのでちょっと気になっただけです。トイレなら別に良いのですが……」


 平井貴音は馬田杏樹との話しを終えると教室から出ていった。馬田杏樹もカバンを持って、席を立った。


「あたしはそろそろ帰るわ。悠香はちゃんと五十嵐さんを待ってやれよ!」

「え? 先帰るけど?」

「お前はクズか」

「クズじゃない。カップルみたいに見られるのは恥ずかしい!」

「良いじゃないか。美少女の五十嵐さんとカップルなんてみんなから羨ましがられるぞ?」

「あたしは美少女なんて求めてない。セイクリッドアビリティの探求だけが大事なんだ!」


 普通の人が理解できない事を平気で言う牛尾悠香。馬田杏樹は理解不能と言わんばかりの態度をとって教室から出ていった。

 教室内の生徒は牛尾悠香だけになった。カバンを教室に置いたままにしているのは五十嵐灯里だけである。


(灯里が戻ってくる前に帰るか。めんどくさいしな)


 牛尾悠香は電気を消して教室から出た。左右を見るが、五十嵐灯里は見当たらない。牛尾悠香は早足で下駄箱に向かった。




 牛尾悠香が教室を出た少し後。五十嵐灯里は教室に戻ってきた。


「あれ~? 悠香ちゃんもう帰っちゃったの~? も~酷いな~。こんなに愛してるのになんで受け入れてくれないのかな~? 悠香ちゃんと私は結ばれる運命なのに~!」


 五十嵐灯里は教室の窓から外を見た。すると、校門の前に牛尾悠香がいるのを発見した。


「悠香ちゃんはっけ~ん! 逃がさないよ~! すぐに追い付くからね~!」


 五十嵐灯里はカバンを持つと、急いで牛尾悠香のところへ向かった。

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