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セイクリッドアビリティ 神様の能力を授かった少女達  作者: イツキヤロ
セイクリッドアビリティオタク編
5/30

4話 美少女転校生と邪魔者

 午後4時過ぎ。牛尾悠香(うしおゆうか)五十嵐灯里(いがらしあかり)に連れられて五十嵐灯里の家に向かっていた。

 五十嵐灯里は牛尾悠香の腕に自身の腕を絡めて、ニコニコしながら牛尾悠香に話しかけた。


「ね~悠香ちゃ~ん。私ね~悠香ちゃんが家に来てくれるのすっごく嬉しいよ~!」

「灯里が無理矢理連れてきたんだろ。まぁ……セイクリッドアビリティをもってる灯里の妹に会えるのは嬉しい事だけどな!」


 すると、五十嵐灯里が頬をぷくーっと膨れさせた。


「むぅ!」

「え? なんで急にそんな顔する?」

「私もセイクリッドアビリティあるんだけど~!?」


 今日の朝、五十嵐灯里が牛尾悠香にセイクリッドアビリティを授かっている事を話した時は喜んでくれなかった事でちょっと怒っているのだ。


「私がセイクリッドアビリティを授かった事言った時なんで喜んでくれなかったの~!?」

「いやいや、命のセイクリッドアビリティと聞いて驚いちゃったんだよ! あの事件の事を知ってるからさ!」

「それでもセイクリッドアビリティ大好きな悠香ちゃんなら喜んでよ~! 悠香ちゃんがすごく喜んで私に愛し合おうって言ってくれるの期待してたんだよ!?」

「そんな事言うわけないだろ! なんで灯里と愛し合う事になるんだよ! そんなのお断りだね!」

「うわ~! 酷いよ~! そんな意地悪な事言う悠香ちゃんには私のセイクリッドアビリティで私無しじゃ生きられない体にしちゃうよ~!?」

「セイクリッドアビリティで脅すな!」


 五十嵐灯里は牛尾悠香の腕に絡めている腕の力を強めた。牛尾悠香は痛がりながら五十嵐灯里の肩を片手で押して離れさせようとするが、全然離れさせられなかった。


「私の家までこのまま~!」

「離れろ! カップルと思われる!」

「いいじゃ~ん! カップル~! 私と悠香ちゃんは愛し合ってるカップル~!」

「止めてくれぇ恥ずかしい!」


 リア充みたいにイチャイチャしている五十嵐灯里と牛尾悠香。そんな事しているうちに五十嵐灯里の現在住んでいる家の前に来た。その家はお金持ちが住みそうな大きめの家だった。


「灯里って金持ちだったのか……」

「お父さんとお母さんがいっぱい稼いでるだけだよ~!」

「……へぇ」

「さ~入って~! 悠香ちゃんだからいっぱい歓迎するね~!」


 五十嵐灯里は牛尾悠香の腕に自身の腕を絡めたまま、家の門を開けた。その時、近くを通った不細工な男が五十嵐灯里を指差した。


「まてぃそこの女ぁ! てめぇセイクリッドアビリティをもっているな! 俺は山田魚太(やまだうおた)! 邪魔のイビルアビリティをもっているぞ! さっそく邪魔してやる!」


 不細工な男――山田魚太は勝手にしゃしゃり出てきて勝手に名乗った後、ファイティングポーズをとった。

 山田魚太の名乗りを聞いて牛尾悠香は五十嵐灯里に言った。


「灯里。あれはアホのイビルアビリティ教のアホ信者だ。セイクリッドアビリティをもってる人を見つけると嫌がらせしようとするけど確定で返り討ちにされるアホな奴らだ。あれはしつこいけどザコだから適当にあしらっとけば良いぞ」

「うんありがとね悠香ちゃ~ん」


 五十嵐灯里はニコニコしたまま牛尾悠香から離れて、ファイティングポーズをとっている山田魚太に近づいた。


「おお! 自分から邪魔されにくるなんていい度胸だ!」

「そうだねっ!!」


 五十嵐灯里はすばやく動くと、山田魚太の胸ぐらを掴んだ。すると、五十嵐灯里は急に冷酷な表情になった。さっきまでのニコニコした表情ではなくなっていた。


「ね~山田魚太~。私ね~、イビルアビリティの事がものすっごく大っ嫌いなんだ~。だから~……消えてくれな~い?」

「は? てめぇなまいき――」

「消えてくれないと殺すよ~?」

「なまいきだっつってんだ――」

「消えろよクズが」


 五十嵐灯里の声のトーンが一気に落ちた。しかも、威圧するような目をして山田魚太に殺意を向けた。


「はぁ? そんな目で見られても消えなぁい! さぁ! 邪魔してやる!」

「そっか~。……じゃあ死ね」

「はぁ? はぁぁ? 死なね――うっ」


 突然、山田魚太は呼吸ができなくなった。


「う、お、おい、なにしや……」


 呼吸ができなくなり、喋りづらくなっている山田魚太。だが、五十嵐灯里は山田魚太の胸ぐらを掴んだ状態で、山田魚太の腹を殴り始めた。


「おげっ……やめっおげぇ……」


 山田魚太はもがき苦しんでいるが、五十嵐灯里は容赦なく山田魚太の腹を殴り続けた。


「……し……じ…………」


 山田魚太の意識は消えかかっていた。五十嵐灯里は山田魚太の意識が消えそうなのを確認すると、胸ぐらから手を離し、腹を蹴って道端に倒した。その直後、山田魚太は呼吸ができるようになった。


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ……なにしやがった……いったいなにを……」


 おどおどして震えながら喋る山田魚太。五十嵐灯里は山田魚太に近づいて山田魚太の髪を引っ張って顔を合わせた。


「今のはね~。私のセイクリッドアビリティで呼吸できないようにしたんだよ~。私は命のセイクリッドアビリティだからさ~、体の機能を簡単に止める事ができるんだよ~」

「ひぃっ!!?」


 五十嵐灯里は笑みを浮かべながら(目は笑っていない)、震えている山田魚太に説明した。説明し終わると山田魚太の髪を離した。


「す……すみません……」

「はぁ? なんてぇ?」

「すみませんでしたぁ!!」


 山田魚太は急に土下座して五十嵐灯里に謝罪した。五十嵐灯里はゴミをみるような目で山田魚太に対して喋り始めた。


「謝るんだったらさ~。二度とその顔見せないでくれる~?」

「はい。約束します」

「あと~、他のイビルアビリティの奴らにも伝えといて~? 私や私の妹に近づいたら問答無用で殺すって~」

「伝えます! 絶対に伝えます!」

「それでいいよ~。じゃ~、さっさと消えろ」

「はいぃ!」


 山田魚太は全速力で走ってすぐにいなくなった。


 五十嵐灯里は山田魚太がいなくなった途端、可愛い笑顔になって、牛尾悠香の方を見た。


「ごめんね悠香ちゃ~ん! あのクズの相手するのに時間使っちゃった~! 早く入ろ~!」

「……う、うん」


 牛尾悠香はさっきの五十嵐灯里の態度に関して思った。


(灯里。事件の事があって闇を抱えてるな。あそこまで態度が激変するなんて普通あり得ないし。……てかあんな脅され方したらあたしでも恐怖で逃げ出すわ)

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