2話 美少女の母親
月見里友梨香のベッドの上で小鳥遊光紀は目覚めると、窓の外がすっかり暗くなっている事に気づいて時計を見た。
「え!? 9時前!? 早く帰らなきゃ!」
小鳥遊光紀と月見里友梨香がディープキスを終えたのは午後4時半過ぎなので4時間以上寝ていた事になる。
小鳥遊光紀はすぐに月見里友梨香のベッドから降りて月見里友梨香の部屋から出ようとした。だが――、
「光紀。行かないで」
「え? ちょっ、きゃあ!」
瞬間で目覚めた月見里友梨香が風のセイクリッドアビリティで強烈な風を起こし、小鳥遊光紀を月見里友梨香のベッドに戻した。小鳥遊光紀は焦りながら月見里友梨香に言った。
「ダメだよ友梨香ちゃん! 早く帰らないとお母さんとお父さんが心配しちゃう!」
「ん? 私よりも両親の方が大事なの?」
「そ、そうじゃないけど……」
「なら良いでしょ? 私、まだ光紀と一緒にいたいわ。だから帰らないで」
「で、でも……明日から旅行だからお母さんとお父さんと一緒に準備を……」
小鳥遊光紀が言う旅行は月見里友梨香の家族3人と小鳥遊光紀の家族3人で行く家族旅行の事である。
「準備? もうできてるはずよね? 光紀の家族ってそういうのしっかりする方でしょ?」
「それはそうだけど……明日の朝慌てないようにお母さんとお父さんとしっかり相談しておきたいの」
「……どうしても帰るの? 私は光紀と一緒にいたいのに……」
「わたしだって友梨香ちゃんと一緒にいたいよ? でも旅行の前に家で準備を完璧にしておきたいし、服装や身だしなみを整えておきたいの!」
「…………」
「……旅行中は友梨香ちゃんと一緒に色んな所に行くよ? わたしと友梨香ちゃんのデートとということで恋人らしい事しよ?」
「デート……恋人……。嬉しいわね。旅行中は絶対に離さないからね?」
「わかった! それじゃあ今日は帰るね!」
「また明日ね」
「うん!」
小鳥遊光紀は月見里友梨香の部屋を出ていった。1人になった月見里友梨香は自身の唇を人差し指で触りながら思った。
(光紀……キスしてから更に好きになったわ。好きすぎておかしくなりそう……。旅行中に私の事以外考えられなくしてあげるわ)
月見里友梨香はとても大事な決意をした。
家に帰った小鳥遊光紀はすぐに台所に行った。そこで小鳥遊光紀の母親――小鳥遊美樹が洗い物をしていた。
小鳥遊美樹は現在37歳なのだが、容姿がとても若々しく、小鳥遊光紀の母親というよりかは小鳥遊光紀の姉と言える程の美女である。
小鳥遊美樹は帰って来た小鳥遊光紀を見るとニコッと笑った。
「お帰り光紀! 友梨香ちゃんとイチャイチャしてきたの?」
「……そ、そうだけど……なんで知ってるの?」
「光紀と友梨香ちゃんはカップルだと思ってるからよ?」
「カップルかぁ。それ友梨香ちゃんが聞いたらすごく喜ぶと思う!」
「そうね! まぁ亜里沙も同じ事言ってたけど」
小鳥遊美樹が言った亜里沙とは月見里友梨香の母親の月見里亜里沙の事である。
小鳥遊美樹の1歳年下の36歳で、容姿はとても若々しく、月見里友梨香の母親というよりかは姉と言える程の美女である。
「友梨香ちゃんのお母さんも知ってるんだ」
「当たり前よ。光紀と友梨香ちゃんがいつもイチャイチャしてるカップルだっていうのはお父さん(小鳥遊光紀の父親)や友梨香ちゃんのお父さん、親戚や近所の人は普通に知ってるよ? それどころか学校とかでも知られてるし」
「すごい! みんなに知ってもらえてるんだ!」
「そうよ。みんな光紀と友梨香ちゃんのカップルがあまりにも尊すぎて幸せそうだわ」
「と、尊いだなんて……」
「これからは友梨香ちゃんともっとイチャイチャするといいよ。いずれは結婚するだろうし」
「け、結婚!?」
「何を驚いてるのよ。光紀と友梨香ちゃんが結婚するのはもう当然の事でしょ?」
「ま、まぁ確かにそうだね……」
小鳥遊光紀はほっぺを赤くしながら思った。
(友梨香ちゃんと結婚かぁ。2人で綺麗なウェディングドレス着てみんなの前でキスとかするのかな? 毎日一緒にお風呂に入ったり一緒のベッドで寝たりするのかな? 毎日キスしたりエッチな事したりするのかな? う~ドキドキとワクワクが止まらないよぉ!)
小鳥遊光紀はとても可愛くニコニコしながら台所の椅子に座った。
小鳥遊美樹はとても幸せそうな表情をしている小鳥遊光紀を見て思った。
(光紀。友梨香ちゃんと結婚した時の事を考えているな。きっと永遠に幸せになるんだろうなぁ。でも子供とか欲しくなったりするのかな? 女同士だからそのままじゃ作れないし。作るには特殊な方法を使うか誰かのセイクリッドアビリティを使うしか無いかな?)
小鳥遊美樹は小鳥遊光紀に聞いた。
「光紀と友梨香ちゃんの子供を作るためにはどんな方法があると思う?」
「こ、子供!?」
「何よ。結婚するんだから子供だって欲しいものでしょ?」
「そ、そうだけど……。子供を作る方法かぁ。やっぱりセイクリッドアビリティとか?」
「そうよねぇ。でも光紀は雷で友梨香ちゃんは風。これでは子供が作れるとは思えないね」
「う~ん……命のセイクリッドアビリティを使える人がいれば作れるんじゃない?」
「命のセイクリッドアビリティ……。あ! それなら友梨香ちゃんのお父さんが知ってるかも! 友梨香ちゃんのお父さんはセイクリッドアビリティ好きだからよく他のセイクリッドアビリティ好きとチャットしてるって聞いたわ! そのチャットしたる他の人の中に最近命のセイクリッドアビリティを持ってる女の子と会ったっていう人がいるみたいなの!」
「そ、そうなの!? で、でもチャットだから実際に会えるわけじゃないでしょ?」
「まぁそれは向こうの人によるわね……」
「……できれば会いたいな。そうしたらわたしと友梨香ちゃんの子供を作れるかもしれないんだし」
「そうね。光紀と友梨香ちゃんの子供。見てみたいわ」
小鳥遊光紀と小鳥遊美樹は将来産まれるかもしれない小鳥遊光紀と月見里友梨香の子供の事を考えながらニコニコしていた。