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【超絶簡単】新型コロナウイルスのパンデミック化とレイシズム、脱大衆

作者: 夏井 悠

 2020年3月11日。


 日本国民にとっては東日本大震災復興の現在を知るためや、今後の自然災害に対する意識向上のために全てのメディアが当てがわれるはずだった日。


 この日のニュースは、そんな過去から未来へと繋ぐものではなかった。コロナウイルスのパンデミック化。WHOのテドロス事務局長がそれを宣言した。そんな現在にフォーカスをあてたニュースが飛び交った。


 これを宣言したところで、それに法的な力が宿るわけではないらしい。形としてそうする。各国の対応はすでに始まっており、実際的な変化はないと思われる。これが専門家たちの意見だ。


 これに関して、私は全く同意見だ。そう宣言したところで実際的な変化は特には起こらない。


 変わるのは形だけ。『アジアのウイルス』から、『世界のウイルス』もしくは『アジアから世界に広がったウイルス』へ。


 今後世界の認識がどちらになるのかは分からない。筆者は後者になると考えているが、それも大衆の意識による。そのようなものは天気一つで変わってしまう。


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 新型コロナウイルスが中国と日本を中心に猛威を振るっていた頃、あれはもはや過去だ、レイシストによって『コロナウイルス』はアジア人の代名詞にされた。


 ルイ・ヴィトンがインスタグラムに投稿した写真。被写体が広瀬すずだった写真のコメント欄では、レイシストによる暴言の数々が見受けられた。


 また、パレスチナでは日本人女性が『コロナ、コロナ』と言われ髪を引っ張られた。髪を引っ張ったパレスチナ人の女性は逮捕されたが、このニュースはテレビでも報道され、読者の中にも気分を害した方も多いだろう。


 このコロナウイルスの代名詞化は、時代錯誤的ながらもなかなか拭いにくい問題ではなかろうか。


 ウイルスという人類絶対の敵と、レイシストにとっては野蛮な猿であるアジア人。これほど噛み合うものはない。


 アジアとそこに住む『人型の生き物』は劣っている。だから新型コロナウイルスという災厄を生み出し蔓延させ、経済に打撃を与えている。


 出来損ないが悪を生み出しているのなら、その出来損ないも悪だ。白人と同じ地球で存在していることすら許しがたい。


 日本にレイシストはいないわけだから実際彼らがどう考えているのかは分からない。だがこのようなところが彼らの考えではなかろうか。つまり、レイシストは新型コロナウイルスほど自分達の意見を強く支えるものを放って置くわけにはいかないのだ。


 そしてこの欧米とアジアを分けて考えるということが問題なのだ。


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 前に述べた、コロナウイルスのパンデミック化によるそれの『世界のウイルス』もしくは『アジアから世界に広がったウイルス』への大衆意識の変化。これは前向きにしろ後ろ向きにしろ白人、主にレイシストの考え方に変化をもたらしかねない。


 まず前者について考えを述べよう。前者はレイシズムの観点から、前向きなものだ。当然ウイルスが世界で猛威を振るうということは後ろ向きなものだ。


 だが、その勢力が全世界でおおよそ同じ程度になってくるともはやそれはアジアの問題ではなくなってくる。世界で同様に広がっているのだ。アジアに非は無い、というようにレイシストではない大衆が考えればそれだけでよい(レイシストがそう考えてくれれば手っ取り早いのだが)。


 大衆の意識は周りに伝染し、本来その色に染まるとは思われなかった人々も影響を受けてしまう。それが大衆意識というものだ。特にレイシストは自分たちのことを正義だと信じてやまない訳だから、周囲の目が痛いと感じればそれは誤っていたと気がつく。


 レイシストがこれをキッカケに人種差別を辞めるだろうとは全く考えていない。だが、コロナウイルスによる溝の広がりは収まるだろうという話だ。


 逆に後者の場合、これは全く後ろ向きだ。


 レイシストはアジアに対する怒りと嫌悪感を一層募らせるはずだ。これが我々日本人にとってどれだけ面白く無いことか。


 想像しやすい例を出すならば、例えばそれは東京オリンピック、仮に開催するとして、におけるヘイトスピーチの懸念だ。


 彼らの中には、アジア人が嫌いならば関わらなければよいものを、ズカズカと入ってきて言いたいことだけ言って帰るという困った者がいる。ここに、自国が負けたサポーターや酒に酔ったレイシスト予備軍が混ざるとより厄介なことになる。


 その後も欧米へ行くと根に持ったようにしつこく『コロナコロナ』と言われるかもしれない。これは全く面白くない。


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 上に述べたどちらのシナリオも、特に分かりやすい対極のシナリオを述べただけだ。しかし現実はもっと複雑だ。前者のように『コロナネタ』を諦めるレイシストと、諦めずにストックするレイシストがいるかもしれない。というよりもおそらく両方現れる。


 これも全て大衆に左右される。トイレットペーパー買い占めの現状の元となった騙された人々もいわゆるその大衆だ。


 大衆は自分で物事を判断しようとしない。情報化されたこの社会において、その能力はあまり重視されない。だがしかし、その結果としてこのような無責任な社会が出来上がってしまっているのだ。


 脱大衆とは何か優れた点を持つことではない。自らで判断する能力と覚悟を持つだけなのだ。天気に判断を左右されるでも、ソースの分からない情報を信じるでも、肌の色の違うヒトを差別するでもなく、自分で考えて判断する。


 これが脱大衆だ。


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 レイシズムと大衆化は現代において非常に大きな問題だ。この文章ではどちらも非常に簡単に撫でただけで、特に大衆化と脱大衆に関してはもはや何も語らなかったに等しい。


 しかし、新型コロナウイルスという生物医学的な問題も人が絡んだ瞬間にそのような社会的な問題に直結する。


 それを意識して世の中を見るか否かで、生活の充実度が変化するだろう。この文章をキッカケにそういったことに興味を持つようになる読者の方が一人でもいれば、私はこの文章をかくことができて満足だ。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。


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