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その04:アルバイトでタンバリンもってステージに乱入するのは俺だけだと思う

一般的なバイトといえばなんだろうか。

ファーストフードとか…居酒屋?

家庭教師ってのもあったりするけど…縁とは恐ろしいもので何故か俺はファンタジー物にありがちな冒険者ギルド的酒場にいたりする。

まぁ、ここで上の人の指示に従ってあれこれするって訳なんだが…内容が多少一般的で無い訳で…


「おはよーございまーす!」

「おーよく来たなーソウイチ!今日も下僕らしく馬車馬のように働けよー!」

「ジンさん!?お手柔らかにお願いしますよー…」

「全く…ソウイチ君?最低限ヤることヤってくれてればジンくんのツケで飲むなり好きにしてて良いからね?」

「ヨルさん、自分ギリ未成年なんでそれは成人後のお楽しみにするっス!」

「おーう飲め飲めー」

「ジンさん、あと3ヶ月!今日じゃないからね!?」


豪快な物言いしてるパーソナルカラー緑のおっちゃんと大人の色気漂う女性はジンさんとヨルさん。

実はフルネームは知らなかったりする。

二人はステージで演奏するミュージシャンでついでにここを趣味で共同経営してる所謂お金持ちってやつだったりする。


二人…と言うかジンさんと出会ったきっかけはジンさんがストリートライブで超絶技巧なキーボードしてるのをガン見してた時だ。

なんか目があったあと、おもむろにパーカッションを用意されて「こいよっ!」って感じで手招きされたんで乱入したのがきっかけ。

そん時は何故かジュディも乱入してタンバリン合戦やったりと一緒に遊んでたメンツほったらかしで滅茶苦茶やっててスゲー面白かった。終わった後、良かったところを口早に色々喋りまくってたらいつの間にかここで働く事になったから…まぁ、縁ってあるもんなんだと思う。


「さて、そしたら準備していきます」

「ソウイチ、今日は3バンド出るから真空管アンプ2セットだな」


俺はとっさにジンさんから飛んできた一言から今日の流れを想像して答え合わせするように別の内容を聞く。


「マイクは?」

「5ライン、まぁメインで使うのは1本でラストのバンドで3,4本だしってイメージだ」

「OKっす!そしたら下座に出せるよう待機させて一本は司会用においときますね!」


ぱっぱと手早く今日のセッティングの打ち合わせを済ませて準備に取りかかる。

そう、俺のバイトは所謂バンドのローディーと言うやつでステージ上の機材の取り回しなどを行う仕事をしていたりする。

ここのローディーはなかなかに破天荒な業務でイベント中にワザと演者がノリで持ってきた黒子の衣装を着させられたり、ライブパフォーマンスで演者の刀で切られたりする。とにかく面白そうなことは大体OKを出す緑のおじさんのおかげで(せいで?)ステージの準備含むありとあらゆる事をしこんで貰っていて、最近では出張イベントで照明やDJのまねごとまでしてて最早、何でもありだ。


「やっほー!ソウイチ君!今日は宜しく頼むよー」

「みなさん、今日はよろしくお願いします!」


そうこうしている内に今夜のステージの演者がやってきてリハーサルの時間が始まる。今回は無茶ぶりが無いと良いんだが…




「…ふぅ」

「お、さぼりかーソウイチ?」

「ハルカじゃん、お疲れー?因みに今は休憩中、所謂インターバルってやつだよ」


実際にステージが始まってしまえばある程度はやることも無く、割と端の方で樽っぽい形のジョッキでコーラを飲んでいた俺に最近くるようになったハルカが声をかけてきた。


「あれ、ジュディは?」

「ん」


ハルカが軽く顔を傾けて左親指を後ろに指すとそこには完全に風景に溶け込んだジュディスが背の低いおっちゃんと飲み比べしていた。

今やってる演奏が弦楽器のアンサンブルのせいで完全に異世界っぽい雰囲気になってるのがちょっと笑える。


「おーおーやってんな、面白外国人。」

「あれでも4カ国語ぺらぺらの才女なんだけどねぇ…」

「と、5カ国語ぺらぺらの才女が申しますか」

「いや、私はぺらぺらって訳じゃないわよ?と、いうかコーちゃんから聞いたんだけど」

「ん?」

「あんた、今2次元の美少女の追っかけしてるんだって?」

「どこをどう曲解したらそうなるんだよ!?」


大きくツッコミを入れると、それに気づいた。ジンさん、ヨルさんがこちらにやって来て俺をいじり始める。


「おいおいソーイチ、こんなかわいい子がいるのに2次元にしか興味が無いとは…もしかして玉無しか?」

「あらあら…残念ねぇ…」

「ジンさん、ヨルさん!?そういう話じゃないっすよ!?」

「じゃあどういう話なのさー?」

「いや、ちょっとツーリング?先で会った娘の話なんだけどさ…」


子供がシールを貼るみたいに適当にレッテルを貼り付けてくるハルカとわかってて乗ってくるジンさん、ヨルさんに仕方なく山で女の子に2度あったと端的に説明する。…と言うかこういう話ってさ…異性にすんのはばかれない?

女性陣のニマニマする顔は単純に羞恥心がやばいんだけど…


「あー…つまり一目惚れ&その子にゾッコンって話ね」

「ゾッコンっていや、まだそんなんじゃ…と言うか、ヨルさんも分かってもらえました?」

「んー…いいねぇ…若いって素晴らしいわ…」

「…」


年齢不詳な美貌を持つヨルさんがそんな事を言っている横でジンさんは無言であったのでつい、声を掛ける。


「ジンさん?」

「…俺もかみさんとこ戻って思い出語りたくなってきたわ!ヨル、ソーイチ、今日の進行少し巻きで良いか!?」

「はいはい、奥さんにはよろしく言っといてね」

「…え、マスターの奥さんってヨルさんじゃなかったの?」

「あれ、ハルカは知らなかったのか?…あ、ジンさんステージ乱入!?早いなおい!?」


ハルカに実は…と詳しく話す時間すら与えてくれずジンさんがステージに楽器持って乱入していくのが見えた。


「初耳よ!?っていうかここやっぱりすごいわね…皆、滅茶苦茶なのになぜか調和がとれてる奇跡のバランスで…」

「ハルカ、ソウイチ!Well come!」


ジュディが手招きして俺らがステージに上がった時点で大人しい、お上品な?時間は終わりを告げた。

いきなり早くなったステージ進行はそのままジャム・セッションにもつれ込む。

超絶技巧なジンさんヨルさんのお店にはやはり超絶技巧の演者がそろう様で、突然の進行の変更にも余裕で対応できるプロっぷりを見せつけてくれる。

裏方、業務はかなりハードだがここはホントに面白い事をする所だとつい、笑顔が出てしまう。


「ソウイチ、何かあったら俺に言えよ?出来ることあったら手ぇ貸してやるよ!」

「…っ!ありがとうございます!」


全く縁ってのはすげぇもんだよな。忙しく回るステージの上で俺はそう思った。

大体登場人物出てきました!

次回から話を展開させていこうと思います!


よければブックマークの方、よろしくお願いいたします!

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