その02:クラスメイトは面白外国人だったりする
本日のみ2話めも投稿させてください!
「「「狐耳の美少女が人気の無いところからいきなり現れて消えた??」」」
構内のカフェテリア…そこまでかっこよくないな。チキンかつを中心に出してくリーズナブルな食堂でジャンカツ定食を掻き込みながら今朝の俺の話を聞いていた三人は何を言っているんだこいつはと言わんばかりにこう聞き返してきた。
「何をいってるんだこいつは」
ハカセが実際に言ってきた。
「いや、マジであった話なんだって!」
懐疑的な友人ズに弁明するように俺は語気を少し強めに信じてくれといった。
まぁ、気分はオオカミ少年だ。
「え、でも朝練ってあの峠のとこから降りたとこだろ?」
「いやいや、前ニケツしていった峠からそれて林道上るやつ」
「ガチで山じゃん!?」
「あーソウイチ?僕とコーちゃんは行ったこと無いけどそんなに人気無いの?」
「近所に住んでる人と見間違えたんじゃ?」
実際見たことの無いコーちゃんとミコトはあまり状況がつかめないらしく、別の人と間違えたのでは?と聞いてくるのでおれとハカセは朝練でよく走るコースの事を端的に説明してみる。
「ぶっちゃけ見た目登山道」
「えっ?」
「周囲500メートルには民家という物は存在しないし、あんな所に用がある人は林業の従業者ぐらい」
「は?」
「ちょっといくとでっかいオオカミとか良そうな森」
「「正直、人と見間違えるぐらいなら鹿と見間違える」」
「登山じゃん」
「そんなところを走って「朝練」と言い張る意味がわかんないよ…」
二人に前に取った写真をハカセと一緒に見せながら説明するとあきれたような声を上げて納得してもらえた。
俺の「朝練」は理解してもらえなかった。
「となると…なんでその…女の子?がいたのかわからなくなるね」
「そうなんだよ…流石に見間違えとかではないだろうし…」
ミコトが純粋に疑問だよねと続けながら紡ぐ言葉に俺は同意する。
そう、あそこに人がいるっていうのは割とおかしい。
「とかいって…変なキノコ食って幻覚みたとかねーの?」
「いやいやハカセ、あんなところで幻覚見てたらバイク乗って家帰る前に崖にダイブするわw」
「だよな!」
お互いどんな場所かわかっているハカセとは「朝練」場所あるあるでつい、盛り上がってしまう。
そんなことを話しているとコーちゃんが俺に質問を投げてくれた。
「なぁなぁ、ソーさん」
「どした?コーちゃん?」
「ソーさんが会った場所ってマップで言ったらどの辺?」
「ちょっと待ってな…ん、この辺だな」
そう言って俺はマップアプリで例の女の子にあった場所をマークする。
「んーなるほどね…あ、メッセで送っといてよ」
「了解、ほいっと」
「あんがとさん。今朝言ってた本も含めてちょっと色々調べてみるわ」
正直、どうやって?とは思ったがどうやらコーちゃんには思うところがあるらしい。
せっかくだからお願いすることにした。
「というか最後にまたくる…!とか言ってたんでしょ?そんときに連絡先でも交換すれば?」
「…その手があったか!?」
「二人ともほんと、怖い物知らずだね…」
割と真面目にその発想はなかった。と目から鱗状態の俺にあきれ顔でミコトが言葉を重ねる。
心外だと言わんばかりに俺とハカセはミコトに同意を求めようとする。
「え、かわいいかったらたとえ足が無くても全然余裕でしょ?」
「その子は足どころかしっぽもあったけどな」
「うーんそういう物か…?にしてもその耳とかしっぽとか本物か確かめて見たくなるね」
「「「え…こわ…」」」
わーお。いきなり推定美少年がサイコな事言い始めてきたよ…
「ちっ…違うよ!?解剖的な意味とかそういうのないよ!?ただ、思いっきりひっぱるとかそういうあれだよ!?」
「ドSじゃーん…」
「仲間じゃーん…」
「おい、ソーさん。もしまた会っても、この二人引き合わせるのしばらく控えた方がいいぞ?」
「ソウダネ」
サイコかと思ったらドSだった。と思ったら二人いた。
ハカセとミコトのことだった。
俺は再び会えたら良いなと思いつつ、再び会えても暫く報告は口頭のみにしようと心に誓ったのであった。
昼も終わると午後の講義が始まる。
と言っても残ってるのは今日は英語ぐらいだ。
昔、偉い人が言ってたけど講義とはバイキングらしい。多分、言っていたのは少なくともバイキングでは無いと思う。
正直、自分の学部としては語学の必修分はすでに終えているが…それはそれとして。
教養としての英語の講義は一般教養という形で履修できるのは興味深く、仲の良い四人で受けるのはなかなか楽しかったりする。
決してレジュメにちっちゃく「外人の恋人が出来たときに使える(意訳)」書かれてるから3人に内緒でこっそり取ったら初回の授業で居合わせてしまった訳では無い。決してな!!
「Oh-! Sennin guys! ハロー!」
「やっほー、コーちゃんミコトちゃーん、それにハカソー」
「ハロー、ジュディ、ハルカ。ハカセと俺をひとまとめにされて寂しいぞ、俺は」
「分身した!?」
「「いやいや、俺ら別個体だからね!?」」
「うーんハカセとソウイチが分身して分かれた説…斬新だなぁ…」
「え?ミコトそれってinteresting?」
「いや、funny」
「HAHAHA! hilarious!」
「そこ!?笑いすぎじゃね!?」
あそこで陽気に笑ってる身長もバストもでかい外国人がジュディ・ハンナ。交換留学の制度で来てる学生らしく、日本の文化だったり宗教観とかに強い興味を持って来日したらしい。ご多分に漏れずサブカルチャーもかなり理解が深く、友人のミスのフォローに自分の出身地とかけて「Never mind! こんなのはテキサスでは日常茶飯事よ!」と叫んだときは流石に吹いてしまった。
基本的には他の留学生と一緒にいるがそれがきっかけでこうしてたまに講義で会ったときは絡んだりするようになった。明るいしすこぶる美人ではあるんだが…個人的に彼女は面白外国人枠になってしまってる。
篠田 遙香はそんなジュディのバディ?
確か外国語学部の留学受け入れでそういう感じ名前の制度があるらしく、自然と仲良くなったとのことだ。
ジュディと仲良くなれる性格って時点で正直、彼女も面白枠なんだが…見た目は日本人らしさの美をこれでもかってぐらい詰め込んだハイパー美女なので、なぜかミコトと併せて綺麗どころと仲良くなりやがって…と同じ学部の友人に言われることがある。
「さーてさて、そろそろ時間だよ?皆」
「「「「「はいはーい」」」」」
「はいは1回で良いからね!?」
パタンとコーちゃんの本を閉じる音を合図に…一糸乱れぬボケとそれの突っ込みを合図にそれぞれ準備を始める。
トピックは面白いものを扱っているが割とスピーチ、ディスカッション、プレゼンなど日本と違う講義の方式は文字通り勉強になるのだ。
「…OK! see you next week!」
「んじゃーねー仙人組。今度はあわよくばランチをごちそうしてくれーぇい」
「いやぁ…ちょっとごはんとかわからないですねえ…」
「え、マジで霞食ってんの!?」
英語の講義が終わり、先生が帰る挨拶に合わせてとゆるーく飯をおごらせようとするハルカに緩やかなNOを突き付けてみたら突っ込み風ボケが帰ってくる。
「はいはい、プロテインプロテイン」
「誤魔化す…ごま…Soy Protein?」
「そういう意味じゃ無いと思うよ!?と言うかジュディ、次の講義あるって言ってなかった?このままボケ続けてたら遅れるよ!?」
「おっとそいつはikeねぇ!失礼つかまつるでござるよ!」ニンニン
そう言うとジュディとハルカは足早に次の教室に向かっていった
何というか…
「あいつの語彙力、すげぇな…」
「それなぁ…」
あの面白外国人を前にすると語彙力が少なくなってしまうのは仕方ないのだろうか…
この後はお互いに別の講義があったりサークル活動、バイトとそれぞれの予定へと向かっていった。
俺は…今日は久しぶりに何もないし、もう一度あの場所へ向かうことにした。
一度荷物を置きに家に戻り、はやる気持ちを抑えきれずそのまま朝の場所へ向かう。
あの女性はいったい誰なのか。見間違いだったのか。尽きない疑問をもやもやと持ちながら朝の場所に到着したが、やはりここは人のいる気配がある場所では無い。
(今朝のことが忘れられなくて来てみたけど…やっぱりいないか…)
「…ふぅ、そしたら「朝練」ならぬ「夕練」でもしときますかぁ…」
しばらくその場にいたが結局現れる気配もなく、俺は気持ちが切り替わるまでライディングの練習をして帰った。
明日からは基本、毎日7時の投稿予定で考えております。
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