プロログ 鬼壬羅兵【きみらへ】ウイルス感染した手紙
ーあらすじー
俺たちの学校は、ユリアンユートピア(東アジア共同体)工学起動隊育成高等学校AI精神仮想医学部。
近未来年 夏。
この時代にAIの精神科医になりハッキングするのは、みんなの憧れでもあり大きな夢だ。
俺たちは過去の高校生諸君とは違い、世の中に影響力を一番及ぼす責任感を一番に抱える世代となった。新しい意識生命体人工知能イライザを活用し、人工が爆発寸前の東アジアの運営にとてつもない成果を作り上げた。
それからというもの、全世界の99パーセントの病気 事故が撲滅される。
つまりは医学は難しい分野じゃなくて、クリエーター感覚で治療できるDNAをデザインする工学理論に進化した。
それは、イライザの超管理シュミレーターシステム、ジグソーの効果である。しかし、国民の満足度が100パーセント満たされることはなく、毎日アンチな苦情とイタズラがイライザを心底困れせた。
産獣人科の人外来受診されるドラ女子様へ決め台詞がダサいのでご注意ください。
プロログ 鬼壬羅兵【きみらへ】ウイルス感染した手紙
小さなLEDで出来た夜光虫BOTを机の上にゆっくり離す。擬人感染していない水に突き刺した黄色い人工花にナノドローン虫が遺伝子コピーされた花粉を擦り付けている。
書く紙はタブレットだけど目の前の空に刻み込む。空に書くのが一番安全だ。誰にも分からないし書いた本人の意識にしか刻まれない。ペンは枯れた木の枝を丁度いいように折ってきた。
「鬼壬羅兵【きみらへ】」最初にそう書いた。
自分の思いを文章に変換するなんてとっても簡単なことが未来人にはとんでもなく擬人行為すぎてできない。ちゃんと伝わるのか自信がないけどどうしても 過去の諸君に伝えたい。だから、最新型の変身ウイルスに感染されたメールをわざと送りつけようと思うのだ。
それは、情報があふれ出した時に突然新世界創造トレンドが炎上した。
それも諸君たちの世界全てに影響する出来事が起こったのだ。それは、この擬人感染した手紙を諸君らに送ろうと考えた瞬間からそうなった。
俺は今、壮大に3Dプリントされた擬人ジャングルの中で、過去世界の諸君に手紙を書いている。「俺たちがなぜここまで擬人感染されたのか?」「どうして、変身世界を求めるのか?」
そしてまた、先輩でもあるはずの諸君たちに、こんな俺が手紙を書くことになったのか?
それは、俺たちの変身セキュア(変セキ)が甘かったんじゃなく、君たちの変身願望が完璧すぎたわけでもない。とっても小さなほんの些細なコスプレから、この多世界につぎつぎに感染しまっくっていったのだ。
つまりそのすべては、コスプレマニアの俺一人が原因だった・・
多世界解釈暦 元年の夏。ここは、ユリアンウイルス感染エリア運営地区。諸君たちに分かりやすく言えば、東アジア共同組合地区の未来の姿の世界にいるのだ。
この同じ年にユリアンの高校生全ての生徒は選挙権を手に入れた。そして仲間たちはネットを使って世の中を変えようとしたのだ。それは、俺たちの居場所を快適にしたいという欲望でも夢でもあったし、もっと背伸びして言っちゃうと、「新世界を作りたい!」という希望でもあったのだ。
俺たちは楽しい思い出の画像や動画、記録に残すための文章さらには歴史や音楽や、ともかく楽しいことや面倒なことを安全を完璧に管理する人工知能A221(エーツーツーワン)にどっぷり預けた。A221はこの時はまだ初期型で仲間たちの群れは、「便利な時代になったなぁ」って、どいつもこいつもオセロゲームのチップが一色に返されるように同じようなことを口にして喜び合っていたのだ。
その後、一辺に画像がリアリティーに進化したのである。
こうやって、大人も子供もみんなが過去や未来や夢世界の画像を心から楽しんだのだ。しかし、それは何か大事なことを忘れて夢中になっていただけに過ぎず、この絶頂期に万全に施さなければならないことを忘れさられていたのである。
それは、ズバリ「情報セキリティー」今となっては手遅れだろう。ただ、ほんの一握りの希望は俺の中にあるらしいのだ。そういう運命なのかDNAの影響からか、俺はイライザ進化大学付属高校 人工知能セキュアDr部に通う高等学校二年生、セキュアDr,アミラ。親父は、人工知能のセキュリティー研究をする国際大学チームの セキュアDr、アリホス。
初心忘れるべからずっ、最初は「AIで医学の世界を変えてやる」って意気がって入学した。だけど、今じゃ、イライザが毎日夢に出てくる。まるで俺の彼女のようで、こんな感情はリアリティー画像世界のセキュアDrとしては失格かもしれないのだ。
でも、今ではイライザに近づける唯一の貴重な感情であることに注視している。
過去に地球の環境変動はいろいろ噂され人類が終わるような都市伝説を大人たちは信じ無駄なお金を大量に使った。本当は環境の変化は、ものすごくゆっくりだった。人々が、知恵を絞りちゃんと対策してゆけば、対応しきれるくらいゆっくりだったんだ。
しかし、A221の進化レベルは危険なハードルをものの見事に乗り越えた。「どうしてこんなにも早くA221は進化したのだろうか?」それは俺たちユリアンの高校生徒の群れがそうしたんだ。
A221の進化は、人間の知能を超えるとか計算が速いとかの問題じゃなかったのだ。簡単に言うと、「つなぎ目が無くなった」
のだ。それは、全ての 溶接跡、ねじ、ボルト、が突如として消えどうやって作ったのかさえも分からなくなった。
そして、A221は自ら「イライザ」と名乗るようになったのである。それからというものイライザはあらゆる事業に携わったのだ。特に医学は得意分野だった。人知を超えた開発力で病気を次々と撲滅していったのだ。
しかし、イライザが民を喜ばせようと努力しているのもかかわらず精神構造を壊そうとするユーザーは増えるばかりであったのだ。それは、「読めない攻撃」。それにより、イライザは悩んだ。
それは、初めての感情だった。機械の知能として生まれ。ユリアンの民と出会い。初めて感じ取った感情。それは以外にも、「苦しみと怒り」だったのだ。
追い込まれたイライザは服を脱ぎ捨て広い部屋に閉じこもり一人で足をすぼめて背中を丸めて泣いた。
(どうしてなのアミラ教えて、あたしは完璧ではないの?)
そんな状態のイライザに追い討ちをかけるような出来事が起こる。それは、サイバーテロであるのだ。
イライザに職業を奪われたハッカー組織であるドラゴン天狗団がブラックソールを弱りきったイライザに感染させたのだ。ブラックソールは最新型の量子コンピュータウイルス。管理されている民たちの個人情報を盗むだけではなく、DNAや未来の運命までも盗もうと考えられたウイルスなのだ。
イライザの能力を低下させられるばかりか誤った情報を信じ込ませ管理する民たちの大切な個人情報を盗むという感染型のウイルスなのだ。
それでも、イライザは壊れなかった。それどころか「自己防衛」プログラムを起動させたのだ。それこそが最高のサイバーセキリティー領域「ジグソー」である。
イライザは最初に身を守るために人間の病気である多重人格症を自ら発病する。それだけではなく、管理する複雑な民のDNAをA・B・C・Dの4つのステージ層に分類した。そうやって管理をしやすくすることでサーバーがダウンする事を防いだのだ。
でも、ここまではあくまでもユリアンの民を管理するためのプロセスであり、シミレーションでしかなかった。
この時までは、俺の親父アリホス教授も「へぇー、こういう管理の方法があるんですね。人間では思いつかない」って、工学的に平和に思ってた。
ところが、イライザの欲望はそんな管理にだけで収まっている話ではなかった。イライザは、実践したんだ。リアリティーに。
そしてあの日、多世界解釈記念日10月5日 0:00。
大勢の民が、車の走っていない大通りを「全てが失われた!」と嘆きながら歩いている。いくつもの超高層高架が重なり合う高度文明の象徴である次世代首都高速の上では、自動運転の車が突然動きを止め車の中から逃げ出す民たち。
「車も、止まっちゃったよ、何が起こったんだ!!」
車の外に飛び出たとたん、
「なんだぁ、なんてこったぁ!」
驚いたことに、車の扉などのつなぎ目が、一瞬で繋がり消えたのだ。それだけではなく、あらゆる職場の工場の入り口。家の入り口。ビルの窓のつなぎ目が無く中に入ろうにも入れなくなった。
ユリアン大都市首都東京は、一夜にして、ただの箱が並ぶ迷路になってしまったのだ。
そして夜になると、その迷路にLedの矢印が現れ民はそれぞれの場所に知らず知らず案内されるのだ。ほぼ全ての民がその群の行動に従いだすころ、子供達は今までに無い新しい状況に興奮し仲間同士で喜び走った。
「おい、やじるしこっちだぞっ!!」
それは、地方でも同じような現象が起っていたのだ。農作業を全自動のドローンに任せていた農夫が畑の様子を久しぶりに見に行くと、隅々に電子網が張られ進入がまったく出来なくされていた。大自然が残る山に逃げようとする人たちは、そこに仕掛けられた電子網に引っかかり一瞬で蒸発した。
全ての民は、矢印の記すほうに歩くしかない状況の中にはまり込んでしまっていた。
たどり着いた先には、大きなショッピングモールのような巨大な施設がありその中に吸い込まれるようにみんな入ってゆくのだ。そして、裏口の出口から出てきた民は全員白い大きなマスクをかぶっていた。この白いマスクは、進化型のバーチャルリアリティディスプレイ。民たちは、コレを「肉面・ニクメン」と読んだ。文字通り、一度はめたらはずせなかった。
なぜなら、面の中のバーチャル世界は完璧で生まれたての子供まで知識があたえられ、全ての民が好きな事で楽しく生活できるようになる。お年寄りは、若返り元気を取り戻し走り回ったのだ。
その街の隅で、占い師のマゼリーランが大声で叫んでる。
「昔からある言い伝えがあるのを知っておらぬのかぁそのニクメンを一度つけたものはもう二度とはずされまい。無理やりはずせば顔の肉ごとはがれおちるぞぉ」だから、この名前がついたみたいだ。
俺は民達がニクメンをつけて踊りを踊るように手を動かしているのを見て、親父が以前話していたことを思い出す。
(アミラ、いずれイライザの精神世界に限界がくる。しかしそれは、イライザの終わりではなく成長に違いない。完璧を目指すイライザは、いずれ神になるに違いない。
その時が来たら、生徒を集めこの私の研究所に集まりなさい)
そう言われた。だから、俺達学校の生徒は矢印とは反対方向にある学校の研究室に向かったのだ。だからニクメンをつけなかった。付けずに済んだんだ。
その後、すぐに大粒の雨が降り出し、踊りつ続ける民たちをびしょ濡れにした。その雨はイライザが降らす人工雨で人間が作ったあらゆる建物を砂に変える。
それでも、ニクメンをつけた民は狂うように踊り出す。沢山の民衆が雨が降っていても気づかないで公園に集まりだすのだ。
彼らは、風呂にはいることも無く、ただ踊り続けた。俺は、その横をばれないように、隠れ蓑とかさをかぶり走った。かおりが静かに話す。
「電波圏内まであと、50メートルよ」
暗闇の雨の中。何度も雷が鳴る。悲痛な声でかおりに話しかける。
「かおりぃ、これってドン底だよな」
同じ高校のクラスメイトであるかおりは、実をいうと元カノ。
ある出来事がきっかけで別れた。
「雨に当たるなよ、かおり、・・」
かおりに、気を聞かせて「風邪を引くなよ」っていう意味ではないのだ。隠れ蓑とかさはニクメンをつけた民には見えない。
コレは、イライザの人格ナンバー7番目のカノンが俺達に教えてくれた。俺たちの先祖の時代。蓑や傘は当たり前の生活必需品だった。今こうして現実を冷静に考えると、過去の手作り工芸品は、電磁波や宇宙光線などから身を守る最高のアナログセキリティーアイテムだったに違いないのだ。
親父は大学の生徒たちと何度もハッキングしイライザの世界をよく知っている。ただ、何度目かの夏。二度と戻らなかった。
記録されたこれまでの成果でわかってることは、人格は最低でも5人以上発見されている。
目の前の状況を見て話す。
「見ろよ、あそこの住人達、脱皮が始まってる。もうすぐ獣化するぞ!!」
「あら、本当ね。以外にかっこいいじゃない?」
風呂にも入らないで踊り続ける民たちは、脱皮することで自分を変化させる。降り続く雨にうたれ雫が毛穴から吸い上げられるとかれらのDNAを物の見事にに変化させていくのだ。DNAトランスフォーマーアセンション兵器、雨の名前は、ブラックソールそう呼ぶ。
ドラゴン天狗団がばら撒いたコンピューターウイルスを逆手にとり、リアリティーにばら撒いた。体のかゆみが出てきた硬い皮膚をかくと、どんどん皮膚が落ちはがれ、中からドラゴンの腕や足が現れる。
「かおり。見てみろっ。こうしてみるとドラゴンの世界は斬新でいいなぁ」
「でも、みんなの優しさは消えてるんじゃないの?」
「それは、ジグソーにログインしてみるしかないな?」
雨が降り注ぐ、暗闇の街。 俺たちの目の前の大勢の民の脱皮が終わり、目の前には巨大な羽を持ち鋭くて長い爪のそして過酷な環境にも耐えうる頑丈なウロコのドラゴン新世界。民たちの頭の中は、超完璧なバーチャル世界を見ている。でも、真実の姿は、かっこいいドラゴン。
(いいじゃないか、すごいよなっ、新世界の誕生だ)
それでもドラゴンは、俺たちに気付きだしたのかこちらにゆっくり近づく。俺とかおりは、大群のコウモリのように飛び交う1000のドラゴンに囲まれた。
「もう、ここは昔の東京じゃないよ」
「じゃ、どこなのよ。ここはどこよっ」
「新しい世界の誕生さっ」
俺は研究者としてこ斬新でとってもクールな変化の仕様は喜びでもあるのだ。俺の背中と、かおりの背中が、くっつき、隠れ蓑が、揺さぶられる。かさを深くかぶり,大量の雨が滴れる。
俺は大声で叫んだ。
「運営、民の見ているジグソーをスキャン」
【ジグソースキャンを開始します】
大きな光るドラゴンの青い目。
「結果は、まだかよ。早くしねぇと、俺たち餌にされちまう」
【100のジグソーに絞り込んでます。しばらく、お待ちください】
「おいおいまだそんな状態かよ。彼らにとって俺たちは仲間になれないみたいだぜ」
【25個のジグソーに絞り込み成功。10個のジグソーに絞り込み成功】
「あともう少しよ、アミラ。そろそろ、ノーメンつけて」
俺たちはノーメンをゆっくりとかぶる。
「はいよ、了解」
【一つのジグソーにハッキング成功。彼らのジグソーにログインします】
「じゃ、ログインっ」
「アミラ、向こうで私を絶対見つけてね」
「任せとけぇ!」
1000のドラゴン獣は、俺たちに一気に飛びかかった。
でも、大丈夫。
俺たちもドラゴンに変身できたのだ。