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第二枢機卿、男装をする。

 第二枢機卿は、趣味が一応女性的なものも多いが、乗馬も趣味である。

 荷物を最低限とは言え馬車に詰め、メリー以外の女官達は馬車と言うことを考えると、自分用の馬車を仕立てるより、自分が騎乗した方が良いのではと準備をして愛馬に乗った。

 メリーも同じように乗馬服に身を包んでいる。


 そして、一応エメルランドと従妹のキャスリーンに書簡を送る。




 受け取ったキャスリーンは苦笑する。


 生真面目な従姉の文字は、全く変わらない。

 お堅い女史、可愛げのない枢機卿と陰口を叩かれるが、本当はとても優しい従姉は、お転婆のキャスリーンとは違い、女性らしく刺繍に編み物、裁縫が趣味で、第二枢機卿と言う重い任務を女性ながらに担っていると言うのに、時々大作を仕上げて貴方に似合いそうだからとキャスリーンの元に送ってくれる。

 今回も、結婚のお祝いだと全て柄の違うパッチワークを繋いだベッドの上掛けに、二人の娘たちの手袋や帽子にマフラーを編んでくれていた。


「どうしたの?」

「あ、アルフレッド。従姉のお姉様からなの。アソシアシオンの第二枢機卿だけれど、お姉様はアルフィナに何かする方ではないわ。ただ……ほらここ」


 キャスリーンは書状を見せる。

 そこには、アルフレッドの伯父のアーティスのことが書かれていた。




『あまり、こう言うことを言うとダメなのかもしれないのだけれど、第一枢機卿のアーティス卿は、マイペースで自分よりも力は強いのに、普段は全くやる気がない人なの。

 それなのに、何かがあると、面倒だからとこちらに全部任せておいて、私達で手に余るとふらっとやってきては最後に良いところだけ取っていくのよ。

 それに、私を子供扱いするの。

 全く似ていないのに、何故か妹姫であられる聖女のアマーリエ様みたいに可愛い可愛いとか……本当に馬鹿にしているのかしら?

 でも、何も言わずに急に出て行ってしまったの。

 どう言うことなのか聞きたいの。

 それと、可愛がっていた聖女候補のスカーレットに会わせて貰えないかしら?

 2人や聖女のフェリシア、そして幼い聖女の身の安全は私が保証するわ。

 どうか、入国許可をよろしくお願いします』




「どうかしら? お姉様は本当に、あのアソシアシオンにいるには純粋すぎる位、優しい方なの。生きにくいと思うわ」

「父上や伯父上に聞いてみようか。母上はもう臨月だから……でも、今聞けるかなぁ。この状態で……」


 実は二人だけではなくこの館全体では、待っていた。

 アルフィナの伯父であるイザークの妻のシシリアが出産の陣痛が始まった。

 昨日から屋敷中で、生まれてくる子が元気で、リリアナが元気であるようにとソワソワしている。


 そして横で、アルフィナを取り合うセシルとアーティスがいた。


「あぁぁ、可愛い可愛い、アルフィナ。お祖父ちゃんと遊ぼうか?」

「駄目ですよ。アルフィナ。キャスリーン様……お母さんに貰ったマフラーと手袋と帽子被ろうか?」

「君も少しは遠慮すると良い」

「お兄様! うるさいですわよ!」


 スパーン!


アマーリエは兄の頭に投げつける。

 頭を押さえるアーティスの前に落ちる箱。

 開いた箱から落ちるカード。


「えっ?えぇぇぇ!」


 2つを慌てて受け止める。


「こ、これは……」

「オホホホ! お兄様。預かり物よ。お返しするわね」

「何、何で……これは……」

「いらなかった?」

「いる! いるけど、投げるんじゃないよ〜! アマーリエのバカ〜! 僕の頭はいいけど、これはカラクリがあったんだよ! 壊れたらどうするのさ!」


 半泣きで妹に食ってかかる。


「大雑把な私が必死に作ったのに!」


と嘆きながら確認を始めた。

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