第1話 姉ヶ崎家の家庭の事情
2作目です。処女作と同時並行して執筆予定です。
この作品は登場人物が多いので最初に主要人物だけまとめておきます。
姉ヶ崎美秋
主人公。
姉ヶ崎美咲
本編にて紹介。
姉ヶ崎美散
同上。
姉ヶ崎美春
同上。
姉ヶ崎美冬
同上。
姉ヶ崎美樹
同上。
姉ヶ崎美桜
同上。
妹川美曇
同上。
妹川美雨
同上。
妹川美雪
同上。
妹川美菜
同上。
宮本武
主人公の友達。
坂本冬馬
同上。
姉ヶ崎美夏
本編にて紹介予定。
姉ヶ崎美涼
同上。
姉ヶ崎美波
同上。
この作品は1年以上前に考えたアイデアを作品化したものです。登場人物も全て1年以上前に考えました。
こちらも優しいアドバイス待ってます。
「キーンコーン、カーンコーン」
チャイムが鳴る。
「んあー…やっと授業終わったー!…放課後これからどうするー?」
武が背を伸ばし聞いてくる。
宮本武。俺の友達で中学からの付き合いだ。
「んーそうだな…今日は武の家でゲームでもするか」
冬馬が答える。
坂本冬馬。こいつも俺の友達でこいつとは高校からの付き合いだ。
「えーまた俺んち?いつも俺んちだと飽きるだろ。そういや冬馬、お前エロゲ持ってなかった?」
「いや持ってないし昨日は俺の家で遊んだ」
冬馬は眼鏡を拭きながら冷静に突っ込む。
「…あ、そうだ!美秋!今日お前んち行かね?」
不意に武が俺に聞く。
「はぁ?何だよ急に。俺んちは無理だって前から言ってるだろ」
すぐさま拒絶する。
「えーいいじゃんなんで?」
「だって…ほら、うち家族多いし」
「何人よ」
「俺入れて6人」
「いや多くねえよ(笑)俺んちなんてじーちゃんばーちゃんかーさんとーさん姉貴兄貴弟いるんだぜ?」
「いや親戚入れたらもっといるし」
「そんなの関係ねえだろ」
「あとさ、俺…キョウダイいるし…」
「キョウダイ?あーたしかに美秋お前んち姉と妹いるよな」
「ああ…てかあそこに1人いるだろ。…美咲」
そう言って帰る支度をする美咲に視線を向ける。
姉ヶ崎美咲。俺の妹だ。眼鏡をかけていて読書が好きな根暗。文芸部。これでもうちのクラスで成績一位なんだとか。
「でもだからって別に無理な理由にならなくね?なんか問題でもあんの?今までずっと気になってたんだけど。…もしかして家に男呼ぶのダメとか?」
「いや…そういう訳じゃないけど」
「じゃあいっちょ俺が頼んでみるわ!」
「ちょ、おい」
武が美咲に近づく。
「なあ美咲ぃ、お前んち遊びに行ってもいいよな?」
武が聞く。
「えっ………あ……はい。べ、別に構わない…かと」
戸惑いながらも美咲はあっさり了承した。
「あ…でも、今日は…あの」
「よしじゃあ決まり!今日行くわ!」
「え、え、え、い、い、今からで、ひぃっ!!?」
武が何か言いかけた美咲の手を引っ張り教室を出ようとする。美咲は慌てる。
「ぐはぁっ!?」
突然、誰かが後ろから武の背中に回し蹴りを入れた。…美散だ。
姉ヶ崎美散。俺の姉だ。男勝りな性格に似合わないツインテール。陸上部。運動神経だけは抜群で、体力テストはうちのクラスで1位らしい。男子を抜いて1位らしい。
「なんであんたがウチに来るのよ!キモいんですけど?…美咲帰ろ」
何事もなかったような顔をして美咲の手を引っ張り美散が教室を出る。どうやら今日は部活をサボる予定らしい。
「そういやお前三つ子なんだよな。珍しいよな。…なんか羨ましい」
一部始終を見ていた冬馬が呟く。武は床にうずくまっている。
冬馬の言う通り、俺は三つ子でその中間子だ。初見じゃ三つ子だなんて分からないほど俺たちは似てない。羨ましいだって?あんな可愛くない奴らのどこがだ?
武は床にうずくまったままだ。
「武…お前嫌われてるのか?」
「知らね」
武は即答する。どうやら大丈夫そうだ。
嵐が過ぎ去った後のように静まり返る教室。気まずい空気。
「……って言う訳だから、美散がダメって言ってるし…悪りぃな!じゃ、また明日な!」
そう言って俺は2人を残しそそくさと教室を後にしようとすると、
「あー待って美秋くん!今日私と一緒に帰る約束だよ!」
誰かが俺を呼び止めた。…美曇だ。
妹川美曇。こいつも…まあ俺の友達かな。知り合ったのは冬馬と同じでこの神嶋高校に入ってからだけど。そこまで親しいわけじゃない。誕生日も覚えてないし。
約束なんてしてたっけ?すっかり忘れてた。付き合ってるわけでもないし。まあ一緒に帰るくらいならいいか。
「今日の英語の授業さ〜どうだった?わたし今日予習してなくてさぁ〜当てられた時ほんと焦っちゃって(笑)」
帰り道。たわいもない話が続く。俺はそれとなく美曇の話を聞き流す。
そろそろ別れ道だ。
「美秋くん。じゃあまた明日ね!ばいばい!」
美曇は手を振りながら去っていく。
「じゃあな」
ぶっきらぼうに返し、俺も家に帰ろうとしたとき、誰かが美曇のもとへやってくるのが見えた。
「あ!お姉ちゃん!おかえりなさいっ!」
おかっぱ頭の女の子だ。ランドセルを背負っている。小学生だ。
「美雨も今帰り?一緒に帰ろっか!」
美曇は女の子の手を繋ぎ一緒に帰っていった。
あれは妹だったのだろうか。初めて見た。あいつに妹なんていたんだ。
そんなことを考えて歩いているうちに気がつくと家に着いていた。
「ただいま」
靴を玄関に脱ぎ捨て家に上がる。
「おかえり」
最初に出迎えたのは親父だった。
「あれ、父さん今日仕事早かったんだ」
「ああ、うん。今日は会社に頼んで早めに上がらせてもらったんだ」
姉ヶ崎美樹。俺の親父。この家の大黒柱だ。
「にーたんおかえりー」
親父の後ろから美春がひょっこりと出てきた。
姉ヶ崎美春。3歳。俺の可愛い妹だ。
「ただいま〜美春、今日もちゃんといい子にしてたか〜?」
「うん!してた!」
姉ヶ崎家唯一の癒しだ。
一足先に帰っていた美咲は無言のまま傍観している。可愛げのない妹だ。
「父さん実は今日 …みんなに話があるんだ」
「話?」
なんだろう話って。まあどうでもいいや。父さんの話なら大したもんじゃないだろうし。とりあえずシャワー浴びたい。今日は何故か一段と疲れた。
「あーわかった、また後で話して。とりあえずシャワー浴びてくるわ」
そう言って浴室へ向かう。
「あ……あの…み、美散姉ちゃんが……まだ…あ」
美咲が何か言いかけた。美散の名前が聞こえたような気がした。が、俺は気にせず脱衣所に入る。
……目の前に何かが弾んで見えた。何だろう。ふわふわしたものが2つ。…美散の胸だ。
美散はハダカのままタオルで髪を乾かしていた。
「……なに見てんだ…この変態ッ!!!!!」
美散は恥ずかしがる素振りも見せず、洗面台に置いてあった石鹸を拾い握りしめ、俺めがけてぶん投げた。衝撃が走る。石鹸は俺の額に当たり跳ね返った。
それから2、3時間の記憶が無い。俺はちゃんとシャワーを浴びたのだろうか。
時計の針が8時を過ぎる。
「ねぇ父さん、話ってなに?」
「ああ、うん。みんなが集まってから話すよ」
俺を合わせリビングには5人が集まっている。美春は眠そうな顔をしている。俺は額をさすりながら最後の1人を待つ。
「ガチャッ」
玄関が開く音がした。
「ただいま〜。あ、ごめんごめん〜遅くなっちゃった。いやあサークルが忙しくってさ〜」
美冬が帰ってきた。俺の姉で大学生だ。昔はよく遊んでもらったけど最近は全然話をしない。というか、夜はほとんど家にいないから普段顔を合わすことが少ない。
「冬ねえおかえりー!遅いから心配したよーもう」
ご機嫌な顔で美散が出迎える。さっきとはえらい違いだ。
「よし、ギリギリ全員揃ったね」
親父は確かめた。
「実は話のことなんだけど…」
親父は重い口を開けて言った。
「父さん、実は…再婚することにしたんだ」
「再婚!!!??」
一同愕然とする。再婚だって…?それも今になって何故。
「相手って誰なの!?」
美冬が食い気味に聞く。
「母さんが亡くなってもう1年経つし、そろそろ母さんも許してくれるかな…って」
親父は美冬に構わず話を続ける。
母さん…姉ヶ崎美桜は去年の春、俺たちを残しこの世を去った。
「それに…」
さらに親父が話を続けようとしたそのとき、
「ピーン、ポーン」
玄関のチャイムが鳴った。
「お、来たみたいだ」
親父が玄関に向かう。しばらくすると、ぞろぞろと誰かが入ってきた。最初に見えたのは見知らぬ女性。まだ若そうな綺麗な女性だ。
「紹介するね。父さんの再婚相手だ」
親父が落ち着いた声で話す。
「はじめまして。私、このたび美樹さんと再婚させて頂くことになりました、妹川美菜です。みんなよろしくね〜」
清楚で明るいおっとりとした女性だ。
「セガワ…?」
聞き覚えのある苗字。アイツと同じ読みだ。……まさかな…そんな訳ないよな。
「美菜さんには3人の娘さんがいるんだ」
「えへへ。みんな〜いらっしゃい」
親父が説明する。美菜さんが照れながら呼ぶ。すると奥から3人の女の子が順番にやってきた。
「はじめまして!美雪っていいまーす!神嶋高校3年でブラスバンドの部長やってまーす!」
まずやってきたのは黒髪ロングの美人だ。俺より1つ上か。……神嶋高校?俺が通ってる高校じゃないか。いやまさかそんな。
「あ、あの、は、はじめました…じゃなくてはじめましてっ!!!わたしは美雨と言います!小学6年生です!ふつつかですがよろしくお願いしますっ!」
次にやってきたのはおかっぱ頭の女の子だ。…確か今日帰り道で見た。
……ってことはもしかして
「はじめまして!わたしの名前は美曇…………って、あっーーーー!!!!」
はじめましてじゃない。
「なんで美曇が…」
「どうして美秋くんが…」
「ここにいるんだぁーーーーーー!!!!」
「ここにいるのぉーーーーーーー!!!!」
俺は叫んだ。美曇も叫んだ。
俺は状況の整理がつかずにいた。再婚相手が美曇の母親だなんて聞いてない。多分美曇も知らされてなかったんだろう。っていうか美曇の母親ってあんなに若いのかよ。…いやそんなことは今どうでもいい。
再婚するってことはつまり…美曇たちが家族になるってことだよな?つまり…増えるのか。
こうして俺にまた妹が、そして姉までもが出来ることになった。義理の姉と妹が。しかもうち1人は同級生だなんて。
俺はふと思った。
美曇って…姉と妹どっちなんだ?
つづく
第1話を読んでいただきありがとうございました。
こちらは処女作に続き第2作目です。不定期更新予定。
作品に対する気持ちとしては、ラブコメディの皮を被ったホームコメディが書きたい、そんな感じです。
この調子で今まで溜めてきたアイデアを作品化してみたいです。
ちなみに登場人物は実在人物と一切関係ありません。ただ、名前は考えて意味を込めてつけました。詳しくは説明しませんのでご想像にお任せします。
最後にタイトルについてですが、正式な読み方は「しすたーず、のっといこーる、ぱらだいす!」です。こちらもご想像にお任せします。