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曾お爺様を負かしてから来て下さいませ。  作者: み〜さん


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食事の好みは人それぞれだと思います。

よろしくお願いいたします。

 






 テーブルA 〜


「キャグッズ様とビスデンゼ様の模擬戦でのこと、お聞きになりまして?」


「ええっ!聞きましたわ。」


「私も!それはそれは白熱だったみたいで、教えてくれた従兄弟が興奮しておりましたもの。」


「練習用の剣とは云、まるで決闘のようだったと………」



 ーーー 周りから聞こえてくる会話はほぼ間違いなくこの話題。



 テーブルB〜


「あのお二人、何かあるのかしら?」


「キャグッズ様は先月学園に入られたばかりですわよね?」


「侯爵夫人の遠縁だとーーー」


「何処でしたかしら?」


「あら、確かラジグール王国ではなくって?」



 ーーー キャグッズ侯爵夫人はラジグール王国の伯爵家のご出身。


 縁戚の子爵家からキャグッズ家の跡取りとして迎えられたと夫人からお聞きしましたもの。



 テーブルC〜


「キャグッズ侯爵夫人にお会いしたことはありますけど、良く似ていらっしゃいますわぁ。お二人を見て疑う方はいらっしゃらないでしょうね」」


「私は遠目に侯爵夫人の後ろ姿を見たことがありますけど、あの髪色は間違いなく同じ血筋だと思いますわ。」


「ほんとうに。メイローズ様にそっくりですもの。よく見つけたと思いましたわ。」



 ーーーそうなんですの。初めてお会いしたときは痛みと衝撃が同時に襲ってきましたから。


 ドレスを着て微笑んだ姿は間違いなくメイローズ様なんですもの。


 違いと言えば背の高さと耳に馴染む落ち着いた声音。



 テーブルC〜


「ではメイローズ様は戻られないのかしら?」


「今は治療のために他国にいらっしゃるとか………」


「ええ、私もそう聞いてますわ。でもそうしますとこちらには戻られないかもしれませんわよねぇ。」




 ーーーまぁ!なんと言うことをっ!病気と戦うローズ様の気持ちも知らないで、このような人の多い場所で憶測だけの発言をするだなんて、淑女失格でしてよ!


 それに、ローズ様は剣のお稽古もしていらっしゃったんですもの、病気にだって打ち勝つはずですわ。


 ローズ様はヴィよりも剣の腕前は上ですもの、必ずお会いできますわっ!




 テーブルB〜


「実はここだけの話なんですけどーーー」



 ーーーまぁ!なんて切り返しの早い!それにここだけと言うわりにはそのお声、少し大きいのではなくって?周りの方々が耳を傾けておられるのがわかりませんの?



 テーブルA〜


「今回のことはルーシア様絡みではないかと言われておりますの。」


「ルーシア様?」



 ーーールーシア様?



 テーブルC〜


「もしかして、マクロード男爵家の?」


「エッ?!【黄金の君】の?!」



 ーーー【黄金の君】って、初めまして?ですわね。



 テーブルA〜


「そう!美しい金色の髪にピンクサファイアの瞳の今話題の男爵令嬢、ルーシア・マクロード様ですわ。」


「確か………キャグッズ様より二月前に編入されたのよね。アッという間に令息方のお心を攫ってしまわれたとか。」


「そうそう!留学生のジルライト様も取り巻き筆頭でしたわ。」


「最近多いですわね。ルーシア様絡みの諍い。」


「あの方、取り入ることがとてもお上手ですもの。」


「女生徒では無くてターゲットは男子生徒!それも高位のお家の!」



 ーーーその様な方がいらっしゃるとは知りませんでしたわ。


 その留学生の方も存じ上げないのですが、学年がちがうのでしょうか?


 でもそれだけ目立つお方であれば、いくら学園広しと言えども遭遇していたはずですわ。



 テーブルB〜


「艶やかな濃紺の髪をかき上げて、煌めくルビーの瞳を細めて気怠げな視線で瞬殺させるビスデンゼ様も、燃えるように揺らめく真っ赤な髪を靡かせて、黄金に輝く瞳の神々しさに思考停止もやむお得ない状況に追い込むキャグッズ様も神様が造りたもうた超一級品!」」


「確かに物語のようなシチュエーションですわね。ルーシア様がどなたを射止めるのか。」


「物語だったら邪魔をする人物が必要不可欠では?」


「そうね、ストーリーにドキドキ、ハラハラは必要よね。でもそれに当てはまるようなお方が居るかしら?」



 ーーー目立つお二人ですから注目を集めるのもわかりますけど、恋愛小説の読み過ぎでは?


 いえね、読んで悪い訳ではないんですの。


 ただ聞いておりますと皆様表現が大袈裟と言いますか、感化されていらっしゃると言いますか………聞いていて首の後ろがモゾモゾしますもの。



 テーブルC〜


「待って!イグウェイ様が居ませんわ!」


「そうですわっ!【妖精王子】が取り巻きの中に居りませんわっ!」


「エッ⁈取り巻きの中に居ませんでした?」



 ーーーリューは参加しないと思いますわ。


 いぇ、間違いなく関わらないと断言できますわ。



 テーブルB〜


「この学園最後の砦はなんとしても死守したいところですわっ!」


「そうよね。何と言ってもイグウェイ侯爵家の【妖精王子】ですもの。」


「イグウェイ様までルーシア様の虜になってしまわれたらっ!この学園のオアシスが完全に無くなってしまいますわ!」




 うううン⁇


 砦?オアシス?リューのことですの?



 テーブルA〜


「学園側はこのまま静観なんでしょうか。」


「他国の王子が渦中におりますのに?それは良いのかしら。」


「ご一緒されてるのが高位のお家の方々ですもの、難しいのではなくって?」


「でもこのままとはいきませんでしょ?婚約者が居る方達も取り巻きにいるようですし。」



 ………授業で行われた模擬戦に始まって、美貌の男爵令嬢を取り巻く将来有望と言われる子息方との恋の行方に心配と言うオブラートに包み込んだ好奇心を盛り上げる為の学園静観ですって⁇


「ーーーコレはアレですわ。」


 夕食もおちおち食べていられない程の情報量に私の理解が追いつかない由々しき事態!


「まぁっ!またお食事の手が止まってしまって!」


「お食事は大切だといつも言っておりますのにっ!」


 その声に顔を上げればなんてグッドなタイミングなんでしょう!


「シャロン様、カロリーナ様。」


「私達が居りませんとフィルマール様のお食事がリスやウサギのお食事と同じになってしまうなんて嘆かわしいこと!」


「野菜のサラダが悪い訳ではございませのよ?ただ心身をより良く作るためにはお肉やお魚などもご一緒に摂られたほうがよろしいと思いますの。」


「そうですわ!お食事の量を少しにされても満遍なく摂り入れたほうが良いのですわ。」


 違うのです!私の食事は気にされなくとも良いのです!


「カロリーナ様、私このサラダが好きなんですの!サイズが丁度良いのです!」


「まぁっ!鳥のお食事ではないと⁈私ちょっと見繕ってきますわ!」


 あああっ!カロリーナ様!何て俊敏なんでしょう!


 お待ちになってと声を上げる前に巧みなドレス捌きで障害物(テーブル)の間をスルスルと行ってしまわれました。


 私の挙げた右腕はどうすればよろしいの………


「お食事、面倒だと思われたときに選ばれるのってだいたい「三種のお豆とクルトンの彩りサラダ」ですものね?フィルマール様。」


 そう言いながらの満面な笑みのシャロン様ーーー怖いのでやめてくださいませ!!


 いえ、そうではなく、今は私の食事内容はどうでもよいのです!


 情報通のお二人に是非お聞きしたかったことがありますのに!



 ーーーでも先ずは痺れてきたので右腕下ろさせていただきますわね。




















読んで下さりありがとうございました。


間があくとメンバーの立ち位置が危うくなります。

読んでくださる方達は特にそうなのではないでしょうか。

それを思うと感謝しかございません。

本当にありがとうございました。



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