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ジュリエットは力持ち  作者: 瑞希
『プロローグ』
3/23

『新生小学生組誕生』

キーンコーンカーンコーン


やっと放課後になった。

授業中はケイとノートで話して変に疲れるし、

放課は放課で女子の雪崩に巻き込まれて、

その度にスズナやリューに引きずられるし、


もうヘトヘト……………


「じゃあ、ハンナ。

 またね」

スズナはもちろん一般人で、手芸部に入ってる。

掛け持ちしたいなぁ、とも思ったんだけど流石に無理だった。


「明日は手伝わねーからなぁ…?」

リューも一般人で、サッカー部に所属している。

部活が始まる前なのに、ヘトヘトな顔になって外に出て行った。

それもそうだろう。

引っ張っていたのは、七割型リューだ。

スズナは力仕事は苦手なのだ。

それに、それをさせるリューでもない。漢だね!そういうところは好きだよ!


「私も行くか~…」

ランドセルを背負って西校舎の特殊能力部に向かった。




「ううっ…

 いつまで経っても、西校舎の不気味さにはなれない。」

両腕で肩をさすり、怖いのを紛らわそうとした。

私は怖いのが大の苦手!

世にも奇妙な~~を見た夜はトイレに行けない…。

ああ、思い出したら怖くなってきた…!


「わっ!」


「キャァァッ!」

突然後ろから聞こえてきた声に、私はその場に座ってうずくまった。


「ご、ごめん…

 まさかそんなに驚くとは……………」

その声に振り向くと、綺麗なお化け…じゃなくて、ケイが申し訳無さそうに立っていた。


その姿に驚いて、私は慌てて立ち上がった。

「べ、別に驚いてない!」

たった1日で2回も弱いところを見られるなんて…!

恥ずかしくて情けなくてしょうがない!


「大体何であんたがここに居るの!?」

よく考えてみたらここは、部外者が居て良いような場所ではない。

この校舎は、普段は特殊能力部の為だけにあるのだ。


「何でって…、僕も今日からここの部員だから」


ケイの言葉に、私は驚いて思わず眉を潜めた。

「…そんなわけ無いでしょ…?

 許可は貰ったの?!」

表向きにはただの部活だが、ここは能力者の部。

ケイが部員になるはずがない。

ケイの為にも、私達のためにも、簡単には通せない。


「貰ってるって」

あれっ?!

ハッとして振り向くと、ケイは特殊能力部のドアを開けて中に入ってしまっていた。


「お、2人とも来たか」

慌てて追いかけた私とケイを出迎えたのは、大石先生だ。


「大石先生!

 ケイが部員ってどういうことですか!?」

私は大石先生に慌てて詰め寄った。

許可は貰ってるって…ケイに能力者の様子なんて…!


「間違いじゃないぞ?

 立派な、力を持つ家系の子だ。」

大石先生は後ろの方にあるホワイトボードに、ケイの苗字…彩瀬あやせと書き、彩の木に丸をした。

能力者レジティーマの苗字には、その人の能力を連想させる字が入っていることが多い。

まあ、もちろん絶対じゃないけど。


ケイが微笑んで、私に手を差し出した。

「改めてよろしく」

「……よろしく」

いまいち腑に落ちて居ない私は、無愛想に言ってしまった。


「ところで、ハンナの能力は何なの?」

ケイの問いに、待ってましたとばかりに、大石先生は笑った。

「ハンナのは超分かり易いぞ」


私はふてくされた顔のまま、大石先生に近づいて、片手でひょいっと持ち上げた。

「うおっ!」

私は溜め息をついて、慌てた顔をした大石先生を降ろした。

「私の能力は“力業“」

ちなみに、いつもこんな風な訳じゃない。

今はリミッターを着けてるんだから、こんなこと出来るわけがない。

車に轢かれかけたから、事故防衛が働いているみたいだ。

この状態なら、轢かれても私はたぶん大丈夫だった。

……いや、車に乗ってる人が危ない。


「小学生組は2人だけだったけど、これから賑やかになりそうだな~」

にこにこと嬉しそうに大石先生が言ったと同時に、ガラッとドアが開いた。


そこに立っていたのは黒い髪、黄土色の瞳の少女。

「すいません、委員会で遅れてしまいました」

ぺこりと御辞儀をして、部室に入ってきた。


「紹介するな?この子は

 秋風あきかぜ 屑梛せつな。六年生だ」

さっきと同様に、ホワイトボードに名前を書いて紹介した。


「ケイさんですね?話は聞いています。

 私の能力は風です。

 生徒会長をやっております。」

ケイに向かって、もう一度ぺこりと御辞儀をした。

それにならってケイも、セツナにお辞儀した。


「小学生組全員集合だな!

 これからこのチームで頑張ろう!」

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