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ジュリエットは力持ち  作者: 瑞希
『プロローグ』
2/23

『彩瀬』

「だいたい、最近の子はマセすぎなのよ!」

今日私はとんでもない事件にあった

なんと!学校に来る途中車に引かれそうになったのだ

本当ならもっと騒ぎになりそうなものだが

まあ、色々知人も多い家柄なので、そんなに騒ぎにはならずにすんだ。

それは良いの。

良くないけど…


「ハンナ…オバサンみたい…

 でも超!ロマンチック!少女マンガみたい!!!」

なぜ私の大親友であるスズナがこんなに目を輝かせているのかというと。

私にとって、もっともっと重大な事件となった、そのあと出てきたあの少年のせいだ。

突然現れて初対面で人にキスするとか…

あり得ない!ロマンチックでもないから!

一歩間違えれば犯罪だからね?!

いや、もう犯罪?!

そのあとダッシュで逃げちゃったけどさ。


2人が自分の席に座って話していると

チャイムが鳴って先生が入ってきた。

「おーい席つけよー

今日は転校生を紹介するぞ~」

この人はハンナのクラス担任の

大石おおいし 心平しんぺい

大きな図体と面白い性格と優しそうな顔で一年生から六年生まで広範囲に渡って人気の先生だ。

ついでに言うと、私の所属する部の顧問でもある。


「おーい、入ってこい」

先生がドアに向かって声をかけると、ドアが開き少年が入ってきた。

その姿を見た途端、女子たちは一斉に黄色い声をあげた。

「きゃぁっ」

「かっこいい~」

私だけを除いて。

…何故なら、その転校生がさっきの男の子だったからだ。

  [彩瀬 繋]

「名前はあやせ けいだ。

 イタリアと日本人のハーフで日本に帰ってきたそうだ」

名前を黒板に書いてみんなに伝えた。

(…ケイ?けい?ハーフ…?イヤイヤまさかかね!)

幼稚園の頃にそんな人はいたけど、さすがにあり得ない。あってほしくない。

そんな展開要らない!と過去の記憶をすぐに否定して前を向いた。


「席は…ハンナの隣が空いてるな。そこに座れ」

ハンナはアイウエオ順で一番後ろ

まだ席替えをしていないこの時期は、席も番号順。

つまりハンナの席は一番後ろだ。


(げっ…………)

偽ケイはにこやかな顔のまま私の隣まで来た。

私の方を向いて小さく「よろしくね」と、けいくんにそっくりな顔で笑って見せた。

無視するのはどうかと思うし、取り敢えずお辞儀だけして先生の方に向き直った。


女子たちの黄色い声が少し落ち着くと、やっと一時間目の授業が始まった。

今日は社会。

先生が黒板に書くことを淡々と写していると、

横からつんつんと肩を叩かれた。

何だろ、と思ってケイの方を見ると自分のノートの隅っこを指差した。

何か書いてあって、読んでみると

’ひさしぶり’と書いてあった

(まさか……………)

’けいくん、ひさしぶり’

確かめるために、敢えてくんづけをした。

ケイの顔を見るとにこやかに笑っている。

(うわぁ………)

断定だ。

よく考えてみれば、ハンナと言っただけで私の隣に座った時点でほぼ確定。


(あー早く終わって~

 直接じゃないと話しにくいよ~!)

いつも嫌いな社会が、余計に憎たらしく思いてきた。

そんなことを考えて居ると、やっとチャイムが鳴ってくれた。

授業が終わって挨拶が終わったと同時に、女子が一気にケイ目掛けて押し寄せてきた。

ハンナも巻き込まれて女子に押しつぶされていると、グイッと誰かに引っ張られて女子のなだれから抜け出すために廊下まで出た。


「スズナ、ありがとう…」

顔は見ていないけど、あの状況で助けてくれるのはスズくらいしか居ない。


「誰がスズナだ」

しかし、その声の主はスズナとは似ても似つかない聞き覚えのある男の子の声だった。

「リュー!?」


「何だよ俺じゃ悪いか。」

「いや、悪かないけどまさかリューとは…」

驚いてぱちくりと目をまばたかせて居ると、スズナが廊下に出てきて駆け寄ってきた。

「ハンナぁ…此処に居たんだ…。

 …………えぇぇ!?」

ハンナの後ろに居たリューを見て、スズナはあからさまに大きな声を出して驚いた。

「お前ら俺を何だと思ってんだ…」

リューは、はぁと溜め息をついてガシガシっと頭をかいた。

何だと思ってると聞かれれば、アホかバカかな。と言いそうになる口をなんとか抑え、苦笑いをした。


スズナはそんなリューにすぐフォローした。

「ううん…!意外だったから…」

「…俺ってそんなに冷たいか?」

リューはスズナにいわれ少し傷ついたような顔をした。

(棄てられた子犬みたいね。馬鹿丸出しだわ)


「ハ、ハンナに関しては…」

スズナは言いにくそうに苦笑いしながら言った。


「ああ、確かにな」

リューは納得したように安心したように頷いた…何度も頷いた。

(腹立つな、この生き物)


「あんたの優しさなんて

一ミリたりとも要らないわよ、気色悪い」

私が横目で睨みながらそう呟くと、リューの地獄耳がピクッと反応した。


「あぁ~?ハンナ様はケイくんといたかったんだな~?

悪かったなぁ?邪魔したみたいで~?」

リューがいつも通りに気色悪い返しをした

…誰が誰と一緒に居たいって………?

「はぁ!?んなこと有るわけないでしょ!?」

半分切れた状態で文句を言うと、横からヌッとスズナが出てきた。

いつもなら止めにはいるはずなんだけど、今日はなんか違う。


「…ハンナはあのケイトくんとどういったご関係で?」

スズナは私の前の席だから、何かしら見ていたのかもしれない気づかなかった。


「え!?あ、いや、

引っ越す前の保育園が同じなんだ」

引っ越す前、というのは事情があって。

私の一家は能力の血が薄く、祖父祖母の代から消えていた。

だから私は小さい頃は能力がない。と思われていて、能力系統の活動から外されたのだが。

何故か私には能力が出て、小学生の頃に町に引っ越してきたのだ。

ケイはその前の幼稚園で一緒だった。という関係。

ついでに心の中で付け足すと初恋の相手。


「運命の再会ね!ついにハンナにも彼氏が!

 ダブルデートとかしようね!」

「いやいやいやいや!付き合わないから!!!」

真っ赤になってぶんぶんと顔を振って否定した。

このテンションのスズナはどうにも苦手だ。

痛いところをつくし、


「必死になるところが怪しいよなぁ~?」

リューまで人の恋愛事情に入ってきた…

カレカノめ!仲いいな!羨ましくなんかないぞ!


「もう!教室に戻る!」

いい加減怒った私は2人の前から回れ右をして

教室にずかずかと帰っていった


そんなハンナをスズとリューは顔を見合わせ笑っていた。

やっぱりくさいのよりこういうのが書きやすいですね!

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